ダッソー日本法人社長に元セールスフォースの山賀氏「理念に共感」製造ITニュース(1/2 ページ)

ダッソー・システムズは日本法人の新社長就任に関する記者発表会を開催した。同社日本法人の代表取締役社長に就任した山賀裕二氏は、「地球環境の持続可能性を担保する技術を実現する」というダッソーの理念に共感し、入社を決めたという。

» 2017年12月08日 09時00分 公開
[小林由美MONOist]

 ダッソー・システムズは2017年12月7日、同社新社長就任に関する記者発表会を開催した。同発表会では同年11月から同社日本法人の代表取締役社長に就任した山賀裕二氏と、本社の執行役員であるシルバン・ローラン氏(エグゼクティブ・バイス・プレジデント グローバル・フィールド・オペレーション(アジア―オセアニア) ワールド・ワイド・ビジネス・トランスフォーメーション)が登壇し、製造業における市場動向や、今後の事業戦略について語った。

ダッソー日本法人の代表取締役社長に就任した山賀裕二

 山賀氏はかつて日本アイ・ビー・エムで経営企画部長や、理事・通信メディア公益事業部長を歴任。以降は、マイクロソフト(現・日本マイクロソフト)でOffice 365、Microsoft Azureの日本市場立ち上げや、クラウド事業のアライアンスなど担当し、さらにセールスフォース・ドットコムでは専務執行役員 デジタル・イノベーション事業統括として、顧客のデジタル変革プロジェクトの推進を指揮した。

 「ダッソーの掲げる理念である『地球環境の持続可能性を担保する技術を実現する』に共感したことが入社を決断した大きな理由。顧客とともに3〜5年先を見据えたビジョンを作り上げ実現させるスタンスに共鳴した。エクスペリエンス(経験や体験)の時代と呼ばれる中で、新しい需要を創出し、日本の産業界、IT業界、ならびに日本の社会に貢献していきたい」(山賀氏)。

 山賀氏は同社日本法人の代表取締役社長に就任したと共に、ソリッドワークス・ジャパンとダッソー・システムズ・バイオビアの代表取締役社長にも就任し兼務している。

ダッソーの理念

 ダッソーは1981年に創業し、1994年に日本法人が立ち上がった。ダッソーの日本国内における古くからの大手顧客の1つとして、ホンダがあり、本社設立の翌年である1982年から導入している。その当時の製造業はまさに「作るほど売れる」大量生産時代であった。年月をへるにつれ市場のニーズは多様化していき、今日は多品種少量生産や変種変量生産の時代へ移り変わってきている。市場は「製品を買う」「機能にひかれて買う」時代から、「製品を通じて得られる経験や体験(エクスペリエンス)を求めて買う」時代に移り変わってきている。

 「現在、製品の設計製造という役割を果たす中、デザインするのは製品だけではなく、ビジネスそのもの(ビジネスモデル)である。従来、日本のモノづくりにおいては省力化、効率化、コスト削減といったQCDが重要なKPIだった。それは今後も永遠に変わりはないだろうが、今後はそこに経験をデザインするという要素が加わってくる。設計開発においては、バーチャル試作を素早く繰り返すこと、いわゆる創造性やアジリティ(機敏さ)が必要になってきている。企画の段階からの設計、設計と製造、マーケティングまでつなげるデジタル連続性、グローバルワイドなコラボレーション、最終品メーカーとサプライヤーとの連携、モノがネットワークでつながること(IoT:モノのインターネット)、これらが現実世界に起こってきている」(山賀氏)。

 ダッソーは過去、CATIAなどを中心に設計・製造のコアのプロセスについて顧客の効率化、省力化、コスト削減に貢献してきたが、今後は3DEXPERIENCEプラットフォームで、顧客のエクスペリエンス志向のイノベーションを実現するパートナーとして、新たな一歩を踏み出していく。「日本の顧客と共にイノベーティブなプロジェクトに取り組むのを大変楽しみにしている。またダッソーの社員がこういった仕事に誇りと自信を持ち、生き生きと働ける、働き甲斐(がい)のある会社を確立していくことにまい進したい」(山賀氏)。

ダッソー エグゼクティブ・バイス・プレジデント グローバル・フィールド・オペレーション(アジア―オセアニア) ワールド・ワイド・ビジネス・トランスフォーメーション シルバン・ローラン氏

 ローラン氏は、同社の大口顧客のPLM製品・サービス販売の統括、アジア市場統括を担当する責任者。過去には、シーメンスPLMソフトウェアやIBM PLMにも在籍していた。

 ダッソーは2014年からシンガポールの政府機関が主導する「バーチャル・シンガポール」に、民間企業から唯一参加し、3DEXPERIENCEの技術を都市シミュレーションに特化させた「3D EXPERIENCity」を提供している。シンガポールを丸ごと3Dデータ化し、仮想空間上に再現するプロジェクトで、「非常に熱を入れている」とローラン氏は言う。「3Dデータが新しい言語として、インフラ整備、安全性確保、公害問題といったことを解決していきたい」。ローラン氏は、バーチャル・シンガポールを世界のトレンドを象徴する1つとして紹介し、ここでの同社による取り組みを他分野へも横展開したいという。また「こうした世界のトレンドを日本でも展開していきたい」と述べた。

 ここ18カ月以内における新たな顧客として、テスラ、ボーイング、エアバス、GE、スカニアなどを挙げた。日本企業は、東芝、富士通、ソニーといった企業の名が挙がった。

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