「日本はAIへの関心が世界的に見ても非常に高い」エヌビディア大崎氏AI・人工知能EXPO(1/2 ページ)

「第2回 AI・人工知能 EXPO」(2018年4月4〜6日、東京ビッグサイト)の基調講演で「NVIDIA(以下エヌビディア)のAI戦略と海外の最新動向」をテーマにエヌビディア 日本代表 兼 米国本社副社長大崎真孝氏がAI革命の最新動向を紹介した。

» 2018年06月01日 10時00分 公開
[長町基MONOist]

 「第2回 AI・人工知能 EXPO」(2018年4月4〜6日、東京ビッグサイト)の基調講演で「NVIDIA(以下エヌビディア)のAI戦略と海外の最新動向」をテーマにエヌビディア 日本代表 兼 米国本社副社長大崎真孝氏がAI革命の最新動向を紹介した。また「全てのユーザーにAIのパワーを」として米国salesforce.com(以下セールスフォース)のチーフサイエンティストであるRichard Socher(リチャード・ソーチャー)氏が、AIアプリケーションによる社会変革シナリオについて語った。

エヌビディアが描く実現するAIによる変革

 大崎氏は2014年にエヌビディアに入社。現在、エヌビディアの日本代表として、日本でのエヌビディア製品の市場拡大、顧客との関係構築、そしてそれらを支えるエコシステムのサポートに携わっている。エヌビディア入社以前は、日本テキサス・インスツルメンツで20年以上、営業、マーケティング、技術サポート、ビジネス開発などのさまざまなマネジメントに従事してきた。

 エヌビディアは1993年に創業し、現在1万1000人の従業員が勤務している。同社はデスクトップPCやノートPC向けのGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)のメーカーだが、従業員の半数以上がソフトウェアに関連した仕事に従事しているという。

photo エヌビディア 日本代表 兼 米国本社副社長大崎真孝氏

 現在、さまざまなAIの分野で同社のGPUが採用されている。ディープラーニング技術を核としたAIアプリケーションが多様な方面で利用されている。大崎氏は「エヌビディアは世界最大のAIコンピューティングカンパニーだ。学習用のサーバや、データセンター、エッジコンピューティングでの推論エンジンまで、1つのアーキテクチャでカバーしていることが他社にはない点だ」と同社の強みについて述べた。

 エヌビディアのAIスーパーコンピュータ「DGX」は日本国内の有力メーカーやITベンターに採用されている。また、GPUを採用している顧客はエヌビディアのクラウド環境にアクセスできる。これがエヌビディアのGPU対応クラウド「NGC」である。NGCにより最適化されたAIフレームワーク、アプリケーションを、全ての研究者、エンジニアが利用できる。

 GPUは従来ディープラーニングなどにおいても学習側で力を発揮すると見られてきたが、エヌビディアでは、新たにエッジデバイス側への対応を強化しているという。自動運転・ロボットに受け渡すときの推論への受け渡しのコンパイラとして「TensorRT」を用意。これは、学習結果をエッジデバイスで効率よく処理するためのコンパイラだ。また「TITAN(タイタン)V」というPC向けのグラフィックスカードは最新GPUアーキテクチャである「NVIDIA Volta」を搭載しスーパーコンピュータレベルのGPUパワーをPCで活用できる。「世界中の多くの研究者がTITAN Vを使って、AIの研究を行っている」(大崎氏)という。

 さらに大崎氏は、GPUコンピューティングはムーアの法則を超えていくと指摘した。「その理由は2つあり、1つは大規模並列処理であること。2つ目は各アプリケーションの性能向上に直接貢献していることだ。エヌビディアの社員が直接アプリケーションの研究者とやりとりをして、多くのアプリケーションの向上に努めている」とした。

 同社は、GPUテクノロジーカンファレンス(GTC、開発者会議)を各地で開催しているが、米国サンノゼで開催した2018年3月のカンファレンスでは、世界中から8500人の研究者が参加したという。出席者は北米地区からが最も多かったが、それ以外では日本が多く、340人参加した。アジア地域からの参加者は、ここ3年は日本がトップで「AIに対する課題意識や期待値、伸びしろが大きいことを実感した」(大崎氏)と感想を述べた。

 この他、大崎氏によるとAIアプリケーションの中で、さまざまな可能性が論じられているが、その1つとしてメディカルイメージングの世界がある。画像診断機器の多くに同社のGPUが搭載されているが、まだ、従来型の画像診断装置もあるという。そこで、同社は「Project Clara(プロジェクトクララ)」を立ち上げた。それは、従来装置の機器のアウトプットを同社の外部のサーバ、データセンターなどに送り、そこでディープラーニングにより画像処理をするもので、こうした取り組みも実施している。

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