人とくるまのテクノロジー展2018特集

低コストに5mm単位で自車位置推定、自動運転バス実現へ自動運転技術

愛知製鋼は「人とくるまのテクノロジー展2018」において、車両の位置を検知する「磁気ポジショニングシステム」を披露した。路面に埋設した磁気マーカーを車両の磁気センサーで検知し、5mm単位で自車位置を推定する。

» 2018年05月30日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
愛知製鋼の磁気ポジショニングシステム(クリックして拡大)

 愛知製鋼は「人とくるまのテクノロジー展2018」(2018年5月23〜25日、パシフィコ横浜)において、車両の位置を検知する「磁気ポジショニングシステム」を披露した。路面に埋設した磁気マーカーを車両の磁気センサーで検知し、5mm単位で自車位置を推定するという技術だ。

 同システムは東京大学発のベンチャー企業である先進モビリティの自動運転バスに採用されており、国土交通省などが実施する実証実験で活用されている。走行ルートがあらかじめ決まっている路線バスなどに向けて提案を進めていく。

 愛知製鋼は、ステンレス鋼の材料技術や表面処理技術を組み合わせて、センサーや磁石などを扱う電磁品事業を展開している。展示した磁気ポジショニングシステムは、車両の最低地上高である15〜20cmの高さに搭載した横長の高感度磁気センサーによって、磁気マーカーの位置と車両の中心とのズレを検出している。

磁気センサーは2種類。薄いシートの磁石でも検知できる(左、中央)。磁気センサーは横長だ(右)(クリックして拡大)

 センサーの精度向上により、薄く小さい磁気マーカーでも使用することが可能だ。路面にはフェライト磁石製の磁気マーカーを約2mの間隔で設置する。磁気センサーが磁気マーカーに付加されたGPS座標の情報を読み取ることで、正確なポジションニングが可能になる。低コストで施工可能だという。

 磁気ポジショニングシステムのメリットは、GPSを受信しにくい屋内や地下、センサーが認識を苦手とする積雪や霧などの環境でも自車位置を推定できる点だ。車両側にセンサーを搭載するだけでなく磁気マーカーの設置が必要であることを踏まえると、まずは路線バスが有力だと見込む。空港や港湾など限定されたエリアで走行するAGV(無人搬送車)や、BRT(バス・ラピッド・トランジット、バスによる高速輸送システム)、地下駐車場でのバレーパーキングなどにも向けて提案していく。

 磁気ポジショニングシステムは、国土交通省や内閣府の戦略的イノベーションプログラム(SIP)の公道試験で使用。具体的には、滋賀県でGPSが届かない地域、長野県の山間部の急カーブが続く区間、雪が積もった冬季の北海道の公道でシステムの効果を実証した。

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