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» 2018年03月16日 09時00分 公開

地方発!次世代イノベーション×MONOist転職:ロボットや半導体で新産業を――福岡県ロボット・システム産業振興会議(福岡県)

「次世代の地域創生」をテーマに、自治体の取り組みや産学連携事例などを紹介する連載の第15回。ポテンシャルを生かし、新技術の開発、新産業の創出に取り組んでいる「福岡県ロボット・システム産業振興会議」を取り上げる。

[MONOist]

イノベーションの概要

 2015年9月、「福岡県ロボット・システム産業振興会議」が発足した。同会議は「福岡先端システムLSI開発拠点推進会議」と「ロボット産業振興会議」を統合したもので、「産業界、大学および行政が緊密に連携して、これまでに培ってきたロボットや半導体関連の技術ポテンシャルを活用し、新技術の開発および新産業の創出を推進すること」が目的。市場の成長が見込まれ、福岡県の強みや特徴を生かせることから、医療福祉、エネルギーマネジメントシステム、食品・農業の3分野をターゲットに取り組んでいる。

福岡県ロボット・システム産業振興会議 福岡県ロボット・システム産業振興会議

 母体の一つである福岡先端システムLSI開発拠点推進会議は、2001年に設立。大学、半導体関連企業や自動車産業の集積など、地域のポテンシャルを活用し、東アジア地域を結ぶシリコン・シーベルト地帯の核となるシステムLSI開発拠点を構築という「シリコン・シーベルト構想」の中核組織として活動。また2003年設立のロボット産業振興会議は、環境配慮型ロボット製品などの開発支援、研究開発推進など、市場開拓の支援に取り組んできた組織だ。福岡県ロボット・システム産業振興会議は、これらの基盤の上にスタートしたことになる。

 支援インフラも、半導体では「先端半導体設計センター」(福岡市早良区)、「三次元半導体研究センター」(糸島市)、「社会システム実証センター」(糸島市)が、ロボットでは「産業用ロボット導入援センター」(北九州市若松区、北九州学術研究都市)、社会ロボット具現化センター(北九州市若松区、九州工業大学)、先端医療イノベーションセンター(福岡市東区、九州大学)、ロボスクエア(福岡市早良区)と充実している。

 また福岡県では、プログラミング言語Rubyの技術者が多いことから、2012年には「福岡県Ruby・コンテンツビジネス振興会議」を設立し、Rubyおよびコンテンツ産業の育成、集積を図っている。「福岡県IoT推進ラボ」では両振興会議が連携し、ロボットや半導体とRuby関連の技術を組み合わせたIoTプロジェクトの創出、実施、フォローアップを推進している。

 「福岡水素エネルギー戦略会議」、「福岡県バイオ産業拠点推進会議」、また「ふくおか医療福祉関連機器開発・実証ネットワーク」とも連携して出口戦略を強化しているほか、2017年12月には、各分野の先端技術を持つスタートアップを一堂に会したマッチングイベント「DEEPTECH FUKUOKA」も九州で初めて開催。2018年2月現在、福岡県ロボット・システム産業振興会議の会員は、企業が549社、研究機関・支援機関が25機関、大学などが141人・11団体、行政が6機関、個人28人、計760となっている。

イノベーションの地域性〜福岡県といえば……

 福岡県は食べ物がおいしいといわれる。よく知られているのは、豚骨ラーメン、辛子明太子、もつ鍋、水炊きなどだが、玄界灘、響灘、周防灘、有明海に囲まれており海産物も豊富。店舗数日本一の屋台も福岡の食文化を彩っている。

 豊かな自然環境と都会が近く、また「博多どんたく」や「博多祇園山笠」ほか伝統的な行事も受け継がれている。38の大学、20の短期大学があり、大学・短大数、学生数とも九州の半数。医療機関も病院数全国第4位、医師数全国第5位(2014年度)と充実。子育て応援事業「子育て応援の店」の登録店舗数も全国第2位(2015年)である。

博多祇園山笠 博多祇園山笠

 福岡県が目指しているのは、「県民幸福度日本一」。英国モノクル誌が毎年実施している「世界で最も住みやすい25の都市ランキング」で、2016年には世界7位となり、人口も増加している。ロボットや半導体関連技術の推進は、県の重点戦略の一つ「しごとを創る」ためにも、また県民の実生活にも恩恵を与えることになるだろう。

ここに注目!編集部の視点

 福岡県は、古代から中国大陸や朝鮮半島との交流の窓口となってきた場所。福岡―東京間と福岡―上海間の距離はほぼ同じである。

 明治から昭和にかけては石炭で栄え、それを活用した各工業、重化学コンビナートなどは、日本の近代化において重要な役割を果たしてきた。産業構造の変化により素材型産業が厳しくなる中、先端成長産業の育成、集積に取り組んできた結果、自動車産業、先端半導体、バイオ、ロボットなどの企業立地が進んでいる(以上、「福岡県県政概要」より要約)。現在、電子部品・デバイス・電子回路製造業の製造品出荷額などは県の約3%を占め、ロボット製造業の製造品出荷額などでは全国第2位に成長している。

 福岡県は「グリーンアジア国際戦略総合特区」にも指定されている。長い歴史の中で培ってきたアジアとのネットワーク、公害問題を克服してきた経験、産業構造の変化を乗り越えてきた実績、そしてロボットや半導体を強みに、アジアの環境問題にも力を発揮しようと推進している。

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