特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
ニュース
» 2018年04月03日 08時00分 公開

人工知能ニュース:エッジに組み込むAI推論モデルを動的に入れ替え、ウフルが「enebular」に新機能

ウフルは、IoTオーケストレーションサービス「enebular(エネブラー)」について、AIのエッジ層での実運用を支援する「enebular AI empowerment」の開発を発表。2018年春から、enebular AI empowermentを用いたPoC(概念実証)を開始し、同年夏〜秋にかけて正式提供を始める計画だ。

[朴尚洙,MONOist]

 ウフルは2018年1月31日から提供を始めたIoT(モノのインターネット)オーケストレーションサービス「enebular(エネブラー)」のエンタープライズ・プランの拡充を進めている。AI(人工知能)プラットフォーマーのABEJAのユーザーイベント「ABEJA SIX 2018」(2018年2月22日)において、AIのエッジ層での実運用を支援する「enebular AI empowerment」の開発を発表。同年春から、enebular AI empowermentを用いたPoC(概念実証)を開始し、同年夏〜秋にかけて正式提供を始める計画だ。

 enebularは、IoTのデータの流れである「データフロー」を設計する機能が評価されてきた。エンタープライズ・プランでは、これに加えて、コンサルティングサービスやインテグレーションサービスを組み合わせ、製品企画から運用の最適化まで包括的に支援する。ウフル 常務執行役員の竹ノ内学氏は「既に幾つかのユーザーが使い始めており、さまざまな分野で案件が進展している」と語る。

 このエンタープライズ・プランの展開を広げていく上で、enebular自身の機能強化も必須だ。enebularでは、クラウドやゲートウェイ、デバイスなどのIoTを構成するレイヤーにデプロイ(配置・導入)する「アセット」を相互に連携させられることが特徴になっている。このアセットの1つが先述したデータフローだ。enebular AI empowermentは、ゲートウェイやデバイスといったエッジ層に、アセットの1つである「AI推論モデル」を容易に組み込める機能になる。

AI推論モデルを「コンテナ」にしてゲートウェイにデプロイ

 enebular AI empowermentは、AI推論モデルを得るのに用いる機械学習やディープラーニングのプラットフォームやフレームワークではない。それらによって得たAI推論モデルというアセットについて、エッジ層に最適な形でデプロイするとともに、データ入出力を抽象化したコネクターを提供し、エッジ層の稼働状況のモニタリング/安定運用を可能にする。

 ウフル プロダクト開発本部 本部長の竹之下航洋氏は「AIプラットフォームで得た推論モデルをIoTの実環境で動かすための仕組みだ。IoT活用を実ビジネスにつなげていく上で、やはりAI推論モデルは重要な役割を果たす。しかし、処理能力に制約のあるエッジ層にAI推論モデルをデプロイし、データフローを確立するのには手間が掛かる。enebular AI empowermentを使えば、その手間を省くことができる」と説明する。

 現在開発を先行しているのは、エッジ層のうちより高い性能を持つゲートウェイ向けの機能となる。NVIDIAの「Jetson」やIntelのプロセッサ搭載基板から、「Rapsberry Pi 3」クラスまでが対象で、AI推論モデルを実行するのに必要なAPIなどをラップした「コンテナ」をデプロイする。「コンテナにすることで、ゲートウェイにデプロイするAI推論モデルを動的に入れ替えるといったフレキシブルな運用も可能になる」(竹之下氏)という。

 ABEJA SIX 2018では、飲料ボトルの工場をイメージしたenebular AI empowermentのデモを披露した。このデモでは、JetsonにデプロイしたAI推論モデルにより、飲料ボトルののキャップの有無を検知するだけだった。しかし「第2回 AI・人工知能 EXPO」(2018年4月4〜6日、東京ビッグサイト)では、AI推論モデルを動的に切り替えるなどさらに一歩進んだデモを披露する予定だ。

「enebular AI empowerment」のデモ 「enebular AI empowerment」のデモ。手前右にある「Jetson」にAI推論モデルがデプロイされている。カメラで撮影した飲料ボトルにキャップが無いとLEDが点灯する(クリックで拡大)

性能が限られる「デバイス」への対応は2019年に検証

 エッジ層については、ゲートウェイだけでなく、より性能が限られるマイコンなどを搭載するデバイスへの対応も検討している。竹之下氏は「enebularで、マイコン上にデータフローをデプロイする際には抽象化レイヤーが必要になるが、これはAI推論モデルでも同様のものが必要だ。この抽象化レイヤーの仕様はAIプラットフォームに依存することもあり、全てのAIプラットフォームに対応することは難しいだろう」と述べる。

 2018年はゲートウェイ向けのenebular AI empowermentの展開に注力するため、デバイスへの対応については2019年にユースケースなどを含めて検証を進めることになる。「FPGA活用を含めて、デバイスのトレンドはウォッチしているので、しっかりフォローアップしていきたい」(同氏)としている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.