第29回 設計・製造ソリューション展
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» 2018年06月25日 14時00分 公開

DMS2018:工程間でデジタルツインを融合へ、東芝が訴える全体最適の世界

東芝は「第29回 設計・製造ソリューション展」(以下、DMS2018、2018年6月20〜22日、東京ビッグサイト)に出展し、複数の「デジタルツイン」を組み合わせることで得られる価値を訴えた。

[三島一孝,MONOist]

 東芝は「第29回 設計・製造ソリューション展」(以下、DMS2018、2018年6月20〜22日、東京ビッグサイト)に出展し、複数の「デジタルツイン」を組み合わせることで得られる価値を訴えた。

ボーダーを越えたデジタルツインの活用

 デジタルツインとは、フィジカル空間の情報をIoTなどを活用して、ほぼリアルタイムでサイバー空間に送ることができることで、サイバー空間内にフィジカル空間の環境を再現。その環境により、フィジカル空間のさまざまな箇所のモニタリングを行える他、シミュレーションなどを活用することで、将来の故障や変化を予測できるというものだ。

 東芝グループでは2016年からモノづくりIoT(モノのインターネット)ソリューションを再定義して展開。「Meister DigitalTwin(マイスターデジタルツイン)」として「デジタルツイン」を中核に据えた提案を進め、大手自動車部品メーカーや半導体メーカーの東芝メモリなどで実導入されている。

 「マイスターデジタルツイン」は、製品ライフサイクル全般に関わるデータの見える化や分析を可能とする統合情報活用プラットフォームである。製品企画、設計、生産、運転、保守のプロダクトライフサイクル全体のデータをつなぐことで、製品の使われ方を把握し製品企画に役立てるなど、プロダクトライフサイクル全体での最適化が可能だとしている。

 DMS2018ではこのデジタルツインの価値を訴求。工程間、産業間など、境界を越えてデータ活用していく意義を訴えた。

photo DMS2018の東芝ブースで訴えた「デジタルツイン」の価値(クリックで拡大)

 東芝デジタルソリューションズ インダストリアルソリューション事業部 デジタルトランスフォーメーション推進部 担当部長の福本勲氏は「製造業におけるIoTは徐々にフェーズが進んでおり、実導入なども着実に広がっている。ROI(投資利益率)などが問われる中で、それが見えにくいIoT活用では、スモールスタートが基本だ。ただ、同時に将来的な全体像を意識しなければ現場が部分最適で改善をして終わるという形になる。全体最適を意識することが重要だ」と全体視野を持つ重要性を強調する。

 その例として射出成形機の予防保全を挙げる。「射出成形機は内部の状況などが見えないためにデジタルツインによる予防保全などの効果が期待できる領域だ。しかし、予防保全ソリューションにより『金型のメンテナンスが必要』ということが分かっても、当然その工程の効率は維持できるものの、なぜ問題が発生するのかという点や根本的な工程の改善などにはつながらない場合もある」と福本氏は述べる。

 また別の見方をすれば、工程全体で考えた場合、射出成形機の領域でそれほど生産性を上げなくても、リードタイムが削減できるかもしれない。「こうした全体最適の視点を生かすためには、工程ごとではなく工程間などの境界を越えたデジタルツインが必要になる」と福本氏は語る。

ロボットによる自動化ラインをリアルタイムモニタリング

photo ロボットによる製造ラインのデモ。製造工程と検査工程を模し、リアルタイムで情報を入手した(クリックで拡大)

 会場では、ロボットによる製造工程と検査工程を再現。ロボットがベルトコンベヤーを流れるQRコード付きのパーツを認識したり、色の検査を行ったりする様子をリアルタイムにモニタリングできる仕組みと、そのデータをもとに改善につながる振り返りを実現できる仕組みを紹介した。

 福本氏は「リアルタイムモニタリングで見える化を実現することで、現場ではリアルタイムに対応しなければならない事象に対応できるようになる。一方で取得した情報をもとに振り返りを行うことで管理者層は工程や運営の改善につなげることができる。これらの情報を一元的に把握することが重要だ」と述べている。

photo ロボットによる製造ラインのデモ。製造工程と検査工程を模し、リアルタイムで情報を入手した(クリックで拡大)

 また、設備保全領域でAR(拡張現実)を活用する「Meister AR Suite」なども紹介。同ソリューションはタブレット端末で利用できる「ARマニュアル」「ARナビゲーション」と、プログラミングなしでマニュアルなどを作成・編集できる「ARコンテンツジェネレータ」をパッケージ化したARソリューションである。プログラミングが不要で直感的なGUI(Graphical User Interface)であるARコンテンツジェネレータにより、ARの専門知識がなくてもPCで簡単に作成、編集できることが特徴だ。

 福本氏は「ARを活用したいというニーズは以前からあったが、製造業にとってはコンテンツ作成が難しく二の足を踏むケースが多かった。このコンテンツ作成を大幅に容易にしたことが特徴だ。既に引き合いも多い」と手応えを訴えている。

photo 「Meister AR Suite」の様子。実際に引き合いも強いという(クリックで拡大)

 その他、デジタルツインで集約するデータの活用としては、東芝アナリティクスAI 「SATLYS」の活用を訴求。またコミュニケーションAI「RECAIUS」なども自動車向けソリューションで紹介している。

 福本氏は「東芝はワープロの開発メーカーでもあり、日本語の認識や入出力で独自技術やノウハウを数多く保有している。これらを生かしたAIであり、日本語の文書の認識や、コミュニケーションなどで力を発揮する」と日本語での強みを訴えた。

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