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» 2018年06月22日 09時00分 公開

地方発!次世代イノベーション×MONOist転職:マクロな加工技術をミクロな加工で生かす――ミクロものづくり岡山(岡山県)

「次世代の地域創生」をテーマに、自治体の取り組みや産学連携事例などを紹介する連載の第28回。今回は、ミクロ・ナノ・精密・微細・ファインをキーワードに、岡山県で行なわれている産業クラスタ形成の取り組み「ミクロものづくり岡山」を紹介する。

[MONOist]

イノベーションの概要

 「ミクロものづくり岡山」は、2004年から岡山県で進められている産学官の連携の取り組み。精密生産技術を中心としたモノづくり技術の高度化、地域企業群のブランド化、人材育成や技能伝承など、世界が認める産業クラスタの形成を目指すというものだ。

「ミクロものづくり岡山」のWebページより

 ミクロものづくりネットワークの会員に登録している企業は約220社、それをサポートする大学や行政、金融、産業支援機関などは約40団体。岡山ならではの技術シーズ創出を加速し、企業ニーズとのマッチング、事業化に向けた共同研究グループを促進しており、Webサイトには岡山県工業技術センターや県内大学などでの研究開発のテーマが掲載されている。「ミクロものづくり大学」として、各種技術講習会やセミナー、相談会などを開催している他、産学官の連携の仲介役として研究開発、生産活動の課題などの相談に応じる「ものづくりコーディネーター」、各種展示会への共同出展などの活動を行っている。

 2005年に開設された研究拠点「ミクロものづくりセンター」には、多軸超精密旋盤、微細レーザ加工システム、半導体レーザ、大面積電子ビーム装置、薄膜スクラッチ試験機などを設置。精密加工技術の研究開発拠点、大学や地域企業と連携したプロジェクト研究の拠点、ネットワークの拠点、優良技能の伝承拠点などとして活用されている。

 また「おかやまテクノロジー展(OTEX)」の開催に合わせて、「ミクロものづくり岡山作品コンテスト」も実施。展示会来場者の投票や有識者などによる審査により、0.5mmの中心に0.2mmの貫通穴がある樹脂の特殊ノズルなど12の優秀作品が選ばれた。

イノベーションの地域性〜岡山県といえば……

 岡山県は、降水量1mm未満の日数が全国第1位、快晴日数や日照時間の長さも全国上位、地震などの災害も比較的少なく、温暖な「晴れの国」。水、肥沃な平野、緑豊かな森林、瀬戸内海と非常に豊かで、陸海空の交通基盤が充実し、県内外、また海外との交通の結節点でもある。

 岡山といえば果物でも知られ、特に「清水白桃」「マスカット」「ピオーネ」は生産量、品質とも全国一で、海外の評価も高い。地域に伝わる「温羅(うら)伝説」は桃太郎のモデルとなったと言われ、桃太郎にまつわる地名や旧跡も多い。黒い外観から「烏城(うじょう)」とも呼ばれる岡山城、堀に沿った白壁の町並みが美しい倉敷も有名だ。

岡山城

 また県内総生産額に占める第2次産業の割合が、全国平均より約7%高く、“モノづくり県”でもある。水島コンビナートに代表される石油、化学、鉄鋼、輸送用機械器具など、県経済をけん引する産業が集積していることに加え、江戸時代の綿花栽培に端を発する織物、それをルーツに現在非常に高いシェアを持つ学生服やデニム、ワーキングウェア・ユニフォームなどの繊維産業の他、耐火物産業、農業用機械器具製造業、木材・木製品製造業、食品関連産業など全国的に著名な地場産業が多い。

ここに注目! 編集部の視点

 岡山県は、「超精密生産技術分野」「バイオ関連分野」「医療・福祉・健康関連分野」「環境関連分野」を重点4分野として関連産業の集積を図りながら、今後成長が期待できる分野として新エネルギー関連、次世代自動車、航空機関連にも注力。コンビナートや造船など、どちらかという重厚長大なモノづくりのイメージが強い岡山県だが、ミクロものづくり岡山は、これまで培ってきた「大物の精密加工」の技術を生かし、高度精密加工分野に展開することを目指している。

 天候に恵まれ、大きな災害の可能性が低いこと、交通のクロスポイントであることなどをアピールし、補助制度を充実させるなど企業立地にも力を入れている。

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