人に好かれるマネージャーであれあなたのマネジメント力で組織課題を解決(5)(2/2 ページ)

» 2018年04月16日 09時00分 公開
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問題解決はすぐにできないけれど、空気は一瞬で変えらえる

 それでも、ときに部下が仕事をミスしたり、アウトプットのレベルが期待していたよりも低かったりして、「どうなっているんだ」「もう2度とこうならないように対策を出せ」と感情的に責めてしまうこともあるかもしれません。

 こんなときこそ問題解決の出番。部下を責めても意味はありません。スキルアップには時間がかかります。個人の能力は重要ですが、そればかりを嘆いていても問題は解決されないことはこれまでの連載でもお伝えしてきました。

 大切なのは、部下のスキルや考え方は取り除き、どのような状態になっているのか、その原因は何なのかをファクトベースで建設的に、ポジティブに問題を深掘りし、特定していくことです。

 しかし、問題解決力もすぐに身に着くものではありません。マネージャーとはいえ、まだまだ経験が浅く、確実な解決策を見つけることができないかもしれない。けれどまだそれでいいのです。本質を捉えようとする意識の方がずっと大事。

 そしてまだ自身の問題解決力に不安があるマネージャーでもすぐにできるのは、ポジティブな空気づくりです。ちょっとしたミスで空気が沈む、なかなか売り上げが上がらない――。みんなが下を向いているときこそ、「ちょっと甘いものでも食べようか!」という一声が、一瞬で空気を変え、気分を変えることもあります。嘆いたって、誰かを責めたって、前には進みません。みんなが仕事のしやすい空気、チャレンジしやすい環境、そんな場を部下に提供していくのがマネージャーの「利他主義」です。

状況を嘆かず、自らの仕事としてやり切るしかない

 最後に、もう一つ意識したいのが「当事者意識」です。

 “誰かがやるだろう”“それは私の仕事ではないかな”と思っているうちは、絶対に問題は解決しません。

 どんな状況であれ、目の前の課題に対して動き続けるしかありません。自分の上司や組織の状況、自分の能力、役割や権限など、目標への道にはさまざまな障害があるかもしれません。しかしそれらを嘆かず、自分がいる環境の中で成長していくというのがマネージャーに与えられた義務です。

 そして、部下を信じ、自らを信じて、常に前を向き続ける人の周りには、人が集まります。

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 一昔前まで、マネージャーは「管理する人」でした。ある程度の役職に就けば、道は約束される。

 しかし今は、数字の管理だけをしているようなマネージャーは求められていません。自組織の課題を解決していくのがマネージャーです。そして、自らが成長し、これからは後進を動ける人材として成長させていかねばならない。

 複雑化する社会でマネージャーが求められることは多く、しかし十分な権限もなく、“忖度(そんたく)”を続けないといけない組織の中、初めて役職者となる課長的存在が最も大変なんだと、この連載でメッセージを送ってきました。

 人に好かれ、人を信頼し、そして自らを信じて、論理的に考え出された課題に対して身体を動かす。もちろん、簡単なことではありません。しかし、何ごともやってみないと始まらない。

 問題解決もマネジメントも、人の生き方そのものだと言っても過言ではないくらい、奥深いものだと私自身が実感しています。まずは部下を信じ、自分を信じ、前を向いて動いてみる。私たちがいるのは、周りの見えない大海原かもしれません。それでも諦めず、一緒にオールをこぎ続けましょう。

筆者プロフィル

株式会社VSN VIエキスパート 桑山 和彦(くわやま かずひこ)

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通信機器、情報機器メーカーより株式会社VSNに転職。VSNに入社後はエレクトロニクスエンジニアとして半導体のデジタル回路設計やカメラ用SDK開発業務に携わる。

2013年より“派遣エンジニアがお客さまの問題を発見し、解決する”サービス、「バリューチェーン・イノベーター(以下、VI)」を推進するメンバー「バリューチェーン・イノベーター・プロフェッショナル」に抜擢。ビジネス・ブレークスルー大学・大学院の教授である斎藤顕一氏より問題解決手法の教示を受け、いくつもの問題解決事案に携わる。

現在はVIエキスパートとして、よりハイレベルなコンサルティングサービスを提供する他、社員の育成プログラムの構築〜実施を行う。

株式会社VSN http://www.vsn.co.jp/

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