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» 2018年05月09日 06時00分 公開

設計開発ツール:車両制御開発にもっとシミュレーションを、モデルベース開発とゲームエンジンで

MathWorksが2018年3月に発表した「Simulink」の新バージョン「Release 2018a」は、車両運動のシミュレーションを強化している。新機能の「Vehicle Dynamics Blockset」では、ゲームエンジンによって構築した仮想3次元環境で車両モデルを走らせ、クルマの走る・曲がる・止まるの制御を検証することができる。

[齊藤由希,MONOist]

 MathWorksが2018年3月に発表した「Simulink」の新バージョン「Release 2018a」は、車両運動のシミュレーションを強化している。新機能の「Vehicle Dynamics Blockset」を使えば、ゲームエンジンによって構築した仮想3次元環境で車両モデルを走らせ、クルマの走る・曲がる・止まるの制御を検証することができる。

 先進運転支援システム(ADAS)の開発では、各国の自動車アセスメントの項目をにらみながら、制動距離や姿勢の制御など性能を保証することが要求されている。テストコースでさまざまな路面状態や環境を再現して走行試験が行われている他、自動運転技術を実環境で検証するため公道試験も実施されている。しかし、試作車両を作った後の手戻りを減らすとともに、さまざまな走行シーンを網羅する上ではシミュレーションの活用が欠かせない。

Vehicle Dynamics Blocksetが提供する機能(クリックして拡大) 出典:MathWorks

 Vehicle Dynamics Blocksetのシミュレーションは、ISO3888-1:1999など標準運転テストでの車両性能の特性評価、シャシー制御システムの設計やテスト、ADASや自動運転の走行テストなどでの使用を想定している。

 車両制御アルゴリズムの開発で求められるABS(アンチロックブレーキシステム)や自動ブレーキ、電動パワーステアリング、電子制御式サスペンション、スタビリティコントロール、トルクベクタリングといった機能の検証に向く。また、ADASや自動運転で必要な周辺環境認識や行動経路の決定のシミュレーションにも対応する。

 Vehicle Dynamics Blocksetで使用する車両モデルは、パワートレインやタイヤ、ブレーキ、ステアリングシステムといった部品やサブシステムを組み合わせて作成する。パラメーター変更やカスタマイズが可能なサンプルモデルも用意している。これらはSimulinkベースのモデルで、ユーザーによる内容の理解やカスタマイズが容易だとしている。

 車両モデルを走行させる速度や運転操作(ダブルレーンチェンジなど)を設定した上で、Epic Gamesのゲームエンジン「Unreal Engine」で作った3次元空間を走行させる。その結果は、作成したSimulinkのモデルに反映させることが可能だ。

ゲームエンジンとモデルを連携させることが特徴となる(クリックして拡大) 出典:MathWorks

 Unreal Engineでは任意のシナリオを作成して、パイロンや歩行者などを配置して挙動を確認できる。制御アルゴリズム次第では、高速でダブルレーンチェンジを行った時に、挙動を乱してパイロンを跳ね飛ばすという映像になる。また、ブレーキテストで制御の違いによって制動距離にどの程度差が出るかを確認することもできる。路面の状態も、凍結やウエット、ドライなどに対応する。

 自動運転やADAS向けには、標識の配置や夜間と昼間の切り替えなどの設定により、センサーと自動ブレーキをモデルでテストすることができる。ゲームエンジンの映像が不要な場合は、シミュレーションでの走行結果のみを得ることも可能だ。

夜間の自動ブレーキやセンサーの動作もシミュレーションできる(クリックして拡大) 出典:MathWorks

 Vehicle Dynamics Blocksetは、モデルの詳細度とシミュレーションのパフォーマンスのバランスをとることにより、シミュレーション時間を最適化する。実時間以上のシミュレーションに対するニーズにも応える。

 Simulinkを既に利用中の場合は、Vehicle Dynamics Blocksetを追加購入で利用できる。税別価格は42万5000円。

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