特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2018年06月07日 10時00分 公開

AWS Summit Tokyo 2018:中小製造業のIoT活用は難しくない!? 先行する3社はなぜ実現できたのか (1/2)

「AWS Summit Tokyo 2018」において、IoTやAIの活用で先進的な取り組みを進めている3社の中小製造業が登壇する講演が行われた。武州工業、旭鉄工、IBUKIが自社の取り組みを紹介するとともに、どのようにすればIoT/AI活用を進められるかについて意見を交わした。

[朴尚洙,MONOist]

 アマゾン ウェブ サービスが主催するユーザーイベント「AWS Summit Tokyo 2018」(2018年5月30日〜6月1日)において、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)の活用で先進的な取り組みを進めている3社の中小製造業が登壇する講演がイベントの2日目に行われた。「インダストリー4.0を実現する中小製造IoT、地域産業リーダーの実践モデルと将来ビジョン」をテーマに、武州工業、旭鉄工、IBUKIが自社の取り組みを紹介するとともに、どのようにすればIoT/AI活用を進められるかについて意見を交わした(モデレータを務めたのはアマゾンウェブサービスジャパン ストラテジック アカウント マネジメント本部 IoTソリューション・スペシャリストの門田進一郎氏)。

無料のスマホアプリで見える化サービスを提供

武州工業の林英夫氏 武州工業の林英夫氏

 パイプ部品の製造を主力事業とする武州工業は、売上高が15億円、従業員数が157人の中小製造業だ。同社 代表取締役の林英夫氏は「8.20体制(1直8時間20日稼働)」を掲げて働く人に優しい企業を目指してきた。「東京の青梅に事業所があり、地域雇用を守り、継続可能な環境配慮のモノづくりを行う、ホワイトな企業でありたい」(林氏)という。

 武州工業のモノづくりは、林氏が「ラーメン屋のような」と形容する、多能工が自社開発の設備と立ち作業で行う「1個流し生産」で行われている。従業員の自律性についても、トップダウンとボトムアップというミックスではなく、ボトムアップのみに統一することで効果を引き出しやすくしている。

 同社は、全体最適に役立つITシステムの導入でも先進的な取り組みを進めてきた。「既存のITシステムでは部分最適にしかならない」(林氏)こともあり、総合情報管理システム「BIMMS」を自社開発し、納期/購買管理や品質改善、トレーサビリティーなどで効果を上げている。

 そのBIMMSの発展形となるのが見える化サービス「見え太君」だ。加速度センサーを搭載するスマートフォンと無料アプリ「生産性見え太君」を設備に張り付けるだけで、その動作情報を収集できる。同社の実証実験では、生産性を約20%向上できた事例もある。

 無料の生産性見え太君を組み込んだ複数台のスマートフォンのデータ収集や分析を行うための「見え太君サーバー」は登録料が9万8000円、5アカウントで月間1万円となっている。

「生産性見え太君」と「見え太君サーバー」の概要 「生産性見え太君」と「見え太君サーバー」の概要(クリックで拡大) 出典:武州工業

 林氏は「IoT、AI、ビッグデータの時代において、時間軸のち密さが重要になってくる。収集するデータのタイムスタンプがキーワードになるだろう」と述べている。

「Dash Button」で上司呼び出し、「Amazon Echo」であんどん切り替え

 愛知県内に本社を置き、自動車部品製造を主力事業とする旭鉄工は売上高が155億円、従業員が約480人。IoT活用の先進的な取り組みで知られる同社は、その成果をビジネス展開する子会社としてi Smart Technologies(iSTC)を設立している※)

※)関連記事:IoTは町工場でも成果が出せる、市販品を次々に活用する旭鉄工の事例

旭鉄工の木村哲也氏 旭鉄工の木村哲也氏

 旭鉄工 社長でiSTCの社長CEOも務める木村哲也氏は「iSTCが提供する製造遠隔ラインモニタリングサービスでは後付けセンサーを用いるが、その取り付けは最短で6分、長くても1時間で完了する」とその手軽さを強調する。サービス開始から1年強が経過し、現在は100社/600ラインで後付けセンサーから得られるデータのモニタリングを行っている。

 旭鉄工とiSTCは、新たなIoTサービス開発にも意欲的にとりんでいる。旭鉄工の自社ラインで効果を確認できれば、iSTCがサービス化するという流れだ。今回の講演では、アマゾンの「Dash Button」を用いた「上司呼び出し」と、スマートスピーカー「Amazon Echo」を用いた「あんどん切り替え」と「稼働データ読み上げ」を紹介した。

 上司呼び出しは、製造ラインで何らかの問題が出たときに、現場に上司を呼び出せるようにするボタンだ。Dash Buttonとグループウェア「Slack」の連動により、上司のスマートフォンに呼び出しを知らせる。一方、あんどん切り替えは、タブレット端末などをタッチできない現場でAmazon Echoへの音声入力をによりあんどんの表示を切り替える。稼働データ読み上げはマネジャー向けで、ラインの稼働データを読み上げて知らせるとともに、マネジャーが現在の作業員に何らかの指示を行いたいときの音声入力インタフェースにもなる。

 木村氏は「中小企業の生産性を向上できるソリューションをどんどん提供したい。今回紹介したサービスは、2018年内をめどに開発を進められれば」と述べている。

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