特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2017年11月02日 09時00分 公開

検査自動化:月額26万円で画像認識AIによる外観検査ができる、「製造業の関心極めて強い」

NTTコムウェアは、ディープラーニングを用いた画像認識AI「Deeptector」の新製品となる「産業用エッジAIパッケージ」を発表した。HPEのエッジコンピューティング向け製品「Edgeline EL1000 Converged IoT System」にNVIDIAの「Tesla P4」を2枚組み込み、Deeptectorをプリインストールしたパッケージ製品で、月額26万円からで利用できる。

[朴尚洙,MONOist]

 NTTコムウェアは2017年11月1日、東京内で会見を開き、ディープラーニングを用いた画像認識AI(人工知能)「Deeptector」の新製品となる「産業用エッジAIパッケージ」を発表した。日本ヒューレット・パッカード(HPE)のエッジコンピューティング向け製品「Edgeline EL1000 Converged IoT System」にNVIDIAのGPUアクセラレータボード「Tesla P4」を2枚組み込み、Deeptectorをプリインストールしたパッケージ製品だ。標準構成の一括購入価格は1140万円だが、5年間の保守付きリース契約であれば月額26万円からで利用できる。販売目標は3年間で100社としている。

「産業用エッジAIパッケージ」の会見の様子 左から、HPEの本田正和氏、NTTコムウェアの箕浦大祐氏、桑名正人氏、NVIDIAの大崎真孝氏。手前左側にあるのが「産業用エッジAIパッケージ」のハードウェアとなる「Edgeline EL1000 Converged IoT System」と「Tesla P4」(クリックで拡大)

 Deeptectorは2017年3月に「Deep Learning画像認識プラットフォーム」として、ローカルPCで運用するインストール版を、同年6月にクラウド版を発売(関連記事:ディープラーニングで画像認識をお手軽に、狙いは製品検査含む「3M領域」)。今回の産業用エッジAIパッケージの発売に併せて、商品名をDeeptectorに変更した。NTTコムウェア 取締役 ビジネスインキュベーション本部長の桑名正人氏は「当初は、『監視・検閲』『保全・点検』『製品検査』の3分野に展開していく計画だったが、われわれの想定以上に、製造業を中心とする顧客からの関心が強かった。今回の産業用エッジAIパッケージは、工場などの現場で休むことなく動作させられるとともに、顧客の求めるコストパフォーマンスも満たす、ハードウェアとのパッケージ製品になる」と語る。

 同社が2017年6月末開催の「第1回AI・人工知能EXPO」に出展した際に行った来場者アンケートによれば、約800社のうち約70%を、製品外観検査やインフラ点検といった公共、製造系の産業用途のニーズがあるという回答が占めた。「しかし、その時点で用意していたインストール版やクラウド版だけでは『製品画像を社外に出したくない』『目視検査を無休で稼働させたい』『工場のような高温環境で動作可能なハードウェアが必要』といった顧客の要望に対するソリューションになっていないと感じた。そこで、エッジコンピューティングを重視しているHPE、GPUによるディープラーニングのスマートファクトリーへの展開を強化しているNVIDIAと連携することにした」(NTTコムウェア ビジネスインキュベーション本部 担当部長の箕浦大祐氏)という。

 産業用エッジAIパッケージのソフトウェアは、顧客が収集した学習用画像を使って画像認識のアルゴリズムのモデルを作成する「学習機能」、作成した認識モデルを判定基準として実際に画像認識を行う「判定機能」、学習の際に必要な画像データの中から検出したい箇所やその分類名称を付ける“アノテーション”をやりやすくする「認識モデル作成ツール」などから構成される。

「産業用エッジAIパッケージ」の特徴「Deeptector」のソフトウェア構成 「産業用エッジAIパッケージ」の特徴(左)とプリインストールされている「Deeptector」のソフトウェア構成(右)(クリックで拡大) 出典:NTTコムウェア

 ハードウェアは、8コアの「Xeon」プロセッサ、32GBのメモリ、2TB(RAID使用のため実効は1TB)のSSDなどを搭載するEdgeline EL1000 Converged IoT Systemと、NVIDIAのTesla P4が2枚という構成。動作温度0〜55℃、湿度95%、衝撃や振動への耐性など、工場内での運用が可能な仕様になっている。

 学習済みモデルを用いた「判定機能」の画像認識性能については「画像のサイズにもよるが、1枚のTesla P4につき、1秒当たり約5枚処理できるので、最大で1秒当たり約10枚になる」(箕浦氏)としている。また、認識モデルの作成はDeeptectorのクラウド版で実施し、工場内での判定機能は産業用エッジAIパッケージで行うといった応用展開にも対応していく予定だ。

「Deeptector」によるねじ製品の検査イメージ 「Deeptector」によるねじ製品の検査イメージ。キズのある部分が検出されている(クリックで拡大)
「産業用エッジAIパッケージ」の基本的な利用法「産業用エッジAIパッケージ」の応用展開 「産業用エッジAIパッケージ」の基本的な利用法(左)と応用展開(右)(クリックで拡大) 出典:NTTコムウェア

 なお、産業用エッジAIパッケージの販売展開は、NTTコムウェア、HPE、NVIDIA、それぞれの顧客接点を生かして営業プロモーションを行う。会見には、提携する2社が登壇した。「HPEは現在、エッジコンピューティングを重視する方針を打ち出しており、一定の手応えを感じている。データが大きく種類の多い画像データの認識はエッジコンピューティングに最適であり、それを簡単に利用できるようにする産業用エッジAIパッケージのプロモーションを推進していきたい」(HPE ハイブリッドIT製品統括本部 統括本部長の本田正和氏)、「日本の強みであるモノづくりとディープラーニングを融合したスマートファクトリーを進めていきたい。最強の推論マシンであるTesla P4を活用する産業用エッジAIパッケージの展開に協力していく」(NVIDIA 日本代表兼米国本社副社長の大崎真孝氏)とコメントしている。

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