トヨタのLPGハイブリッドの新型タクシー発売、東京だけで1万台の需要見込む車両デザイン(2/2 ページ)

» 2017年10月24日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
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現役タクシー運転手の評価は?

 会見に合わせて、現役のタクシー運転手による運転でジャパンタクシーに試乗する機会を得た。運転手は普段は「クラウン」で営業しているという。「ミニバンがベースのようなので、お客さまの乗り心地や静かさがどうかが気になっていた。クラウンには敵わないが、ジャパンタクシーは思った以上に良い。運転するのは2度目で、運転支援システムから警告されるような場面はなかった。より一層周囲に注意することができるので、運転支援がうっとうしいとは思わない」と運転手は感想を述べた。

 川鍋氏は、自動運転技術も含めて「タクシーの味方で、運転手を助けるもの」だとし、完全自動運転や無人運転がタクシーを脅かすことはないという見方を示した。「完全自動運転が普及するまではもう少しかかるだろう。ドライバーレスの技術が普及しても、心遣いが求められる場面や観光などで、人間が運転するからこその価値は残ると考えている」(川鍋氏)。

 後席の快適性を向上するため、乗客がシートヒーターや後席向けに吹き出すエアコンの風量を調整できるようにした。荷室には、スーツケースを平積みで2個、ゴルフバックを4個収納できるスペースを確保した。バックドアの開閉に必要なスペースは560mmとし、狭い場所でも積み下ろし可能だ。

トヨタ自動車の豊田章男氏

 外観は、一目でタクシーだと分かり街と調和するデザインとした他、ボディーカラーは日本を象徴する色だという「深藍(こいあい)」を新開発。会見に出席したトヨタ自動車 社長の豊田章男氏は「どこの国のどの街も、景色をつくるのはタクシーだ」とコメントし、ジャパンタクシーによって日本の街並みを美しく統一することを狙いとしている。

車線ごとの渋滞状況がリアルタイムに分かる

トヨタ自動車 専務の友山茂樹氏が新サービスの概要を説明した(クリックして拡大)

 同日付で、タクシー業界と協力した新サービスも発表した。トヨタ自動車と全国ハイヤー・タクシー連合会が2017年4月から進めている実証実験の成果を生かし、車線ごとの渋滞情報をスマートフォン用のナビゲーションアプリに配信するサービスを2018年春から開始する。

 都内の500台のタクシーに装着した通信型ドライブレコーダー「TransLog(トランスログ)」から走行中の画像や車両データを収集、地図上に反映させて人工知能(AI)で解析した結果をナビゲーションアプリに車線単位での混雑状況として配信する。川鍋氏は「(500台は少ないかもしれないが)タクシーは昼夜を問わず稼働し、乗用車の7倍は走る。タクシーから得られる情報量は多い」と説明した。

 情報提供エリアは東京都心部に限られるが、地域拡大や利用できる端末の拡充も検討していく。今後は、道路工事での車線規制や、道路に面した駐車場の満空情報も抽出できるよう、開発を進めている。

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