発売40年目のフルモデルチェンジ、運転支援システムも満載の「Gクラス」車両デザイン

メルセデス・ベンツ日本は、「Gクラス」の新モデルを発表した。同日より注文の受付を開始し、納車は同年8月下旬以降を予定している。税込み販売価格はG550が1562万円、ハイパフォーマンスモデルの「AMG G 63」が2035万円となる。しばらくの間、現行モデルも併売される。

» 2018年06月11日 06時00分 公開
[川本鉄馬MONOist]
発売40年目でフルモデルチェンジとなった「Gクラス」(クリックして拡大)

 メルセデス・ベンツ日本は2018年6月6日、東京都内で会見を開き、「Gクラス」の新モデルを発表した。同日より注文の受付を開始し、納車は同年8月下旬以降を予定している。税込み販売価格はG550が1562万円、ハイパフォーマンスモデルの「AMG G 63」が2035万円となる。しばらくの間、現行モデルも併売される。

 Gクラスは、同社のオフロード車のフラグシップモデルだ。高いオフロード走破性に加え、一見してそれと分かる独自の外装デザインは「長年、堅牢かつ優雅な雰囲気を兼ね備えたアイコンとして認知されてきた」(メルセデス・ベンツ日本)。

基本的なデザインを変えずに時代や環境に対応したという新型Gクラス(クリックして拡大)

 発表会では、メルセデス・ベンツ日本の代表取締役兼CEOの上野金太郎氏が登壇。1979年の販売開始以来、全世界で延べ30万台以上が販売されたGクラスの実績を紹介した。また、国境警備に利用される「ゲレンデワーゲン」をルーツに持つGクラスが、1980年にはローマ法王の専用車に採用され、さらには2014年に6輪車の「G63 AMG 6×6」が販売されたことなどの歴史を披露した。

 新型Gクラスの特徴について、同モデルのプロダクトマネージャーであるダイムラーのミヒャエル・ベルンハルト氏がプレゼンテーションを行った。同氏は基本的なデザインを変えずに時代や環境に対応するGクラスの方向性を説明した。新型Gクラスから受ける印象は、若干ボディーの角が丸められた感はあるが、従来のGクラスと比べて大きな変更はない。「ドアノブや各種スイッチ類のタッチにも、メルセデスベンツの上位モデルと共通の上質感を持たせている」(ベルンハルト氏)という。

「フルモデルチェンジ」とはいわないが

ヘッドランプはLEDを採用。配光を制御することにより、前方車両や対向車両のドライバーが幻惑しないようにする(クリックして拡大)

 今回の発表会で、メルセデス関係者から「フルモデルチェンジ」という文言は聞かれなかった。しかし新型Gクラスは、現行モデルと比べると大幅な進化を遂げており、事実上のフルモデルチェンジといえるだろう。

 新型Gクラスと現行モデルの最も大きな違いは、最新のデジタル技術が惜しみなく投入されているところだ。他のメルセデス車と同様の運転支援システムを採用しており、新型Gクラスでは、先行車との車間距離を保ち、停止までサポートする「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック」や、ドアミラーの死角範囲をモニターし危険を知らせる「ブラインドスポットアシスト」、車両や歩行者との衝突を回避する「アクティブブレーキアシスト」など安全機能を搭載した。

メーターは12.3型のワイドディスプレイになった。操作はセンターコンソール上のタッチパッドで行う。(左)。ラック&ピニオン方式の電動パワーステアリングを採用したことにより、縦列駐車のアシストや車線維持支援などの運転支援に対応した(右)(クリックして拡大)

 また、路面状況や運転目的に応じて選べる複数のドライブモードが用意されている。ドライブモードを切り替えると、エンジンやトランスミッション、サスペンション、ステアリングなどのレスポンスや操作性が変化する。新しく追加された「Gモード」ではシャシーのダンパーとステアリング、アクセルの特性が変更され、悪路での走破性を高めるのに役立つ。

 新型Gクラスでは、フラグシップのオフロードモデルとしての性能も細部までチューニングされている。これは、完成度の高かった前モデルを上回るという。

 フレームおよびサスペンションに手が加わり、ラダーフレームは設計を見直した。厚さ最大3.4mmのスチール鋼板をロの字にして部材を作製し、MAG溶接(不活性ガスと炭酸ガスを混合して用いる半自動アーク溶接)で強度や剛性を高めた。ドアやボンネットなどにアルミニウムを、骨格には高張力スチールを採用することにより、車両重量で約170Kgの軽量化と約55%のねじれ剛性アップを達成した。

フロントのダブルウィッシュボーンサスペンション(左)。ラダーフレームは新設計に(右)(クリックして拡大)

 サスペンションは、チューニングメーカーであるメルセデスAMGとの協業により、フロントにダブルウィッシュボーン、リアに5リンクのリジッドアクスル形式を新たに設計。サスペンションはサブフレームを介さずラダーフレームに直接取り付け、さらにフロントにはストラットタワーバーを設けるなどして剛性を高めている。フレーム上の下側ウィッシュボーンの取り付け位置も、走破性を考慮したものになっている。また、AMG G63では、コーナリングやブレーキ時に瞬時にスプリングレートを変更できる「AMG RIDE CONTROLスポーツサスペンション」により、高い安定性と俊敏なハンドリングを実現しているという。

 このような変更により、新型Gクラスは最低地上高が従来より6mm高い24.1cm、最大渡河水深は従来比10cm以上拡大した70cmとなる。

 パワートレインは、G550には排気量4.0l(リットル)のV型8気筒ツインターボエンジンをベースに開発したM176型エンジンを搭載。最高出力310kW、最大トルク610Nmを発揮するエンジンだが、定速走行などの際には負荷に応じて気筒休止で燃料の消費を抑える機能が搭載されている。AMG G 63には、メルセデスAMG社が完全自社開発した排気量4.0lのV型8気筒ツインターボのM177型エンジンを搭載する。最高出力430kW、最大トルク850Nmを発揮する。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.