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» 2017年11月06日 10時00分 公開

AIとIoTが生み出すモノづくり革新:AIとIoTが生む製造業のパラダイムシフト、「全自動衣類折りたたみ機」が示した革新

IoTやAIへの注目が集まる中、日本の製造業でもデータを基軸とした新たなビジネスモデル構築に大きな注目が集まっている。しかし、現実的には新規ビジネス構築は日本の製造業が苦手とする領域で戸惑う企業が多い。その中でAIやIoTを活用し「全自動衣類折りたたみ機」を世に送り出そうとするのがセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズだ。同社の事例を元に製造業がAIやIoTで新たな革新に取り組むポイントについてお伝えする。

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 IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)関連技術の発展により、製造業を取り巻く環境は大きく変化している。日本の製造業もIoTやAIを活用しようという動きは増え始めている。欧米での、AI+IoTを使った新しいビジネスモデルの構築の進度に比べて、日本はまだその取り組みに乗り遅れている。

 IoTやAIなどの技術により、製造業は製品から常にデータを取得できるようになり、これらで得たデータを分析し活用できるようになる。そのため、ハードウェア単体ではなく周辺のソフトウェアやデータを組み合わせた新たな顧客価値が創出可能となる。「モノ」から「コト」への新たなビジネスモデルの創出である。グローバル先進企業ではこの動きを視野に入れた体制変更や技術連携などを進んでいる。スマートフォンと同じく、ソフトウェアファーストなイノベーションに弱みを見せる日本のモノづくり企業では、こうした変化にいまだ逡巡(しゅんじゅん)している企業も多いのではないだろうか。

 こうした中IoTやAIを活用し、今までにない製品を世に送り出そうとする企業がある。世界初の「全自動衣類折りたたみ機」を開発したセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ(以下、セブンドリーマーズ)である。

世界初の「全自動衣類折りたたみ機」を開発するセブンドリーマーズ

 セブンドリーマーズは1957年創業のスーパーレジン工業を母体とする企業である。「世の中にないモノを創り出す技術集団」を掲げ、現在はゴルフシャフト、快眠支援デバイスなどを展開する。

 このセブンドリーマーズが新たに、2018年度に製品出荷するのが全自動衣類折りたたみ機「ランドロイド」だ。ランドロイドは投入された洗濯物の種別を画像認識によって判別、ロボットアームによって折り畳み、種類別に分別することができる洗濯物折り畳み機である。AIによる、折り畳み方法の学習機能も備える。Tシャツ、カットソー、ボトムス、ホームウェア、フェースタオル、バスタオルなどの折り畳みに対応する。畳んだ衣類は、種類ごとか持ち主ごとに仕分けられ、引き出しから取り出せる。

 「シャツだけを畳む」「タオルだけを畳む」といった単一種類の衣類を折りたたむ装置は既に実用化されているが、1つの装置でさまざまな種類の洗濯物を自動的に折りたためる装置は「世界初」(セブンドリーマーズ調べ)であるという。既に2017年5月から予約を開始しており、価格は185万円(税別)からとなっている。

photo 2015年の「CEATEC JAPAN 2015」での「ランドロイド」発表会の様子。発表までは極秘プロジェクトとして研究開発を進めてきたという(クリックで拡大)

「世の中にないモノを創る」

 セブンドリーマーズでは新たな領域への進出を図る際は以下の3つの基準(クライテリア)で、事業を進めるかどうかを判断している。

  • 「世の中にないモノ」
  • 「人々の生活を豊かにするモノ」
  • 「技術的なハードルが高いモノ」

 これまでの「世の中にない」と開発を進めた「ランドロイド」だったが、2005年の開発当初は、実現は難しいと「とにかく社内外で反対の嵐」(阪根氏)だった。だが、「洗濯物をたたむ」という行為の作業プロセスを分解し技術を当てはめて考えることで技術者とも話ができるようになったという。「実際に自分で洗濯物をたたんでみました。洗濯物をつまんでひろげて、何なのかを目で見て認識し、たたむという作業に入るという、プロセスを明確化したわけです。このプロセスであれば、画像認識技術とロボット技術を組み合わせれば何とかなるのではないかとなり『やろう』という機運が出てきました」と阪根氏は振り返る。

 ただ、技術面では、既存のロボットアームではコストが合わず、画像認識技術は機能的にも性能的にも価格的にも問題があった。当初は「取りあえずカメラを買いに行ってみるか、というレベルから始めたので、とにかく完成までには時間がかかってしまいました」と阪根氏は述べている。

「モノ」から「コト」へ、ブレークスルーとなったAIとIoT

 技術的な課題解決の1つのポイントとなったのが、IoTやAI、ロボット、クラウドなど先進技術の発展である。ランドロイドは「Wi-Fi」接続が必須となるデバイスだ。阪根氏は「洗濯物の認識など、ローカルGPUである程度の処理は行いますが、主要な処理についてはクラウド側のニューラルネットワークを活用し、複雑な計算を大量に行って、服を判別して畳みます」と、AIやIoTが実現に大きく貢献していることをポイントだと挙げる。

 さらに「ランドロイド」を活用することで新たなサービスビジネスなどへの展開も目指す。「ランドロイド」では家族ごとに衣類の登録をすることで、自動で仕分ける機能を備えているが、個人の衣類情報と使用状況がひも付いて記録されることになる。「家のクローゼットの中身が分かる他、使用状況やへたり具合なども把握できる。洋服レンタルなどさまざまな企業とのコラボレーションで新たなサービス展開が可能です。常にオンラインであることで『できること』というのは大きく広がります」阪根氏は「つながる世界」の価値について述べている。

「つながる世界」が変える製造業の世界

 注目したいのは、このようなイノベーションを起こしたのが、豊富なリソースを持つ大企業ではなく、スタートアップ企業である点だ。これは、IoTやAIといった先進技術を活用すれば、どんな企業にでも、新たな変革を起こせる可能性を示している。

photo 日本IBM 理事 GBS事業本部 IoT&ビジネストランスフォーメーション担当の寺門正人氏

 セブンドリーマーズの取り組みを見ても分かる通り、製造業の差別化のポイントは既に物理的製品だけではなくなっている。そしてその大きな技術的ブレークスルーがIoTやAIというわけだ。では製造業が、従来のモノ売りのビジネスモデルから新たなビジネスモデルへと変革していくためには、どのような考え方や取り組みが必要となるのだろうか。

 製造業のIoT活用の第一人者である日本IBM 理事 GBS事業本部 IoT&ビジネストランスフォーメーション担当の寺門正人氏は語る。

 「製造業がIoTやAIを活用して成果を生み出すためには既に、基本的な考え方が確立されつつあります。セブンドリーマーズを見てもこの仕組みを上手に取り入れていることが分かります。先進企業の多くは基本となるデータサイクルを活用するのが定石となっています」(寺門氏)

製造業のビジネスモデル変革の手法の詳細はこちらから

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 IoTやAIを活用した製造業のビジネスモデル変革にはコツがあります。多くの製造業のビジネスモデル変革に携わり支援を行い、製造業のIoT活用の第一人者である日本IBM寺門氏の講演「顧客価値拡大戦略における先進テクノロジー活用のポイント」の詳細はこちらから。

 ただ、こうした新たなビジネスモデル構築を苦手にする製造業は多いのも事実だ。特に従来にない新たな価値を生み出そうということを考えると、過去の日本の製造業が得意としてきた積み上げ方の発想では生み出せない。重要なのが、理想の未来像から逆算して技術や製品開発を進めるバックキャスト型とされる発想や、デザイナーの発想で製品の形を模索するデザイン思考などから取り組む必要がある。

 こうした新たな思考法は自社だけでは取り組むことが難しい場合も多い。そういうときには外部のパートナーを活用することも1つの手である。寺門氏が所属する日本IBMでは、IoTやAIによる製造業のビジネスモデル変革を支援する「IBM コグニティブ・プロダクト・コンサルティング」を展開。IoTプラットフォーム「Watson IoT」なども含め、データ取得からAIによる分析まで一元的なサービスを提供し、製造業の「コト」シフトを支援している。さらに、革新的なサービスに重要な「テーマ選定」についても「デザインシンキングによる新たなテーマ設定からデータ活用のシナリオ作りまで、全面的に支援が可能」(寺門氏)だという。

 寺門氏は「既にIBMではグローバルで数多くの製造業を支援し、新たなビジネスモデルへの革新を実現しています。こうした成功事例やノウハウは日本の製造業にも幅広く展開することが可能です。先進企業では既にこうした取り組みは実証段階ではなく、新たなビジネスでの収益化に成功しています。日本企業も立ち遅れるわけにはいかないと考えます」とデジタル変革の加速を促す。

IBM コグニティブ・プロダクト・コンサルティング

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 日本IBMは、先進テクノロジーを活用した製品開発・サービス開発に関するイノベーションを支援するコンサルティングサービスとして「IBM コグニティブ・プロダクト・コンサルティング(IBM Cognitive Product Consulting)」を提供する。詳細はこちらから。

既に現実のものとなっている製造業のデジタル変革

 具体的にIBMが支援した成功事例にはどういうものがあるのだろうか。これらを見てみると、寺門氏が指摘する「つながる世界の定石」といわれるサイクルを上手に活用し、サービス化を進めていることが分かる。

 世界でいち早く完全自動運転ミニバスを開発した米国企業は、このバスの「バスガイド」サービスを提供するIT基盤としてAIを実装した。AIは乗客と自然言語で対話し、レストランのレコメンド情報の提供など、自動運転車の新たな顧客サービス提供の基盤として実働している。

≫自動運転電動ミニバスの事例詳細はこちら

 自動車部品メーカーのある企業では、自動車メーカーなどに提供する自社製品の高度な管理とクラウドベースのソフトウェア更新を実現するIoT基盤を、IBMと協業で構築すると発表した。自動車部品メーカーとして、部品を提供するだけでなく、同基盤を中心に製品稼働情報を見える化することにより、新たなサービスビジネスの構築が可能となる。

≫自動車部品大手企業の「モノ+コトづくり」の事例詳細はこちら

 オフィス機器の製造・サービスを展開するある企業では、IBMと共同で会議における会話翻訳機能や議事録作成機能を有したスマートなホワイトボードの開発を、AIを使って進めている。

≫事務機大手企業のAI活用による価値向上の事例紹介はこちら

 世界で活躍するあるエレクトロニクス企業では、AIやIoTを活用し、健康・美容に関するタイムリーな情報提供が可能となる住宅設備の提案を通じて、新たなユーザー体験とサービス提供を実現しようとしている。

≫電機大手企業が「鏡」を革新した事例紹介はこちら

 その他にも、さまざまな製造業でIoTやAIの活用は進んでおり、実績を生み出しつつある。これらは、先述した「つながる世界の定石」といわれるサイクルから考えると特別な新しい仕組みを生み出したわけではない。ただ、自社のビジネスやバリューチェーンにうまくこのデジタルサイクルを当てはめ、価値の向上や創出を実現しているというわけだ。ここには当然、IBMのような、経験豊富なパートナーの存在が必須となる。

特集サイト『デジタル革命に勝利する「AIモノづくり戦略」』

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 モノづくりはハードウェアの機能を競う時代から、AIとIoTを活用した「コトづくり」を競う時代へと変化している。AI・IoT時代のイノベーションの動向とそれに伴う製品開発プロセスの変化をまとめた日本IBMの特集サイト『デジタル革命に勝利する「AIモノづくり戦略」』はこちらから。

 国内の製造業では、IoTやAIによるビジネスモデル変革について戸惑う企業もまだまだ多いが、IoTやAIによるビジネスモデル変革は既に将来のものではなく「今取り組むべきもの」となってきている。まずは一歩を踏み出すためには、IoTやAI、ビジネスコンサルティングまで幅広いポートフォリオを持ち、疑問や相談にも応じてくれる日本IBMは頼れるパートナーになってくれることだろう。

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アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2017年12月5日