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» 2018年04月16日 06時00分 公開

モビリティサービス:創業100年の路線バス会社の危機感、自動運転車で実証実験をスタート (1/2)

SBドライブと岡山県内で路線バスを運営する宇野自動車は、自動運転バスのサービス実用化に向けた実証実験を開始する。

[齊藤由希,MONOist]
写真左からSBドライブの佐治友基氏、宇野自動車の宇野泰正氏、赤磐市 市長の友實武則氏(クリックして拡大)

 ソフトバンク子会社のSBドライブと岡山県内で路線バスを運営する宇野自動車は2018年4月13日、岡山県赤磐市で会見を開き、自動運転バスのサービス実用化に向けた実証実験を開始すると発表した。

 まずは週末の同月14〜15日で一般向けの試乗会を行い、地域住民に自動運転車の運転を体験してもらう。さらに2018年度中に、住民の高齢化が進む市内の山陽団地周辺を走る路線で自動運転バスを使った長期間の実証実験も行いたい考えだ。自動運転バスで現金決済を行わなくなることも想定し、独自に用意した非接触ICカードを配布してキャッシュレス決済の在り方も検証する。

 自動運転バスの導入によって、既存路線の増便や運行時間帯の拡大を図る。それによって改善した収支で、赤字路線の運営もカバーしていくことを狙う。

バスの無人化は狙いではない

 宇野自動車は1918年に岡山県で創業した老舗の路線バス会社だ。国や自治体の補助金を受けずに無借金経営を続け、対キロ区間制(乗車距離に応じて区間運賃を算定する方式)の基準賃率は全国でも最低水準の23円20銭を維持している。ここ数年で運行を廃止した路線は、利用者が少ない2路線にとどまるという。

 安定経営の同社にとってもドライバーの確保は課題となっていた。宇野自動車 社長の宇野泰正氏は「このまま何もしなければ2〜3年後には減便や路線廃止が避けられない。自動運転バスとドライバーが運転するバスがうまくかみ合えば、増便や運行時間帯の拡大で有効な手段になる。自動運転バスが市販されたら是非購入する」と期待を寄せる。

写真手前が試乗会で使う自動運転バス。奥は宇野自動車の路線バス(左)。市販車両をベースにセンサーを取り付けている(中央)。センサーの検知状況や走行情報を示すディスプレイが車内にある(右)(クリックして拡大)

 同月13日時点で、試乗会の定員180人に対し、150人が試乗を申し込んだ。試乗車は日野自動車の小型バス「リエッセ」をベースにさまざまなセンサーを追加したもの。SBドライブと先進モビリティが開発した。試乗会では運転席にドライバーが座るが、加減速やブレーキ操作、操舵(そうだ)はシステム側で制御する。走行ルートはGPSを基に事前に設定されている。信号は認識できないため、信号待ちで先頭になる場合はドライバーがブレーキを踏む。試乗会では速度の上限を時速20kmとしている。

 走行するのは赤磐市立中央公民館周辺の約1kmの公道だ。途中、試乗会向けに設置したバス停で停止する場面が含まれる。路線バスは、高齢者でも安全に乗降りできるようにするため、バス停前の縁石に可能な限り接近して停めることが求められる。

自動運転で試乗コースを走行する様子(左)。バス停で停止する時には縁石に寄せることが要求される(右)(クリックして拡大)
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