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» 2018年04月09日 10時00分 公開

VRニュース:船舶の自動航行をMRとAIで実現するJRCS、マイクロソフトはHoloLensで陸海空制覇 (1/2)

JRCSと日本マイクロソフトは、MR(複合現実)やAI(人工知能)などを活用して海運・海洋産業の働き方改革を推進するプロジェクト「JRCS Digital Innovation LAB」を開始する。JRCSは、同プロジェクトで開発する遠隔トレーニングや船舶の自動航行サービスなどを中核とするデジタルイノベーション事業を拡大する方針。

[朴尚洙,MONOist]

 船舶用配電機器や制御盤を手掛けるJRCSと日本マイクロソフトは2018年4月6日、東京都内で会見を開き、MR(複合現実)やAI(人工知能)などの最新技術を活用して海運・海洋産業の働き方改革を推進するプロジェクト「JRCS Digital Innovation LAB」を開始すると発表した。JRCSは、2019年3月に提供開始予定の遠隔トレーニングや、2030年をめどに開発を進める船舶の自動航行サービスなどを中核とするデジタルイノベーション事業を拡大する方針。「将来的にはデジタルイノベーション事業で売り上げの6割を稼ぎたい」(JRCS 社長の近藤高一郎氏)という。

JRCSの空篤司氏 JRCSの空篤司氏

 JRCS Digital Innovation LABでは、3つのフェーズに分けてサービス開発を進める。第1フェーズに当たる遠隔トレーニングソリューション「INFINITY Training」は、MRやAIを活用した効果的な人材育成の仕組みを、船員や陸上で勤務する監督も含め海運・海洋産業に携わる人々に提供するもの。JRCSはこれまで、山口県下関市本社内のトレーニングセンターで、船員の訓練及び資格証明ならびに当直の基準に関する国際条約であるSTCW条約に準拠した船員向けの専門トレーニングを提供してきたが、海外からの参加は難しい状況にあった。日本マイクロソフトの協業により、MRを用いた空間共有や、制御システムなどの実製品とデジタルコンテンツの融合、さらに「Microsoft Translator」の翻訳機能も活用することで、さまざまな場所にいる船員が、いつでも、どこにいても、言語、時間、距離の壁を越えて、機器やシステムの操作などのトレーニングに参加できるようにする。

 INFINITY Trainingは2019年3月にサービスを始める計画。JRCS イノベーション営業部 部長 Digital Innovation LAB 室長の空篤司氏は「まずはJRCS製品のトレーニングから始め、その後海運・海洋産業に関わる遠隔トレーニングの標準プラットフォームとして展開を広げていきたい」と語る。

「INFINITY Training」の概要「INFINITY Training」のサービスイメージ 「INFINITY Training」の概要(左)とサービスイメージ(右)(クリックで拡大) 出典:JRCS、日本マイクロソフト

 第2フェーズは遠隔メンテナンスソリューション「INFINITY Assist」だ。エンジニアが船舶のメンテナンスを行う際にHoloLensを装着すると、MRとして機器の上に作業手順などが表示され、より安全に短時間で作業できるようなる。2019年内にJRCS製の高圧配電盤のメンテナンスアプリケーションを開発した後、2020年から順次コンテンツの拡大を図っていく。「HoloLensによるMRに加えて、AIを活用した予防保全なども提供できるようにしていく」(空氏)という。

「INFINITY Assist」の概要「INFINITY Assist」のサービスイメージ 「INFINITY Assist」の概要(左)とサービスイメージ(右)(クリックで拡大) 出典:JRCS、日本マイクロソフト

 そして第3フェーズが、将来的な船舶の自動航行まで見据えた陸上での操船ソリューション「INFINITY Command」である。自動運転車だけでなく、船舶についても自動航行技術の開発が検討されている。海外では、ドイツやフィンランドのプロジェクトがあり、ロールスロイス(Rolls Royce)も開発を進めている。国内でも日本郵船が2019〜2020年にかけて実証実験を始める予定だ。これらの自動航行技術は2030年に実用化されると想定されている。

 JRCSがINFINITY Commandで検討している自動航行技術では、IoTやAIなどの技術とビッグデータを活用することで、船舶操船を担うキャプテンが、近い将来、デジタルキャプテンとして陸上から複数の船舶をコントロールする世界を想定。デジタルキャプテンは、HoloLensを通じて、遠隔地にいる他のデジタルキャプテンと3D海図を共有しながら、航路、天候、海底地形などの情報をAIも活用しながら確認し、船舶の安全、海上輸送の正確性、効率性を確保する。空氏は「配電盤や制御盤をデジタル化した上で、船舶の運航に必要な海上、海底、天候などの情報をバーチャルコマンドセンターに集約し、それぞれの船舶の自動航行をつかさどるAIとやりとりするのデジタルキャプテンだ」と説明する。

「INFINITY Command」の概要「INFINITY Command」のサービスイメージ 「INFINITY Command」の概要(左)。2030年ごろから実用化が想定される自動航行船を、バーチャルコマンドセンターのデジタルキャプテンがコントロールする(右)(クリックで拡大) 出典:JRCS、日本マイクロソフト
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