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» 2018年06月08日 13時00分 公開

3Dプリンタ:3Dプリンタ向けセラミックス材料を開発する自動車設計会社、若者にも訴える (1/3)

自動車内外装部品の設計を行うルナクラフトは、数年前から3Dプリンタ事業を手掛けている。中小企業が導入後にすぐ使ってもらえるようなサポートを意識しているという。セラミックスなどの新材料や異なる方式の3Dプリンタにも挑戦中だ。

[加藤まどみ,MONOist]

 愛知県江南市にあるルナクラフトは、2013年11月に3Dプリンタ事業を立ち上げ、中小企業や研究機関などの個別のニーズにも応じられる低価格帯の3Dプリンタを提供している。ルナクラフト 代表取締役 社長の沢田研一氏は、「自社技術を分かりやすくアピールできる新事業を立ち上げたかった」と語る。今取り組んでいるのは、セラミックス製品を直接造形できる3Dプリンタの開発だ。

図1:クラフトの沢田研一社長。右は同社のデルタ型のFDM方式3Dプリンタ「DELTA+」。

3D設計技術を生かしてできることは?

 一般に3Dプリンタで使われる材料は、プラスチックや金属が多い。プラスチックについてはローエンドからハイエンドまで製品がそろっており、試作を中心とした利用が盛んだ。また金属についてはハイエンドの製品が中心で、試作や小ロットの最終製品を造形する用途が拡大している。一方セラミックスについては、造形後に改めて焼成するタイプはあるものの、完成品を直接造形できる製品はない。

 このセラミックス製品の直接造形に挑戦しているのが、自動車内外装部品の設計を行うルナクラフトと、名古屋工業大学 工学研究科 先進セラミックス研究センターだ。同社らは、無焼成セラミックスとよばれる材料を用いることで、直接3Dプリンタによるセラミックス製品の造形を目指している。

 ルナクラフトは、主に自動車業界を中心として設計開発支援を行っている企業だ。3D設計システム「CATIA」を用いた3Dデータ作成のプロフェッショナルであり、自動車メーカーや部品メーカーから開発業務を受託して、各種の内外装部品の設計を行っている。大手自動車メーカーのプロジェクトの初期段階から加わり、設計構想や試作データ作成から量産設計、出図設計などの一連の工程に関わることもあるという。同社は取引先の設計や組み立て、品質管理、企画や製造などさまざまな部署と交流する中で、独自のノウハウを蓄積してきた。

 ルナクラフトが3Dプリンタ事業を立ち上げたのは2013年11月である。当時、同社では自分たちの3Dデータに関する技術を生かしながら、新しい事業を立ち上げられないか模索していた。「ちょうど低価格帯の3Dプリンタが発売され、一般に話題になり始めたころでした。そんな中、社員から3Dプリンタをやりたいという提案があったのです」と沢田氏は話す。3Dプリンタの開発は、3Dデータ作成に関するノウハウを生かすことができ、モノづくりに携わる同社にとっても関連性が深いと考えたことから事業をスタートしたという。

 図2の「REP CREATOR REV1.0」は、ルナクラフトの記念すべき第1号のFDM(熱溶解積層)方式3Dプリンタだ。むき出しで改造もしやすく、一般ユーザーをはじめとして多く売れたという。

図2:ルナクラフトとして初の3Dプリンタ「REP CREATOR REV1.0」。FDM方式で、一般ユーザーや研究機関などに販売された。

 ルナクラフトが現在販売している製品の1つが、FDM方式3Dプリンタ「REPBOX」(図3)だ。「初代のモデルに外側筐体が加わるとともに、異種材料のサポートも造形できるようデュアルヘッドを標準仕様に加えました。また造形範囲の拡張などの依頼があったことから、より容易に拡張できるような設計としました」とREPBOXを担当するルナクラフト 3Dプリンタ事業部の佐伯一馬氏はいう。佐伯氏は設計から材料、部品の選定などを全て行い、サポートも担当している。

図3:現在販売するFDM方式3Dプリンタ「REPBOX」。ユーザーの要望に応じたカスタマイズも行う。
図4:3Dプリンタ事業を担当するルナクラフトの佐伯一馬氏。モノづくり、中でも樹脂材料に興味を持っていたものの、文系のため直接モノづくりに携われる仕事がなかなか見つからなかったそう。文理不問で手に職が付くという社長の言葉が入社の理由だったとのこと。

 REPBOXはオーダーに応じてサイズやオプション変更などを行う。ただ製品を売って終わりではなく、ユーザーに最大限活用してもらうことを意識しているという。そのため導入のサポートとして、3Dデータの作り方や造形に関するノウハウも伝える。CADの選定からデータ作成、また社内で試作で使えるところまでをフォローするという。

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