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» 2018年05月11日 09時00分 公開

地方発!次世代イノベーション×MONOist転職:富士の国から生み出す新しい事業――Mt.Fujiイノベーションエンジン(山梨県)

「次世代の地域創生」をテーマに、自治体の取り組みや産学連携事例などを紹介する連載の第22回。山梨県甲府市を拠点に活動している起業・創業支援コンソーシアム「Mt.Fujiイノベーションエンジン」を紹介する。

[MONOist]

イノベーションの概要

 「Mt.Fujiイノベーションエンジン」(以下、『イノベーションエンジン』)とは、「起業家や事業家の活動を支援することを目的とした、起業・創業支援コンソーシアム」である。2014年より取り組まれてきた、起業家・新規事業創出とそのハンズオンを支援するスタートアップの祭典「Mt.Fujiイノベーションキャンプ」の流れを受けて2017年に発足した。

 展開しているサービスは、ビジネス相談、起業・創業案件のインキュベーション、セミナー・講演会、人材・ビジネスのマッチングサービス、メールマガジンによる各種情報提供、インキュベーションセンター「STERRA Yamanashi(ステラ山梨)」の利用。質を高める目的で会員制を採用しており、例えば「エンジン会員」は年会費1万2000円だが、一部のサービスは非会員でも利用できる。

 旬なテーマを取り上げるセミナーや勉強会「Mt.Fujiイノベーションサロン」は、毎月1回程度のペースで開催。例えば2018年5月にはAI、IoT、6月にはエネルギー、省エネ、創エネ、EVといったテーマが予定されている。毎回「ピッチ登壇者」を募集しており、1チーム持ち時間10分でビジネスピッチも行われる。

 2018年3月には、設立1周年記念イベントとして、「Mt.Fujiイノベーションサミット&エキスポ」も開かれ、日本各地の起業・創業支援の先進事例や、歴代のイノベーションキャンプ参加者による、起業・創業支援事業の活用事例などが紹介された。

 STERRA Yamanashiは、JR 中央線甲府駅から徒歩8分という立地で、コワーキングスペース、シェアオフィス、イベントスペースの機能を備えている。イノベーションエンジンの「ステラ会員」(月会費15,000円)は、土日祝日・夜間などの営業時間外にも施設を使用可能で、STERRA Yamanashiをオフィスの住所として利用できる。

イノベーションの地域性〜山梨県といえば……

 「富士の国やまなし」は、富士山をはじめ、八ヶ岳、南アルプスなど高い山々に囲まれた盆地。全体の8割が森林である。名水も多いため、ミネラルウォーターの生産量、ウイスキーの製成量とも日本一。寒暖差が大きく果物の生産に適していることから、ぶどう、もも、すももの収穫量も日本一である。甲州ぶどうから作られる「甲州ワイン」は近年海外でも人気が高まっている。

 水の豊かな地であることから、機械電子機器関連産業を中心に先端技術産業が集積。かつては全国一の水晶の産地でもあり、優れた水晶の研磨技術は、通信用・光学用の高機能単結晶製造技術やシリコンウエハーの研磨技術などにつながっている。

 2027年には、リニア中央新幹線が品川−名古屋間で開業の予定。山梨から品川まで25分、名古屋まで40分でつながる。県のWebページには「山梨県にとっては、明治36年の中央本線甲府以東の開通や、昭和57年の中央自動車道の全線開通により飛躍的な発展を遂げた整備に匹敵するもので、圧倒的な時間距離の短縮、国内外の人々との交流や活動の拡大が期待されます」と書かれている。富士山と、水と、ぶどうと、電子機器の山梨に、まだ誰も見たことがない世界がもうすぐやってくる。

ここに注目! 編集部の視点

 イノベーションエンジン発足の流れを作り出したMt.Fujiイノベーションキャンプは、Mt.Fujiイノベーションキャンプ実行委員会と山梨県の主催で、2014年から毎年開催されている。「実現したいビジネスプランを持ち寄り、各界のスペシャリストによる指導・メンタリングを受けてプランのブラッシュアップを図り、最終日の『イノベーティブビジネスプランコンテスト』で発表」するというもので、2017年は9月15〜17日に開催された。協力・後援として、民間企業はもちろん、自治体や商工会・商工会議所、金融機関、メディア、業界団体、大学などが名を連ねており、産学官連携の取り組みといえる。

 2015年から2019年までの5年間を期間として県が策定した「やまなし子ども・若者育成指針」にも、「重点目標8」として「社会的・職業的自立に必要な能力、起業家精神やリーダーシップの育成を推進します」と記されている。Mt.Fujiイノベーションエンジンは、スタートしてまだ1年余りだが、山梨発の起業家や新規事業創出の文字通り「エンジン」となり、エコシステムの構築に向けて加速していくことだろう。

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