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» 2018年06月15日 13時00分 公開

元ソニーマンが分析する:ポメラ DM30を分解――メカ・電気・デザインのコラボに優れた製品 (1/5)

2018年6月8日発売のキングジム製の新製品『デジタルメモ「ポメラ」DM30』を分解する。

[小田淳/ロジ,MONOist]

 今回は、2018年6月8日発売のキングジムの新製品『デジタルメモ「ポメラ」DM30』の量産試作品(ほぼ製品版と同等)を分解する機会を得ました。その様子をお伝えしながら、メカ設計のポイントについて分析していきます(製品について:ポメラが10周年、電子ペーパーを採用して折り畳みキーボードが復活、Kickstarterにも)。

デジタルメモ「ポメラ」DM30
編集部より:公開当初「水銀電池」としていた表現を「コイン型電池」としました。お詫びして修正いたします。(2018年6月18日11時50分)

 私は過去にメーカーでモニターやプロジェクター、プリンタを設計してきました。製品のサイズは随分と異なりますが、プレス部品や樹脂部品など扱っている材質は同じなので、適切な評価はできると考えています。

 今回の解説では、次のポイントに注力します。

  1. 部品構成
  2. デザイン
  3. ヒンジ機構
  4. 足ゴム
  5. ビス
  6. 左右底面カバー
  7. 電池部分
図1 製品の外観

1.部品構成

 図2が全部品、表1が全部品点数である。図2の写真上(図2−1)の赤丸内のキーを分解したものが、写真下(図2−2)である。

図2 部品構成
表1 全部品点数

 図1の写真右のように、キースタンドは観音開きのキーボードの下にある足のことである。

 最上段の赤点線内が電子ペーパーを用いた表示部である。写真の4個の部品の両端にあるベゼルと背面カバーの嵌合にはビスを一切使用せず爪だけで固定されており、とてもシンプルな設計となっている。その嵌合方法は特に目新しい機構ではないが、嵌合具合がとてもしっかりできている。その半面、嵌合を外すときにはマイナスドライバーでこじ開けるような作業が必要なため、これらの部品を傷つけてしまう可能性があり、修理時に電子ペーパーだけの交換というわけにはいかない。

 2段目の青色の点線内が観音開きするキーボード部分であり、左側のみ分解している。一番左から2番目の底面カバーのみアルミ板のプレス加工品である。板厚0.8mmに塗装がしてあるため、製品の状態ではアルミ板とは分かりにくい。ここだけコストの高いアルミ板を使用しているのは、キーインするときにキーボードのたわむ感覚をなくすためと考えられる。

 2段目の上下にある緑色の点線内は、観音開きするヒンジ部の機構部品である。このヒンジ部には3つの機能を持たせている。表1にある通り部品点数は多いが、とても賢い設計になっていると思う。これは後述する。

 その下の黄色の点線内は、この製品で使用している全てのビスである。やや種類が多いと思われる。キーボードに取り付いた金属製のセルスペーサーに留めるビスだけはマシンネジだが、それ以外は全て樹脂に留めているので、タッピングネジとなっている。

 2段目右側の紫色の点線内は磁石である。この磁石に関しても後述する。

 それ以外の部品は中央キーボードの下に取り付いた部品である。中央キーボードの底面カバーは電池カバーの機構があるため、左右キーボードのようにアルミ板のプレス加工で設計することは困難であり、樹脂で設計されている。キーインするときのたわみの懸念があるが、中央キーボードの下には基板があるので、強度的には十分であると考える。

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