連載
» 2018年05月11日 13時00分 公開

ママさん設計者は元2次元信者【後編】:3D CADでの設計の肝はボトムアップとトップダウン (3/3)

[藤崎 淳子/Materiai工房テクノフレキス,MONOist]
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本質は変わらないけれど

 いくら3D設計にしたからといって私自身のこの本質が変化したわけではないので、設計自体の良しあしに大きな変化はないです。ただ、重量計算や干渉チェックなど、2次元では出来なかった、あるいは面倒だったことも3D CADでは楽に出来ますし、部品図や構成表の間違いも劇的に少なくなります。「コンピュータにできることはコンピュータに任せて、人間は考えることに専念。結果的に、効率も信頼性も利益も上がる」。というのが3D CAD導入の1番のメリットだなとつくづく感じています。

(筆者セミナー資料より)

 そもそも私たちが生きている空間は3次元で、作ってるモノも3次元形状ですから、最初から3次元で考えて設計するのが理想といえば理想です。でも、大昔にはその手段がありませんでした。だから3次元形状を2次元の三面図にわざわざ落とし込んで作業することが一般的になり、長らく2次元図面優位の時代が続き、私のようなガンコな2次元信者を増やしていきました。

 でも、CADは神様ではなく設計のための便利道具でしかありません。3D CADは理にかなった設計ツールであって、2次元CADよりもスマートに実務に適用できる道具であるというだけなのです。先に述べた「トップダウン設計」とか「ボトムアップ設計」という言葉もそれと同じ捉え方で、格式ばった用語ではなくて物事の進め方だと考えればよいですよね。ポンチ絵の段階で構想設計をやって、ある程度の組立図まで作る。ここが設計の肝で人間の能力の出しどころです。その後、3D CADの力を借りて詳細設計に入っていくのがメカ設計の理想の流れで、これを言い表すと「トップダウン設計」になります。つまり、「もっと気楽に考えましょ」と言いたいのです。

 2次元に1次元増えただけではなく、仮想的に部品や機械を作れる道具である3D CADは、2次元CADと比べても機能が多く操作も複雑です。私が真っ先に導入した3D CADが商用ミッドレンジCADだったことは、確かに高いハードルでしたが、その高機能のおかげで3D CADへの誤解が解けて、なんとか“便利道具”として使えるまでになれたのです。最近では、オートデスクの「Fusion360」のような低価格で本格的な3D CADもありますから、3D CADを試したり確かめたりする機会には恵まれています。

 重ねて言いますが、CADはあくまで“便利道具”ですから、導入する・しないを決める要素は「使用目的」です。そこが明確なら成果を得るためのトレーニングというハードルを乗り越えられれば、2次元からの脱却はきっとうまくいくでしょう。(終わり)

Profile

藤崎 淳子(ふじさき じゅんこ)

長野県上伊那郡在住の設計者。工作機械販売商社、樹脂材料・加工品商社、プレス金型メーカー、基板実装メーカーなどの勤務経験を経てモノづくりの知識を深める。紆余曲折の末、2006年にMaterial工房テクノフレキスを開業。従業員は自分だけの“ひとりファブレス”を看板に、打ち合せ、設計、加工手配、組立、納品を1人でこなす。数ある加工手段の中で、特にフライス盤とマシニングセンタ加工の世界にドラマを感じており、もっと多くの人へ切削加工の魅力を伝えたいと考えている。

・筆者ブログ「ガノタなモノづくりママの日常」



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