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» 2017年12月18日 10時00分 公開

ET2017特別企画:製造業IoTにおける“最強のコンビネーション”とは何か

日本マイクロソフトは、IoTにおいてクラウドとエッジを融合させて活用する「インテリジェントクラウド、インテリジェントエッジ」の価値を訴求。「Embedded Technology 2017」「IoT Technology 2017」では、日本マイクロソフトのクラウドソリューションアーキテクトである後藤仁氏が「エッジとクラウドの最強コンビネーションによる正しいAIの在り方」をテーマに講演を行った。

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クラウドとエッジの“いいところ取り”を実現

 インダストリー4.0やスマートファクトリーなど、製造業にもIoT(モノのインターネット)活用が進みつつある。IoT活用を実現するには、膨大なセンサーデータなどを収集し、分析しなければならない。これらに最適なのがクラウドコンピューティングだ。世界のどこにいてもデータ処理に必要な計算資源や、データを保存するストレージ資源、データをやりとりするネットワーク資源を自由に調達できる。スモールスタートで開始しても業容に合わせて拡張できるという利点もある。

 しかし、製造業でのIoT活用が進み、実導入などが進んでくる中で「クラウドのみの限界」も見えてきた。

 例えば、製造ラインを構成するさまざまな装置の稼働データをクラウドに集約し、監視や制御を行う場合、異常値の検出とそれに伴う対処を全て通信経由で行うと非常に多くの時間がかかることになる。工場とクラウドをつなぐインターネット回線や無線通信に切断や遅延が発生し、各装置から稼働データをアップロードできなくなったり、クラウド側からのレスポンスを得られなくなったりするのが主な原因だ。結果として、停止しなければならないラインを止められずに甚大な物理的損失が発生したり、人命を危険にさらしたりすることが起こり得る。

 また、装置ごとに異なるデータ形式や通信プロトコルの変換処理までクラウド側で行うのはあまりにも効率が悪く、過剰な処理負荷を招くことになる。これも工場とクラウド間のスムーズな連携を阻害する原因となり得る。

photo 日本マイクロソフトのクラウドソリューションアーキテクト 後藤仁氏

 「Embedded Technology 2017」「IoT Technology 2017」では、日本マイクロソフトのクラウドソリューションアーキテクトである後藤仁氏が「エッジとクラウドの最強コンビネーションによる正しいAI(人工知能)の在り方」をテーマに講演を実施。これらの課題の解決策として、クラウドとエッジコンピューティングを組み合わせ、シームレスに連携を実現する意義を訴えた。

 後藤氏はIoTを実現する上で考えなければならない2つの軸足があると指摘する。1つは「クラウドに軸足をおくIoT」である。さまざまな装置やセンサーのデータをクラウドに集約し、全体最適化やオペレーションの進化を支えるものだ。AIや機械学習といったテクノロジーを活用するための計算資源やストレージ資源、ネットワーク資源を、前もって計画することなく必要なときに、必要なだけ調達できるのがメリットで、これによりどこからでも監視や管理を行えるようにする。

 もう1つが「エッジに軸足をおいたIoT」だ。工場内で採用されている多様な通信プロトコル仕様や独自のデータ形式をあらかじめエッジデバイス側で変換し、相互にやりとりできるようにする。これによりリアルタイム性が求められる処理を負担し、工場内で安定的な運用管理を実現する。また、顧客からの発注データや作業員の個人データと関連する工程指示書といった機密データについてもエッジ側で厳密に保護することでセキュリティを担保する。

 後藤氏は「クラウドにもエッジにも得意な点と不得意な点があり、この2つのIoTの“いいところ取り”することが理想です」と強調した。

エッジコンピューティングに求められる3つのデータ解析とは

 クラウドとエッジコンピューティングを適材適所で組み合わせ、さらにAIによるインテリジェントな機能をその両方の環境で利用できるようにすることで、工場内のオペレーションにおいて、抜本的な効率化や最適な管理を実現できる。

photo ET2017/IoT2017で展示された製造業向けIoTエッジデバイス。Azure Certified for IoT対応の機器群を展示した(クリックで拡大)

 「例えば各装置に発生している異常もしくはその兆候を故障が発生する前に検知し、予防的に修理や点検を行うことでダウンタイムを極小化できる。そのため、計画通りの生産を継続することが可能となります」と後藤氏は語った。

 マイクロソフトでは「インテリジェントクラウド、インテリジェントエッジ」として、クラウドとエッジをシームレスにインテリジェント化していく取り組みを訴求している。こうしたインテリジェントな環境を実現するためには、エッジ領域には具体的にどんな機能が求められるのだろうか。

 後藤氏がまず挙げたのが、各装置から発生するさまざまなセンサーデータやイベントログ、アラートなどを収集し解析する機能である。リアルタイムにデータを処理する「ホット解析」、リアルタイムにデータを可視化する「ウォーム解析」、蓄積されたデータに対して機械学習などを行う「コールド解析」の大きく3つのデータ解析が柱となっており、「これらのデータ解析から得られた結果に対して、さらにAIを適用することで現場の的確なアクションを促します」と後藤氏は語った。

 ホット解析は、一般にCEP(Complex Event Processing:複合イベント処理)と呼ばれる技術をベースとしたもので、多様なデバイスや装置、あるいはアプリケーションと接続され、数百万件といった膨大なストリームデータを取得すると共に、それらのデータが発生した時点でリアルタイムに処理を行う。発生したイベントが特定のパターンと合致した際に、即時に決められたアクションを実行する仕組みである。

 クレジットカードの決済情報をリアルタイムに監視した不正利用の素早い検出、特定のKPI(主要業績評価指標)のパターンが出現した瞬間に自動で注文を出す株式証券のアルゴリズム取引などが、代表例として知られている。このCEPを工場に応用した場合、さまざまなデバイスや装置から次々に吐き出されてくるストリームデータをモニタリングすることで、装置の故障や製品の品質低下につながる予兆をリアルタイムに察知または予測し、アラートを発して早急な対処を促すことが可能となる。

 そうした中で効果的なモニタリングを実現するのがウォーム解析であり、CEPとあわせて高速な処理能力を持ったエッジ側で実行することで、リアルタイム性を確保することができる。そして異常を示すパターンを抽出するプロセスでは大量に蓄積されたイベントログに対して統計処理などのコールド解析を実施するわけだが、こちらについては必要なコンピューティングのリソースを柔軟かつスケーラブルに利用できるクラウドのメリットを最大限に生かしたいところだ。

クラウド上で作成した機械学習モデルをエッジデバイスに

 これらの技術的な強みがあったとしても、全ての情報処理をクラウド、エッジデバイスのどちらか一方のみで行うことは効率的ではない。「常に念頭においておかなければならないのは、計算処理やデータ分析は一度設定したらそれで終わりではないということです。しっかり管理し継続的なメンテナンスと改良を行っていく必要があります。それが作業効率の継続的改善につながっていくのです。そのためには、システム的な柔軟性が必要になります」と後藤氏は強調した。

photo インテリジェントエッジとインテリジェントクラウドの融合(クリックで拡大)

 また、コールド解析においては機械学習が有効な手段となるが、その運用上のポイントとして「クラウド上で学習させたデータや作成したモデルを、クラウドだけで実行するのではなくエッジデバイスも含むどこでも実行できるということが理想的です」と後藤氏は語る。さまざまなターゲット環境ごとに個別にデータを学習させたり、モデルを作成したりしていたのでは、時間やコストがいくらあっても足りなくなる。つまり、エッジデバイスとクラウドが共通基盤の元に、それぞれのモデルなどを相互活用できるという環境が理想だというわけだ。

 この課題を解決すべく、マイクロソフトでは「Azure Machine Learning Workbench」と呼ばれるソリューションの提供を開始している。これはクラウド上でトレーニングを重ねて作成した機械学習のモデルを、多様なエッジデバイス上にそのまま実装し稼働することができるというものだ。クラウドでの学習済みモデルを迅速にエッジ側にデプロイし、リアルタイム制御を実現できるようになる。

 「Azure Machine Learning Workbench」はマイクロソフトがAzure上でポートフォリオの拡充を進めている「Azure IoT Edge」(正式版ではなくパブリックプレビュー版が提供中)の一環として提供されるサービスである。「Azure IoT Hub」や「Azure Stream Analytics」「Azure Functions」などのサービスとも組み合わせたアプリケーションとしてDockerイメージでパッケージングされ、エッジデバイスで展開できる。従来Azure上でのみ利用できたAIや先進的アナリティクス技術、機械学習技術などをエッジデバイス上で活用できるというものだ。

 「エッジコンピューティングは即時応答が求められるミッションクリティカルなタスクへの解決策となるものです。ただしエッジコンピューティングでは使用できるリソースに関しては物理的な制約が生じます。そのため、潤沢なリソースが使えるクラウドとの使い分けが重要になります。まずはクラウドでもエッジでも動作できる環境を構築することが何よりも重要であり、その環境上で用途に応じてクラウドとエッジを使い分けます。これにより開発工数を削減すると共にシステムの柔軟な拡張性や安全性を保つことが可能となります」と後藤氏は述べている。

 「Azure IoT Edge」を活用すれば高度なアナリティクスや機械学習、AIの仕組みをクラウド上に構築し、オンプレミスのエッジデバイスに容易かつ迅速に実装できる。Azureの多様なサービスならびにサードパーティーのサービスで構成されたエコシステムで得られた価値をエッジにおいても展開することで、製造業における最適なIoTアプリケーションを実現できるかもしれない。これらを支援することが、マイクロソフトが目指すクラウドとエッジのインテリジェントな連携のビジョンである。

イベント「IoT in Action – Tokyo」

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 マイクロソフトでは、デジタル変革の最前線に立つテクノロジーリーダーの数多くの講演を体感できるイベント「IoT in Action – Tokyo」を2018年1月25〜26日に開催を予定している。「IoT in Action – Tokyo」への登録はこちらから。

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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2018年1月17日