特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
特集
» 2017年12月28日 11時00分 公開

MONOist IoT Forum 東京(3):「カイゼン」と「デジタル化」の相性は良い、GEとOKIの場合 (3/3)

[長町基,MONOist]
前のページへ 1|2|3       

IoT時代の製造ビジネス変革における課題

 「MONOist IoT Forum in 東京」のスマートファクトリートラックでは、ここまで紹介してきた2本の特別講演に加え、4本のセッション講演も実施した。その様子をダイジェストで紹介する。

インテリジェントファクトリーを訴えAIやMRを紹介した富士通

 富士通は「AI/IoTを活用したインテリジェントファクリー最前線」をテーマとし、AIやMR(Mixed Reality)などの実演を含めて講演を行った。

photo 富士通 オファリング推進本部 デジタル革新オファリング統括部 シニアマネージャーの及川洋光氏

 富士通では、インテリジェントファクトリーとして、工場のあらゆるデータをグローバルで集め、見せる化・比較・分析・予測および制御をすることで、パフォーマンスを最大化する取り組みを訴求。その1つとして、これらのデータを見える化する「FUJITSU Intelligent Dashboard(インテリジェントダッシュボード)」などを展開している。

 その事例の1つとして、EMSの上海儀電(INESA)の事例を紹介した。同工場はスマートフォンと液晶カラーフィルターを生産しており、製造工程は完全自動化されている。こうした工場はFAが進化しているものの、中には稼働停止している装置も見られた。そのため、富士通ではリアルタイムで工場の状況を“見せる化”するために、データ基盤とインテリジェントダッシュボードを用いて、誰が見ても分かりやすく情報を提供する取り組みを行った。その結果、生産性は25%向上し生産サイクル時間を50%削減することに成功したという。これらのグローバルでのベストプラクティスに加えて、画像認識や音声認識などの「AI」、見せる化を実現する「MR」「ユビキタスウェア」などを事例を交えて紹介した。

 富士通 オファリング推進本部 デジタル革新オファリング統括部 シニアマネージャーの及川洋光氏は「将来のものと考えられていたさまざまな先進技術が今現実的に利用できるレベルに入ってきている」と語った。

リアルタイムのデジタルコラボレーションを訴求したダッソー・システムズ

 ダッソー・システムズは「製造のデジタル変革を導く3DEXPERIENCEマニュファクチャリング」をテーマに、日本の製造業の課題、製造のデジタル変革と3DEXPERIENCEマニュファクチャリング、新製品「3D Lean」について解説した。

photo ダッソー・システムズ DELMIA事業部 ディレクターの藤井宏樹氏

 ダッソー・システムズ DELMIA事業部 ディレクターの藤井宏樹氏は「日本の製造業の課題として『さらなるQCDの改善』『生産プロセスの複雑化が進む中での競争力強化』『オープンイノベーション』『デジタル化』など新たな挑戦の必要性がある」と強調した。

 特にデジタル化への取り組みは遅れぎみで「海外企業との格差が見られている」(藤井氏)とし、マインドセット変革と中長期的な戦略の策定の必要性について解説。グローバルでの最適生産、新しい生産方式への対応、KPIを把握した経営判断、などを実現できる「3DEXPERIENCEマニュファクチャリング」および「3D Lean」の価値について訴えた。

 藤井氏は「デジタルな情報基盤におけるデジタルコラボレーションによる最適な意思決定とリアルタイムのアクションが今後は重要になってくる」と述べている。

「Analytics of Things」を訴えたSAS

 SAS Institute Japanは「Analytics of Things 〜スマートファクトリーのための分析〜」をテーマとし、IoTにおける「分析」の位置付けの重要性を訴えた。

photo SAS Institute Japan ソリューション統括本部 IoT&Advanced Analyticsグループ マネージャーの高田俊介氏

 SAS Institute Japanでは現在、「工場におけるAoT(Analytics of Thigs)」として、データを分析し、工場の抱える生産計画、品質、安全、予期せぬ故障などの課題解決に取り組んでいる。例えば、故障予兆に対しては、設備のメンテナンス記録や運転・プロセスデータを連結して故障パターンをモニタリングし、アラートを出す。故障履歴が無い場合には「教師なし学習」などを行い対応する、などだ。

 データの分析にはクラウド領域のたまったデータと、発生する場所でのリアルタイムのデータ、2つ種類があるという。たまったデータの分析には、データソースからデータウェアハウスに送られたデータ(たまったデータ)を加工・編集し、レポーティング・探索、機械学習、モデル管理などを行う。リアルタイム分析(エッジコンピューティング)についてはデータ発生から意思決定を短縮するのに有効だとしている。

 SAS Institute Japan ソリューション統括本部 IoT&Advanced Analyticsグループ マネージャーの高田俊介氏は「アナリティクスだけでは意味がなくそれをビジネスにどう生かすかが大事だ。そのためには、問い、データ準備、探索、モデリング、実装、実行、評価というアナリティクスライフサイクルが重要になる」と述べている。

スマートファクトリー化で高まるサイバーリスクを訴える制御システム研究所

 制御システム研究所は「工場やプラント設備の現場が直面する最新のサイバーリスクとは? 制御セキュリティの必要性と取り組みのステップ」をテーマとし、スマート工場化で高まるサイバーリスクとその対策について訴求。主にIoTセキュリティおよび図研のソリューションについて紹介した。

photo 制御システム研究所代表の森本賢一氏

 オフィス系のサイバーセキュリティに比べ、設備系制御システムのサイバーセキュリティは、ほとんど有効な対策が取られていない状況で、現場作業者のマインドセットも変わっていない。しかし、現実的には路面電車のポイント操作をサイバー攻撃によって乗っ取り、車両を脱線させた例など既に多くの被害事例が出てきている。これらの状況に対し制御システム研究所代表の森本賢一氏は「現場でも理解が必要だ。取り組むには6つのステップで考えるべきだ」と強調した。

 制御システムセキュリティへの6つの取り組みについては「設備リスク(災害)分析」「現場ネットワークの見える化」「脆弱(ぜいじゃく)性・脅威分析」「セキュリティ機器の配置」「現場に即した管理運営ルール」「セキュリティポリシーの用意とPDCAサイクル」の順に取り組みことを解説した。森本氏は「こうした対策を行うには現場部門だけでは現実的でない。外部パートナーを活用することも検討した方が良いだろう」と述べている。

≫MONOist IoT Forumの記事

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.