特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2018年06月14日 11時00分 公開

製造業がサービス業となる日:「モノ」から「コト」を本格化、パナソニックが取り組む新規サービス事業 (1/2)

パナソニックは2018年6月13日、「モノ」から「コト」へシフトする新たなサービスビジネス事業について説明を行った。

[三島一孝,MONOist]

 パナソニックは2018年6月13日、「モノ」から「コト」へシフトする新たなサービスビジネス事業について説明を行った。

不要なデータを捨て必要なデータを簡単に取得する技術

 第4次産業革命とも呼ばれる変化の時代を迎え、製造業でも「データ」を基軸とした新たなサービスビジネスモデルを構築する必要が出てきている。この中でパナソニックも映像に関連する技術に対し、AI(人工知能)関連技術などを組み合わせ、新たな「コト」を基軸としたビジネスモデル構築に取り組む。

photo パナソニック ビジネスイノベーション本部 事業開発センター所長の島田伊三男氏

 新規ビジネスモデルでは、AIやIoT、ビッグデータなど現在の変化を象徴する技術を基軸とし、ここにパナソニック独自の技術を組み合わせることで新たな価値を生み出す方針である。

 パナソニックでは、デジタルカメラやBDレコーダーなどで培ったデジタル映像技術を保有する他、家電製品による暮らしを支える情報などにアプローチできる強みを持つ。また、センシング技術やディープラーニング技術なども保有し、これらを組み合わせていく。

 パナソニック ビジネスイノベーション本部 事業開発センター所長の島田伊三男氏は「AIやIoT、ビッグデータなどが注目される中で、とにかくデータを集めればよいという考え方が中心となった時期があった。しかし、データの99%は不要なもので、そこから必要なものを取り出す作業には膨大な時間とお金がかかる。こうした背景からパナソニックでは『不要な情報を手間なく捨て、狙った情報を簡単に取れるようにする』ことの実現に取り組む」と述べる。

 これらの発想で創出した事業が「PaN/Vieureka事業」「スマートエイジングケア事業」「コールドデータセンターサービス事業」の3つである。

見えなかった必要な情報を取得する「PaN/Vieureka事業」

 Vieureka事業は画像エッジコンピュータによるAIセンシングをサービスモデルで展開する事業である。オフラインで学習したAIエンジンを画像センシングエッジコンピュータに搭載。そのエッジコンピュータにより、映像から必要な情報だけを抽出し、クラウドに送信するという仕組みだ。

photo Vieurekaの仕組みとサービス(クリックで拡大)出典:パナソニック

 例えば、店舗のマーケティング用途で使用する場合、個人情報保護法などを考えると「顧客の属性情報は欲しいが映像情報を取得したくない」とするニーズが存在する。Vieurekaはこのニーズに対応しており、映像から店舗に来店した人の数や属性などを画像センシングエッジコンピューティングで分析する。こうした属性情報だけをクラウド側に送り、映像情報そのものは記録しない。こうすることで、マーケティング情報だけを取得する使い方が可能となる。

 既に店舗向けマーケティング分析サービスや工場向けの従業員入退室管理システムなどいくつかの導入事例もある。2018年2月には福岡の流通小売業であるトライアルカンパニーで実証推進を発表※)。スマートカメラ100台を導入し、顧客の動態情報などを取得しているという。

※)関連記事:越える業種の壁、トライアルが目指す流通革命とパナソニックが目指す工場外自動化

 パナソニック ビジネスイノベーション本部 事業開発センター PaN/Vieurekaプロジェクト 総括担当の宮崎秋弘氏は「まずは店舗マーケティング分析から開始。今後は介護や看護支援など用途を拡充する。また、AIエッジコンピュータの進化にも取り組み、2019年には介護や看護支援などに最適なものを用意する。2020年には屋外向けの『Vieureka Tough』を投入する計画だ。またディープラーニング技術を加えた『Veiureka DeepLearning』なども用意する」と述べている。これらのビジネスは、AIエッジコンピュータのモノとしての販売ではなく、取得したデータ量や期間などの「コト」としてのサービスビジネスモデルで展開する計画だとしている。

photo 赤丸部の画像センシングエッジコンピュータで画像を認識しマーケティング情報を取得する。取得情報は青丸部の「20代 女性」のように必要な情報だけで認識し、映像情報を取得しない(クリックで拡大)

 一方のPaN事業は「カメラシェアリングサービス」ともいうべき事業だ。個人では撮影できないような場所にカメラを設置し、それを撮影カードを使って遠隔操作で撮影し、その画像データを取得するというもの。既に2017年4月から遊園地や観光地などでサービスを開始しており、2018年6月時点で常設18カ所まで拡大している。国内では来場者が20万人を超える人気スポットが3000カ所あるというが2020年末にはこの内で500カ所以上に設置することを目指すという。

photo PaN事業の仕組み(クリックで拡大)出典:パナソニック
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