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» 2017年12月06日 09時00分 公開

製造業IoT:IIJ IoTの中の人、泥にまみれて農業IoTやってみた (2/3)

[小林由美,MONOist]

 IIJ GIO、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureといったクラウドサービス、ユーザーのオンプレミスサーバといったさまざまな環境を選択し、モバイルネットワークで閉域網接続ができ、安全なクラウド接続が実現できるという。準備中のビジネスだけではなく、既存のビジネスにも対応可能にした。

デバイスの集中管理(出典:インターネットイニシアティブ)

 さらにデバイスの一元管理機能も追加。IIJ独自のルーター管理技術をIoTに応用した技術だ。デバイスの死活監視やリソースの状況を遠隔から集中管理できる。エラーが生じた際にはアラートも出す。デバイスゲートウェイもクラウドから一元管理できるため、デバイス設置や設定変更、交換が簡単にできるとしている。

IIJ クラウド本部 クラウドサービス2部 ビッグデータ技術課長 岡田晋介氏

 「IIJのIoT関連のビジネスは2016年度比で倍増している傾向」(IIJ クラウド本部 クラウドサービス2部 ビッグデータ技術課長 岡田晋介氏)。電力会社、ファクトリーIoT、配車・配送コントロールや車載モバイルといった交通系、小売業系の店舗管理などの事例が増えてきているとのことだ。店舗や工場の電力管理を遠隔で行いたいという要望もあるという。

 しかしながら、この中で本格展開しているのは、まだほんの少しであり、POC(概念実証)の段階が多いともいう。「問題は、これはと思うような具体的な活用シーンがなかなか登場しないこと。今後、さらなる付加価値や新しい取り組みが出てくるだろう」と岡田氏は述べる。

 IIJにIoTサービスについて相談を求めてくるのは、事業部門や企画部門の担当者だという。「IoTの世界では“事業を作ろう”としている人たちが頭を悩ませている。そういう方が事業を創出するために、われわれが何ができるか。サービス提供者としての取り組みとともにできることは何かと考えた。それは『自分たちもやっちゃうこと(実践すること)』」(岡田氏)。

泥にまみれて農業IoTをやってみた

 IIJ プロダクト本部 ネットワーク本部 IoT基盤開発部部長 齋藤透氏は、「自分たちによるIoTの実践」として、自らがかかわる農業IoTの取り組みの事例を紹介した。齋藤氏は2017年4月から農業IoTプロジェクトに取り組んでいる。農林水産省 農業データ連係基盤WG 水管理WG専門委員としても活動する。

泥にまみれて農業IoTをやってみます(出典:インターネットイニシアティブ)

 齋藤氏の取り組むプロジェクトは、「水田を遠隔で監視できる、ICTを活用した低コスト水管理システム」。水田に設置したセンサーを利用して各水田からデータ収集し管理するシステムで、水田の見回り作業を減らすことを目指し、かつ農家でも導入できる現実的な価格に抑えることを目標とする。このプロジェクトは農林水産技術会議による「平成28年度補正予算 革新的技術開発・緊急展開事業」のうち、「経営体強化プロジェクト」として支援を受けている。研究期間は3年間とし、水田の水管理コストを2分の1程度削減することを目標とする。

IIJ プロダクト本部 ネットワーク本部 IoT基盤開発部部長 齋藤透氏

 このプロジェクトに取り組むにあたっては「水田水管理ICT活用コンソーシアム」を結成。IIJが研究代表機関を務めながら、センサー開発やLoRa基地局やインフラの提供を行っている。自動給水弁の開発やアプリの開発には農業ITベンチャーの笑農和、センサーの最適配置や水管理コストの測定などは、ICT導入支援事業のトゥモローズ、農研機構、静岡県が担当する。磐田市の農健、袋井市の鈴木政美氏、古川伸一郎氏、増田勇一氏といった、大規模な農業事業者も協力する。協力機関としては、普及担当として静岡県経済産業部中遠農林事務所、研究協力として農林水産省関東農政局西関東土地改良調査管理事務所と日本農業情報システム協会(JAISA)がかかわる。

 農業IT化を阻む要因として、齋藤氏はまず「単純にもうからない」ことを挙げた。水田1枚当たりの収益は、良くても10万円程度だという。通常のITシステムのコスト感覚で開発してしまうと、採算が合わなくなってしまう。センサーのコストも現実的な価格に抑える必要がある。

 農業は、相手が“自然”であるため、多数の試作開発をしなければならない。その上、田植えから収穫までのサイクルは年1回だけである。そのため、製品化までに数年を要してしまうことが多い。

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