「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像

第一交通はUberや滴滴と協力を模索、配車サービスに近づくタクシーモビリティサービス

タクシー大手の第一交通産業は、配車サービス大手のUber(ウーバー)と協議を進めていることを明らかにした。

» 2018年02月20日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 タクシー大手の第一交通産業は2018年2月19日、配車サービス大手のUber(ウーバー)と協議を進めていることを明らかにした。ウーバーの配車アプリで第一交通のタクシーを配車することが検討の対象となっているが、現時点では開示すべき事項はないとしている。第一交通は、中国の配車サービス大手である滴滴出行(ディディチューシン)とも連携を検討しており、実務者レベルでの協議を進める。

 タクシーは地域ごとに初乗り料金が異なる他、乗車禁止地区や乗車場所の指定があるなど、外国人観光客でなくても分かりにくい制度がある。第一交通は海外の配車サービス企業と連携し、外国人観光客がなじみのある配車アプリによってタクシーを使いやすい環境を整備したい考えだ。

 第一交通は滴滴出行と協業することで中国人観光客を、ウーバーと連携することで欧米や東南アジアからの訪日客を取り込みたい考えだ。また、ウーバーと滴滴出行以外の配車サービス企業との連携も検討しているという。これにより、外国人観光客をターゲットとした「白タク行為(自家用として登録された白ナンバーの自動車でタクシー営業をすること。日本では法律違反)」の排除にもつなげていく。

配車サービスをにらんでタクシーが変わる

 海外の配車サービスは、アプリで呼び出してから短時間でクルマが来る手軽さや、事前に料金が把握できる安心感、相乗りによって乗車料金を安く抑えられる点が好まれて普及した。配車サービスの利点は、裏を返せばタクシーの課題である。

 流しのタクシーを捕まえるまでの待ち時間や、最終的な支払い料金が明確でないことなどを解決しようと、日本のタクシー大手各社はスマートフォン向けにさまざまなアプリを提供している。日本交通子会社のJapanTaxiは、現在地にタクシーを呼びだす「全国タクシー」や、到着前に料金を確定してアプリから支払いができる「JapanTaxi Wallet」を展開中だ。

 タクシー会社が参加する「相乗り」の実証実験も行われている。国土交通省は2018年3月11日まで、配車アプリを活用し、タクシーを相乗りで割安に利用できるサービスを試験的に行う。あらかじめ決められた30カ所の乗り場の中から乗りたい地点を指定し、相乗り候補者が提案した時間帯やルートの中から選択する形式や、同じ方向に向かう人を検索してマッチングさせる方式がテストされている。

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