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» 2018年03月08日 09時00分 公開

地方発!次世代イノベーション×MONOist転職:製造業者に新たな事業機会を――ものづくりベンチャーとのマッチング事業(愛知県)

「次世代の地域創生」をテーマに、自治体の取り組みや産学連携事例などを紹介する連載の第14回。愛知県豊田市の産業振興の取り組み「ものづくりベンチャーとのマッチング事業」を紹介する。

[MONOist]

イノベーションの概要

 愛知県豊田市は、市内製造業者の新たな事業展開を支援することを目的に、2017年6月から「ものづくりベンチャーとのマッチング事業」を開始した。この取り組みは、オープン・イノベーションに関心を持つ市内製造業者から開発や技術に関するニーズの聞き取りを行い、全国のものづくりベンチャー企業とマッチングし、マッチング後は製品の共同開発を支援するというもので、豊田市、とよたイノベーションセンター、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが支援を行っている。

「ものづくりベンチャーとのマッチング事業」スキーム図 「ものづくりベンチャーとのマッチング事業」スキーム図

 2017年6月〜9月に公募・マッチングが行われた結果、市内製造業者4社と、ものづくりベンチャー企業2社の計3チームが成立。「IoT」、「AI」、「ロボット」の3分野での開発が、約4カ月間行われた。

 IoT分野のテーマは「工業用ミシンのIoT化プロジェクト」。工業用ミシンを使用して手作業で行われている、自動車用シートカバーの縫製工程における生産性向上のために、工業用ミシンから多様な情報を収集し解析することで、業務改善につなげる技術を開発した。将来的にはこの技術を同業他社に展開することを目指している。

 AI分野のテーマは「外観検査工程の自動化・効率化を実現する技術の開発」。自動車部品の「外観検査」工程の自動化・効率化を実現する技術を開発するというもので、将来的には国内外に横展開することを目指す。

 ロボット分野のテーマは、商業施設内での来場者への効率的な情報伝達や、施設案内・商品案内を行う「モニター移動ロボット『moniii(モニー)』」の開発である。

 2018年2月2日、成果発表会が開催され、プロジェクトによって生まれた先端事例の紹介やデモンストレーションが披露された。

イノベーションの地域性〜愛知県といえば……

 かつて尾張国、三河国であった愛知県といえば、あまりにも有名な戦国三英傑、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康だろう。かなり乱暴に言えば、今の日本という国は、この3人なくして形作られることはなかっただろう。

産業に目を転じると、県内総生産は東京都、大阪府に次いで第3位。そのうち約3割を製造業が占める。製造業の事業所(従業者4人以上)の製造品出荷額などは全国第1位で、輸送機械が約5割となっている。農業出荷額も全国の上位に位置し、特に花きは全国第1位。漁業も生産量1位のあさり類、養殖あゆをはじめ、しらす、くるまえび、養殖うなぎなども全国上位。木材・木製品出荷額も全国第5位である。

しゃちほこ

 「クルマのまち」として知られる豊田市は、2005年度の合併により森林が市域の約7割を占めるようになり、各地域には昔から営まれてきた山里の生活や文化も残っている。市では、森林の保全、創造を推進して次世代に継承する「豊田市100年の森づくり構想」や、田舎体験・田舎暮らし、観光振興にも取り組んでいる。

ここに注目! 編集部の視点

 豊田市では、工業統計調査の中で自動車関連製造業(組み立て工場や自動車部品生産など全てを含む)の独自集計を行っている。それによると、市内の全工場(従業者4人未満を含む)のうち自動車関連工場は約3割で、そこで働く従業者数は8割以上。製造品出荷額などの中で自動車関連工場の製造品出荷額などは、95%を超えている。

 自動車産業で確固たる基盤を持っている豊田市が、製造業の新たな芽を創出し育てようとしている点が、この取り組みのポイントだろう。市は今後も継続する意向で、自動車以外の分野はもちろん、自動車関連で企業城下町を形成するさまざまな企業にもチャレンジできる場となり、未来の愛知を支える分野に育っていくのかもしれない。

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