山本金属製作所は「スマート工場EXPO 2018」において、工作機械のホルダーにセンシング機能と通信機能を加えた「MULTIINTELLIGENCE」を出展。加工現象をリアルタイムに計測し、工具の寿命や破損を検知するソリューションを披露した。
山本金属製作所は、「スマート工場EXPO 2018」(2018年1月17~19日、東京ビッグサイト)において、工作機械のホルダーにセンシング機能と通信機能を加えた「MULTIINTELLIGENCE」を出展。加工現象をリアルタイムに計測し、工具の寿命や破損を検知するソリューションを披露した。
山本金属製作所はもともと金属加工をメイン事業としてきたが、自社で金属加工の改善を進める上で、データを取得する必要があるということを考え、工作機械の工具のホルダーにセンシング機能と通信機能を追加し加工現象をリアルタイムに計測できる「MULTIINTELLIGENCE」を開発した。独自ホルダーと関連システムなどを含めて約500万円だという。
現状ではセンシングできるのは、熱と振動で、各ホルダーに合わせたラインアップ展開を行っている。通信については、2.4GHzの無線通信で行っているという。山本金属製作所 技術開発部 部長の山内貴行氏は「約2年前から販売しているが、加工条件の検証などを行いたい研究開発部門や研究機関などで採用が出ている。大手自動車メーカーなどでもトライアルは始まっている」と述べている。
スマート工場EXPOでは、新たに「MULTIINTELLIGENCE」により、リアルタイムで加工状況のデータを取得するだけでなく、条件に合わせて自動制御するソリューションを披露した。訴えたソリューションは2種類で、工具の寿命を測定するものと、破損を検知するものである。
寿命測定については、工具の寿命が近づくと工具の刃が劣化し、結果として加工時の温度が上がってくるという特性を生かしたものだ。通常使用時の温度範囲から一定量外れた時には自動で検知し、工作機械の動作を止める。これにより、工具劣化により不具合を抑えるという狙いがある。
もう1つの、工具の破損検知は、工具の振動を検知し「一定動作が行われているはずなのに振動が発生しない」という状況を「工具破損」と認識し、機械を止めるというものだ。工具破損に気付かず稼働停止時間を削減するのに貢献する。
山内氏は「自動制御ソリューションはこれから提案していく段階だが、研究開発レベルだけではなく現場でより多く使ってもらえるようにしたい」と述べていた。
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