SCF2017 特集
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» 2018年01月25日 10時00分 公開

SCF2017:これが東芝の生きる道、デジタル変革で実現するモノづくり新時代 (1/2)

東芝 執行役専務で東芝デジタルソリューションズ社長の錦織弘信氏が「SCF2017/計測展2017 TOKYO」の基調講演に登壇。「デジタルトランスフォーメーションで実現するモノづくり新時代」をテーマにデジタル化の現状と東芝の取り組みを紹介した。

[長町基,MONOist]

 オートメーションと計測の先端技術総合展「SCF2017/計測展2017TOKYO」(東京ビッグサイト、2017年11月29日〜12月1日)の基調講演として、東芝 執行役専務 東芝デジタルソリューションズ取締役社長の錦織弘信氏が登壇。「デジタルトランスフォーメーションで実現するモノづくり新時代」をテーマに、デジタル化に関する動向と最新事例を東芝の取り組みを交えて紹介した。

ICTとインフラを組み合わせることで生みだす価値

 東芝では、経営不振からの再編を進めており、事業を社会インフラ、エネルギー、電子デバイス、デジタルソリューション4つに集約して活動する方針を示している。東芝デジタルソリューションズはこのデジタルソリューション事業を担当し、他のカンパニーのIoT(モノのインターネット)ソリューションを作り上げるアーキテクチャを提供し、そのノウハウを社外の顧客に対しても提供している。

 モノづくり現場や幅広い産業分野において、IoTによりさまざまな技術、製品、サービスがつながり、製品ライフサイクルやバリューチェーンの最適化によるビジネス変革が拡がりつつある。東芝では2016年にAI(人工知能)をはじめとするさまざまな先進技術を結集し、個客との共創によりIoTを活用した新しいビジネスモデルの創出を目指すIoTアーキテクチャ「SPINEX(スパインエックス)」を発表した。

photo 東芝 執行役専務 東芝デジタルソリューションズ取締役社長の錦織弘信氏

 他社がこうした取り組みを「プラットフォーム」とするところを東芝があえて「アーキテクチャ」としたことについて、錦織氏は「東芝はICTノウハウを持っているとともに、エネルギーや社会インフラのドメインでそれぞれ知見があり、この両方が備わっていることから、より広い範囲をカバーできる」とその理由を説明した。

 ビッグデータ分析やIoTなどの技術に対する関心は既に数年前から大きな注目を集めていた。しかし「価値が分からないから成果額を予測できない」や「ROI(投資利益率)を読み切れないから投資ができない」などの理由から、実際に投資に進むケースは一部だった。さらにこれらが「投資できないからデータが集まらない」という状況を生み、停滞感を強めていた。

 この状況を「まさに新しいビジネスモデルのデザインが描けないというジレンマに陥っていた」と錦織氏は指摘する。それが約2年前から技術の進化だけでなく、政府や団体の動きなども本格化し環境整備が進んできたことで、いよいよ動きが本格化し投資の機運が高まってきた。

 しかし、動きが進む中でも「単価の壁があった。100万円以上のモノは進み出したが、下のところ動かなかった。IoT化を進める上でのコストなど新たな課題が生まれてきた」(錦織氏)と振り返る。

 こうした動きを受けて、東芝ではデジタル化による新しい事業価値の創造を目指して、適用範囲をデバイスから設備群、ファシリティ全体、企業全体、コミュニティーへと拡大。積み重なる課題を次々に解決できるように、一連のソリューションを強化していく方針で取り組みを広げてきた。デジタルトランスフォーメーションについても見える化、最適化、自動化、自律化へと向け、取り組みを進化させるようなソリューションを強化する。

東芝メモリとラゾーナ川崎東芝ビルの事例

 その1つの例として、東芝メモリの工場が製造プロセスをAIで改善した取り組みについて紹介した。同工場は製造品種が50品種、製造工程が2万工程にも及ぶ。生産設備を見ても200機種、4000台が稼働しており、1日に生まれる20億件のデータの解析が必要になる。その解析にAIを活用しているという。

 このAI活用により、人間が行っていた時と比較して、欠陥分類率は49%が83%に大きく改善した。さらに、不良原因の解析時間も従来は6時間だったものが2時間へと大幅に短縮したという。これらの取り組みが評価を受け、2016年度の人工知能学会の現場イノベーション賞 金賞を受賞した。

photo 2018年に工場着手予定の東芝メモリ四日市工場第6製造棟の完成予想図 出典:東芝

 もう1件の自社内でのAI活用による成功事例が、川崎市のラゾーナ川崎東芝ビルである。ラゾーナ川崎東芝ビルは2013年11月にオープン後、3万5000点のセンサーを張り巡らせて、300億レコードのデータをこれまでに収集している。これらについてAIを活用しビル全体の設備の最適制御を行うことで省エネ達成率35.2%、CO2削減量54%を達成した。その結果、2016年度省エネ大賞の「省エネルギーセンター会長賞」を受賞した。これらの自社実践の成果のように、既にIoTやAIの活用による大きな成果は生まれ始めており、投資対効果が見えない状況ではなくなってきているといえる。

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