特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2018年06月06日 10時00分 公開

製造業がサービス業となる日:“10万円均一”で売り出す製造現場向けIoT基盤、日本電産に成算はあるのか (3/3)

[朴尚洙,MONOist]
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「オープン価格は採用をためらう最大の理由にしかならない」

 Simple Analyticsの大きな特徴の1つが価格設定になるだろう。「適合性評価」「システム構築支援」「簡易分析支援」という3つのステップから成るコンサルティングサービスと、サブスクリプション契約のシステムサービスで構成されるが、その価格は、コンサルティングサービスの各ステップが1回当たり10万円、システムサービスも月額10万円となっている。

サービス名称 項目 単位 価格 サービス概要
コンサルティングサービス(契約は工場単位) 適合性評価 1回 10万円 アセスメントシートを通じ、IoTの取り組み状況をスコアリング・評価
打ち合わせ3回(3回を超過する場合は追加購入)
システム構築支援 1回 10万円 生産ラインと本サービスの接続を支援
簡易分析に必要なデータクレンジングを実施
打ち合わせ3回(3回を超過する場合は追加購入)
簡易分析支援 1回 10万円 出力されたヒストグラム、管理図より特異点や異常傾向を把握し、原因と対策を協議
打ち合わせ3回(3回を超過する場合は追加購入)
システムサービス(コンサルティングサービスの利用が前提) IoT基盤提供 月額(サブスクリプション) 10万円 生産ラインと本サービスをつなぐIT基盤を提供。標準レポートを活用し、システム開発を行わず、生産ラインのデータを整理・格納
10万レポートまで(10万レポート異常は追加購入)
「Simple Analytics」の価格体系

 丸谷氏は、10万円均一というこの価格設定を決めた理由について、「オープン価格は採用をためらう最大の理由にしかならないので、ダメだとおもっていた。工場のライン長が採用を決められるのは価格が20万円までの製品やサービス。そこで、10万円均一という価格に思い切って決めた」と説明する。また、主要顧客として中堅・中小製造業を想定しているため、投資効果をすぐに確認できることも意識した価格になっている。

 だが、競合他社のIoTプラットフォームは、導入までで数百万円かかることもざらにある。同じIoTプラットフォームであるSimple Analyticsは、10万円均一で果たしてもうかるのか。丸谷氏は「簡易分析によるSimple Analyticsの効果を素早く理解してもらい、その上で次の段階に進むのが基本コンセプト。GreenForestを中心にサービスを広げていく。小さく始めて大きく育てる」と話す。永田氏も「10万円均一だけでは、明らかに収益性は高くない。目の前のことだけではなく、その後ろにある部分をしっかり提案していく。開発ロードマップもあり、AI(人工知能)活用や予防保全、Simple Analyticsの導入以外の幅広いコンサルティングなども視野に入る」と語る。

 Simple Analyticsを展開して行く上での課題もある。「やはり、生産設備からデータをとってクラウドに上げるところだろう。データが取れなかったり、PLCから取るのに時間がかかったりすることが多い。いかに効率的にデータを取れるかが重要だ」(丸谷氏)。

 Simple Analyticsの事業目標は2020年度までで300契約としている。永田氏は「2017年度中に行ったテストマーケティングで約100社と接点があり、それほど無理な数字ではない。だからこそ前倒しで達成したいと考えている」と意気込む。

 金嶋氏は「日本電産として本格的なITサービスの外販は初めて。セゾン情報システムズも製造業と組んでのビジネスは初めてだ。実は、ソフトウェアベンダーが異業種と組む事例は国内ではあまりない。今回の協力関係は、今後に続くロールモデルになるのではないか」と述べている。

左から、セゾン情報システムズの永田雅也氏、日本電産の丸谷亮祐氏、金嶋慎一氏 左から、セゾン情報システムズの永田雅也氏、日本電産の丸谷亮祐氏、金嶋慎一氏。「Simple Analytics」の拡販に向けて意気込む
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