第29回 設計・製造ソリューション展
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» 2018年06月12日 13時00分 公開

CADイベント:成形品内にセンサー、部品点数600点のクルマ――産業のルネサンスとは (1/2)

ダッソー・システムズは2018年5月30〜31日、「3DEXPERIENCE FORUM Japan 2018」を開催した。会期2日目には、同社CEO ベルナール・シャーレス氏が基調講演で登壇する予定だったが、急きょ変更になり、同社エグゼクティブ・バイス・プレジデントのシルバン・ローラン氏が登壇した。

[小林由美,MONOist]

 ダッソー・システムズは2018年5月30〜31日、「3DEXPERIENCE FORUM Japan 2018」を開催した。会期2日目には、同社CEO ベルナール・シャーレス氏が基調講演で登壇する予定だったが、急きょ変更になり、同社エグゼクティブ・バイス・プレジデントのシルバン・ローラン氏が登壇した。同年5月28日に、セルジュ・ダッソー氏が死去し、その葬儀に参列するため、シャーレス氏はフランスへ帰国することになったためだ。シャーレス氏がダッソー氏死去の知らせを聞いたのは、フランスから日本への移動中だった。

 セルジュ・ダッソー氏はダッソーグループの航空機メーカーであるダッソー・アビアシオン(Dassault Aviation)のオーナーだった。父は同社創立者のマルセル・ダッソー氏。報道によれば心臓発作で亡くなったとのことで、先日の株主総会にも出席して意見も述べていたということだ。93歳だった。

 31日の基調講演ではシャーレス氏の動画メッセージを公開した。

「ダッソー・システムズはダッソー一族の名前を冠する企業だ。強い感情とともにつながりが一族にあり、そして強力な一族の株主が会社に安定性をもたらしてきた。われわれは悲しい知らせに心を動かされた。ダッソーグループ全体の創始者の息子であるセルジュ・ダッソーは業界の力強いリーダーとして活躍した。当社もその情熱とDNAを引き継いでいる。セルジュは『顧客第一』ともいえる考えを常に掲げる人物であった。長期的視野をもってわれわれに多大な支援をしてくれた。当社が世界中の素晴らしい企業を顧客に持てる今日、彼に負うところは大きい。パリに戻り、最後の瞬間に一族と過ごしたい」(シャーレス氏)

 なお、シャーレス氏が日本のユーザーイベントを欠席するのは初めてのことだった。「日本の皆さまとの再会を楽しみにしています」(シャーレス氏)。

ビデオレターに登場したベルナール・シャーレス氏

(以下、「ダッソー・システムズ」を「ダッソー」と表記)

「産業のルネサンス」が見えるユーザー企業

ダッソー・システムズ エグゼクティブ・バイス・プレジデントのシルバン・ローラン氏

 ローラン氏は講演冒頭で、「産業のルネサンス」について述べた。「かつて、文章は全て手書きであり、学習は一部の人の特権であった。そしてヨハネス・グーテンベルクの活版印刷技術の発明が革命の引き金となった。欧州における印刷物の普及へとつながり、多くの人が書物から知識を得られるようになった。それがすなわち、ルネサンスであり、まるでデジタル技術が革新をもたらしている今日のようでもある。新しい時代における“書物”は、エクスペリエンスである。また単なるデジタル化や自動化を凌駕(りょうが)するものである。リアルとバーチャルを融合し、学習、発明、産業における新しい在り方を定義するものである」(ローラン氏)。

 「エクスペリエンス」は日本語に直訳すれば「経験」である。ここで示しているのは、製品やサービスから得られる体験、感情、感動、感覚などである。3Dデータやネットワーク(インターネット)技術などによるバーチャルな環境がその基盤となり、そこへ人々や実機を巻き込んで、皆でエクスペリエンスを創出したり共有したりしながら、さらなる新たな価値を生み出していくといった概念である。

 「ダッソーはいまだに『CAD(CATIA)の会社』と言われることも多い。ダッソーのソリューションはもはや製造業のより広い範囲を対象とし、医療や教育などの分野にも及ぶ。社会イノベーションを実現する会社として活動している」とローラン氏は自社のポジションについて説明した。

 ダッソー・システムズはダッソー・アビアシオンの航空機設計用3D CADであった「CATIA」の開発部門が起源である。CATIAは現在も3D設計システムの名前ではあることには変わりないが、積極的にM&Aを繰り返した後の現在はPDM「ENOVIA」、生産向けシステム「DELMIA」、解析シミュレーション「SIMULIA」などソリューションが多岐にわたっており、かつ同社製品群を統合したプラットフォーム「3DEXPERIENCEプラットフォーム」も提供する。同社の3Dコラボレーションツール「3D VIA」を活用したオンライン3D空間演出サービスである「HomeByMe」もある。「われわれはAmazonやアリババのようなプラットフォーマーになるべきと考えている。未来の仮想工場作りに取り組んでいく」(ローラン氏)。

HomeByMeのデモ

 ローラン氏は「3DEXPERIENCEプラットフォーム」のユーザー企業としてフランスのスタートアップであるXYTの事例を紹介した。ダッソーが取り組むスタートアップ支援プログラム「3DEXPERIENCE Lab」に参加する企業である。

XYTについて(出典:ダッソー・システムズ)

 同社が提供する自動車はモジュール化されており、お好みでカスタムしたり、機能向上させたりといったことがユーザー自身が手元にある工具で行えるようになっている。そのために総部品点数を600点弱と大幅に減らし、機構を極力簡素化している。現状はフランス国内における車両販売のみであるが、今後はモビリティにまつわる諸問題を解決すべく、世界各国のサードパーティーがビジネスに関与できるようにエコシステム化し、さらにエネルギー分野へもビジネスを拡大する計画がある。

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