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» 2018年05月23日 08時00分 公開

車載電子部品:車載ネットワークの伝送速度は光通信で10Gbpsへ、高速化とEMCを両立 (1/2)

TE Connectivityの日本法人であるタイコ エレクトロニクス ジャパンは2018年5月22日、アダマンド並木精密宝石と共同で、伝送速度10Gbpsの車載ネットワークを実現できるデータリンクシステムを開発すると発表した。現行の車載ネットワークは最高伝送速度が1Gbpsの仕様が策定されているが「10Gbpsは世界初の取り組みになる」(両社)という。

[朴尚洙,MONOist]
タイコ エレクトロニクス ジャパンの松井啓氏 タイコ エレクトロニクス ジャパンの松井啓氏

 TE Connectivityの日本法人であるタイコ エレクトロニクス ジャパンは2018年5月22日、アダマンド並木精密宝石と共同で、伝送速度10Gbpsの車載ネットワークを実現できるデータリンクシステムを開発すると発表した。現行の車載ネットワークは最高伝送速度が1Gbpsの仕様が策定されているが「10Gbpsは世界初の取り組みになる」(両社)という。2020年までに基本技術を確立した後、顧客との量産開発を経て2023年の製品リリースを目指す。また、「人とくるまのテクノロジー展 2018 横浜」(2018年5月23〜25日、パシフィコ横浜)で試作機を公開する予定だ。

 大手コネクターメーカーであるTE Connectivityは、さまざまな通信技術による新たな価値を生み出すと期待されているコネクテッドカーの開発に向けて3つの分野で開発に注力している。タイコ エレクトロニクス ジャパン 執行役員 営業&マーケティング本部の松井啓氏は「2023年をめどに、高速伝送、高電圧、センサーの3分野で新たな価値を生み出すべく注力している。今回の発表は、高速伝送での取り組みになる」と語る。

10Gbps車載データリンクシステムを接続した基板通信デモンストレーションの様子 10Gbps車載データリンクシステムを接続した基板(左)と通信デモンストレーションの様子(右)。車載システムに求められる振動試験中でもオシロスコープにアイパターンが表示されており、10Gbpsの通信ができていることを示している(クリックで拡大)

ITシステムから20年遅れで進んできた車載ネットワークの高速化

 自動運転技術やコネクテッドカーを進化させていく上で、車両内でのデータの受け渡しに用いる車載ネットワークの高速化も必要になる。タイコ エレクトロニクス ジャパン プリンシパル オートモーティブ 技術・開発本部 技術開発統括部の小林茂氏は「ITシステム向けのネットワークに対して、車載ネットワークの高速化は約20年遅れで進んできた」と説明する。これは、車両の内部という厳しいEMC(電磁両立性)環境の中で、人命に関わる自動車の動作を確実に行えるような通信を実現するためのものだった。

 しかし、車載カメラやライダーなどのセンサーを多数搭載し、クラウドなどとの通信も行う完全自動運転車を実現しようとすると、従来の車載ネットワークでは伝送速度が不足する。「今後はECU(電子制御ユニット)間や、ECUと車載カメラの間で数G〜10Gbpsの伝送速度が必要になってくる。自動運転システムのAI(人工知能)ユニットや、4K/8Kの映像を取り扱うとなると10Gbps以上が求められる可能性もある」(小林氏)という。

車載ネットワークの高速化は20年遅れで進んできた基幹ネットワークにより高速なネットワークを適用しようという動きも 車載ネットワークの高速化はITシステム向けネットワークから20年遅れで進んできた(左)。車載ネットワークの構造を最適化する上で、車載システムの中核を担う基幹ネットワークにより高速なネットワークを適用しようという動きもある(右)(クリックで拡大) 出典:タイコ エレクトロニクス ジャパン

 また、自動車の電子化がさらに加速する中で、ECU間をつなぐワイヤハーネスの重量も増大している。ある高級車に搭載されているワイヤハーネスの総量は長さで4000m、重量で60kgにのぼる。車両内に張り巡らされるECUとワイヤハーネスのネットワークの構造を最適化する上で、車載システムの中核を担う基幹ネットワークにより高速なネットワークを適用しようという動きもある。

 今回両社が共同開発する車載データリンクシステムは、これらのトレンドに対応するためのものだ。10Gbpsという高速の伝送速度の実現と、車載ネットワークを高速化する上で常に課題になってきたEMCの問題への対応を両立するため、ワイヤハーネスに光ファイバーを用いた光通信技術を採用している。

ワイヤハーネスに光ファイバーを用いた光通信技術により高速伝送とEMCを両立 ワイヤハーネスに光ファイバーを用いた光通信技術により高速伝送とEMCを両立(クリックで拡大) 出典:タイコ エレクトロニクス ジャパン

 光通信の車載ネットワークとしてはMOST(Media Oriented Systems Transport)が知られており、最高伝送速度が25MbpsのMOST25と、同150MbpsのMOST150がある。TE Connectivityは、MOSTの草創期から約20年にわたって対応製品の開発に携わるなど車載光通信技術の知見を積み重ねてきた。そこに、光通信で重要な役割を果たすジルコニアフェルール製造の大手であるアダマンド並木精密宝石の精密加工技術を組み合わせることで、10Gbpsの車載データリンクシステムを実現できるとしている。

TE Connectivityにおける車載ネットワーク技術開発の歴史部品サイズは2分の1に TE Connectivityにおける車載ネットワーク技術開発の歴史。光通信技術であるMOSTについては約20年の歴史がある(左)。10Gbps車載データリンクシステムのコネクターはMOST向け部品と比べて2分の1のサイズになる(右)(クリックで拡大) 出典:タイコ エレクトロニクス ジャパン

 また、10Gbps車載データリンクシステムのコネクター部品は、個々の機能素子を同一基板に集積するなどして、体積比でMOST向け部品の2分の1という小型化を実現する方針だ。

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