「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像

ボッシュがモビリティサービスに参入「移動の在り方が根本的に変わる」モビリティサービス

ボッシュがモビリティサービスへの参入を発表。新設の事業部「コネクテッドモビリティ ソリューションズ」は600人以上の人員が所属しており、カーシェアリング、ライドシェアリング、コネクテッドカーのドライバー向けサービスなどを手掛けていくことになる。

» 2018年02月26日 11時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 ボッシュ(Robert Bosch)は2018年2月21日(現地時間)、ドイツ・ベルリンで開催した自社イベント「Bosch ConnectedWorld 2018」において、モビリティサービスに参入すると発表した。新設の事業部「コネクテッドモビリティ ソリューションズ」は600人以上の人員が所属しており、カーシェアリング、ライドシェアリング、コネクテッドカーのドライバー向けサービスなどを手掛けていくことになる。

 同社 取締役会長のフォルクマル・デナー(Volkmar Denner)氏は「車両のネットワーク化は移動の在り方を根本的に変え、その過程において現在の交通が抱える問題の解決に貢献する。ボッシュにとっての成長分野でもあり、ソリューションの提供により2桁成長を目指す」と語る。PwCの調査によれば、2025年には、全世界で4億7000万台以上の車両がネットワーク化されると予想されている。また、2022年には、モビリティサービスと関連するデジタルサービスの市場規模が1400億ユーロ(約18兆4000億円)に達する見通しだという。

「Bosch ConnectedWorld 2018」で講演するボッシュのフォルクマル・デナー氏 「Bosch ConnectedWorld 2018」で講演するボッシュのフォルクマル・デナー氏 出典:ボッシュ

 新事業部の設立に併せて、米国デトロイトを拠点とするスタートアップ企業のSplitting Fares(SPLT)を買収した。買収価格は非公開。買収後は、ボッシュの100%子会社ではあるものの、独立事業体として運営されることになる。SPLTは、企業や大学、自治体当局の従業員が通勤する際のライドシェアリングサービスのプラットフォームを提供している。アプリを使って同じルートで通勤する同乗者のマッチングと、最短ルートの計算を行う。創業は2015年で、既に米国とメキシコ、ドイツで14万人が利用しているという。

SPLTのWebサイト SPLTのWebサイト(クリックでWebサイトへ移動)

 ボッシュのモビリティサービスには、2016年から子会社のCOUPがベルリンで提供している電動スクーターのレンタルサービスがある。2017年にはフランスのパリで電動スクーターシェアリングを導入し、2018年はスペインのマドリードで同様のサービスを始める計画。ボッシュがシェアリングビジネスで展開する電動スクーターの総数は約3500台に達するという。なお、この電動スクーターの駆動装置は、ボッシュのモビリティサービス向けプラットフォーム「Bosch Automotive Cloud Suite」と接続されており、これを用いたWebサービスを開発中だとしている。

 コネクテッドカーサービスとしては、EV(電気自動車)向けの「system!e」がある。主な機能は3つ。1つ目は、現在のバッテリーの電力量、空調のエネルギー消費、ドライバーの走行スタイル、交通状況や目的地に向かうルートの地形データを考慮して、正確な走行可能距離を計算してくれる機能。2つ目は、EVで長距離を走行する際に、充電器の場所を知らせたり、充電料金の決済を行ったり、充電中の時間をどのように過ごすか提案したりする機能だ。3つ目は、スマートホームとの連携機能になる。自宅の太陽光発電システムと連携することで、EVを定置式バッテリーのように使うことが可能だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.