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» 2018年02月20日 13時00分 公開

メカ設計と試作:目が不自由でも、機能が分かって使いやすいスイッチとは

三菱電機は、盲学校の横浜訓盲学院と共同で家庭用エアコンのリモコンを試作した。

[齊藤由希,MONOist]

 誰でも直感的に分かるインタフェースとは――。三菱電機は、盲学校の横浜訓盲学院と共同で家庭用エアコンのリモコンを試作した。この取り組みは同社の自主研究プロジェクトの一環で、触って機能を理解でき、操作に対するフィードバックも得られるインタフェースを設計するため、空間や図形の概念を学習する盲学校のカリキュラムをデザインに応用した。

どれが何のスイッチか、分かりますか(クリックして拡大)

 試作の対象として選ばれたエアコンは、使う人の手の届かない位置にあり、リモコンを操作してもどのような動作状態か分かりにくいため、視覚障害者にとっては家電製品の中でも使い方を理解するのが難しかった。

 試作した実機は三菱電機の研究開発成果披露会(2018年2月14日)で披露した。今後は健常者も対象に使いやすさの評価を進め、家電だけでなく産業機器などさまざまな製品やシステム向けのインタフェースに知見を展開していく。

触って何のスイッチか分かる形に

 三菱電機 デザイン研究所に所属するデザイナーの1人が横浜訓盲学院を訪問したのをきっかけに、触って分かるインタフェースのデザインや、家庭用エアコンを対象とする企画がスタートした。

 盲学校では、高さや奥行き、長さ、丸や三角など図形の形状、数字の数え方などを触って理解するための教材が用意されている。2つ以上のものを比べてどちらが長い(高い)か、左右や前後とはどのような位置関係にあるか、同じ形のものはどれとどれか……といった概念をモノに触りながら学習している。

高さや長さ、位置関係、図形、数等の概念を触って学ぶ教材(クリックして拡大)

 このように図形や物体を認知する視覚障害者にとって、同じような形状のボタンが並び、配置の意味が分かりにくいリモコンは操作しづらい。家庭用エアコンの場合は、リモコンを操作しても、温度など多段階で設定する項目が多く、電子音が鳴るだけではどのようにエアコンの動作が変わったか分かりにくいため操作を苦手とする視覚障害者が多かったという。

 開発したリモコンは、電源、冷暖房/除湿の切り替え、温度設定や風量、風向、オフタイマーの操作に1つずつ木製のスイッチを割り当てている。それぞれが何の機能のスイッチなのか分かる形状とした。小さすぎず、両手で触って全体の形状が理解できる大きさだ。操作に合わせて音声と木のコツコツという音がフィードバックとして与えられる。

(左)写真内の左側は電源、右側は冷暖房と除湿の運転モード切り替えのスイッチ。(右)写真内の左側は温度設定で、右側が風量の切り替えに対応している(クリックして拡大)

 スイッチのうち、電源はオン状態で正方形となり、オフ時は長方形がずれた状態となる。図形などの概念を学習する教材では、形がそろうことを正解としていることにならった。運転モードの変更は、暖房/冷房/除湿の3つの切り替えができることを示すため三角形とした。

ルーバーを模した写真左のスイッチは風向を調整する。時計をイメージした右のスイッチはオフタイマーだ(左)。タイマーは外周に突起を設け、触って時計のようなものであることを示す(右)(クリックして拡大)

 温度設定は、1℃ずつ確実に切り替えることが可能で、多段階の設定であることが触って分かる波型だ。風向はルーバー(羽板)を模した形状とし、向きを調整できるようにした。風量はU字のレール上のボールを右に移動させることで調整する。ボールが4つなので、4段階に調整できるスイッチであることも示している。タイマーは時計をイメージした円盤型のスイッチで、1目盛を1時間とした。文字盤だけでなく外周にも突起をつけ、触ると時計をイメージできる。

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