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» 2018年07月04日 10時00分 公開

製造業IoT:スマート工場実現の“最難関”、つながらない環境をどうつなげるべきか

製造業の生産性を高め、新たな競争力を実現するスマートファクトリーだが、取り組みを開始する際に大きな壁として立ちはだかるのが、機器や情報を「つなげる」ことの難しさである。スマート工場化の大前提となる「つながる化」をどう実現すればよいのだろうか。その考え方と実践的な取り組みを紹介する。

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 スマートファクトリーの起点となっているのが、まず「データを収集、蓄積する」という点だ。しかし、工場内でIoT活用を進めようとすると、そう簡単な話ではないことが分かる。「つなげない」や「データが取れない」というものが大半だからだ。工場内には、ネットワーク接続を想定していない機器が数多く存在する。古い機械でネットワーク接続ができない機器があったり、異なるベンダー間でデータ収集が行えない場合があったりする。また、ネットワーク接続ができたとしても、それぞれの機器のデータの持ち方や取得方法、フォーマット、粒度、タイムスタンプなどが異なっており、そのままでは有効利用できない場合も多い。

 そもそも工場には、情報システム部門が管理するオフィスなどのOAシステムと生産管理システムがつながるネットワークと、生産技術部門が管理する制御系ネットワークが存在する。多くの場合、これらのネットワークは個別で存在しており、制御系ネットワークは独立している(情報系ネットワークには接続していない)ことが多い。また、生産技術部門が管理するネットワークでは、ネットワーク構成図や接続機器の資産管理台帳がないまたは最新ではない場合が多く、全体像の把握が非常に難しい場合が多い。スマートファクトリーを実現するためには、生産設備からデータ収集を行うためのネットワーク(IoT-LAN)の構築と、情報系ネットワークとの相互接続が不可欠だが、接続機器やネットワーク構成が把握しきれていないシステムを情報システム部門が管理するネットワークに接続するのは(特にセキュリティの観点から)リスクが大きく受け入れられないことが多い。

 スマートファクトリーを実現するには、情報システム部門と生産技術部門の責任分界点や具体的な接続方式などを一つ一つすりあわせていくことが必要になる。

photo 図1 工場内ネットワークとつながらない課題(クリックで拡大)出典:ネットワンシステムズ

「つながらない」課題をどう乗り越えるべきか

 こうした「つながらない問題」をどのように解決すべきなのだろうか。1つのポイントになるのがパートナーの存在だ。IoTやスマートファクトリーは必要になる技術の領域が広く、1社で全てをカバーするのは難しい。その中で協調領域は積極的にパートナーシップを結び、活用していくことが重要になる。

 各機器ベンダーなどとパートナーシップを結ぶというのも1つの手だが、機器ベンダーは自社機器の接続方法には精通しているものの、自社以外の機器の接続方法に関しては詳しいことは分からない場合が多い。マルチベンダー環境における統合ネットワークを効率的に構築することを考えるとネットワークの専門企業と組むというのも1つの手だといえる。

 その中で、ITだけでなくOTにおけるネットワーク構築の実績を持ち、豊富なノウハウを保有しているのがネットワンシステムズだ。同社は、2015年からスマートファクトリー向けのネットワーク構築を開始し、ユーザー企業とともに工場向けのネットワーク構築の手法の確立に取り組んでいる。実際に工場での導入を進めていることから「現実的で実践的なノウハウ」を保有していることが特徴だ。

photo ネットワンシステムズ 市場開発本部 ICT戦略支援部 シニアマネージャー 黒田宜範氏

 ネットワンシステムズが、まず「つながる」ために重要になると訴えるのが、ネットワークのグランドデザインである。「スマートファクトリーで描く世界を実現するまでには、とても長い期間が必要になります。こうした長期のプロジェクトで重要になるのは、目標をぶれさせないことです。その意味で最初に大きな全体像を描くことが重要になります」とネットワンシステムズ 市場開発本部 ICT戦略支援部 シニアマネージャー 黒田宜範氏は語る。

 ただ、ネットワークのグランドデザインといっても、情報システム部門は制御技術の専門知識がなく、生産技術部門は情報システムの専門知識がないために、コミュニケーションギャップが大きく、両部門が標準的に活用できるものを策定するのは難しい。そこでネットワンシステムズでは、サービス提供のラインアップに「IIoTプロフェッショナル」としたコンサルティングサービスを用意。工場ネットワークのグランドデザインや標準仕様の策定などを支援する。

 ネットワンシステムズがネットワークのグランドデザイン策定で参考にしているのがIEC62443などの国際標準と、シスコシステムズなどが策定した工場ネットワークのアーキテクチャである「CPwE(Converged Plantwide Ethernet)」である。「CPwE」は産業用イーサネットを活用して制御システムネットワークや生産設備から情報収集するネットワークを統合し、さらにOA系システムとセキュアに接続するための具体的な手法が記載されている。「CPwE」を活用することで、現実的で強固な工場ネットワークの構築が可能となる。

 黒田氏は「スマートファクトリーは長期プロジェクトとなります。しかし、将来のことは誰にも分かりません。そこで当社では、『緩やかな標準、しなやかな実装』をコンセプトとして、現在のベストプラクティスを活用しつつ、将来の変化にも柔軟に対応できる仕組みを考えています」と考えを述べている。

photo 図2 最初に実現する「つながる設備」(クリックで拡大)出典:ネットワンシステムズ

PoCからスケールアップと実証の価値

 「グランドデザインの策定」と並行して取り組むのが、より多くの価値を得られると考える領域でのPoC(概念実証)の実施である。「計画を描いた後は、まずグランドデザインで得られるような価値が、本当に得られるのかどうかを試す必要がある。それも仮の検証用のラインで試し、段階的に本番に近づけていく計画が必要です。メーカーごとに仕様が異なる制御装置はつなげて試さないと、正しくデータが取れるかどうかは分からないことも多いからです」と黒田氏は述べる。

 ネットワンシステムズでは「IIoTネットワークソリューション」として実際のネットワークの設計や構築も請け負っているため、PoCでのシステム構築だけでなく、これらを徐々に本番環境に向けて拡大する場合も対応可能な点も強みとしてある。さらに「IIoTファシリティ」として東京都と愛知県豊田市に実証施設「IoTラボ」を用意している。実際に「使用している機器が本当に新たな環境で接続できるのか」や「他のシステム環境と連携が可能か」などを、実環境に近づけて検証することが可能である。

 黒田氏は「実際に機器やソフトウェアを持ち込んで頂くことで初めて気付く問題も数多く存在しました」と説明する。例えば、産業用スイッチではPLC間通信が要求する数百msec以内の冗長経路切り替えを満たせない構成があったり、制御装置では数十msec単位のデータ取得を確実に行うために中間ゲートウェイを追加する必要があったりしたという。

 「本格的な制御システムのネットワーク接続は今まで誰も取り組んでこなかった領域で標準化も進んでいません。個々の機器がそれぞれの規格で動いていたのです。制御装置間を相互接続することでネットワークに及ぼすインパクトやネットワークにかかる負荷なども何が最適なのかは分からない状況です。そのため、実証する前には全く想定していなかった問題が見つかったケースもあります。そういう意味では検証は非常に重要です」と黒田氏はIoTラボの意義を強調する。

スマートファクトリー実現を阻む「古い機器」問題

 これらの検証を進めてもうまくいかないケースも存在する。例えば、工場内を「つなげる」に当たって、よく課題になるのが、古い機器の存在だ。古い機器はそもそものネットワーク機能を保有していない場合も多く、また取得できるデータも限られる場合が多い。新たにIoT化してデータを取得するためには、センサーを設置したり、通信機器を後付けしたりすることが必要になる。しかし、それでも求めるデータを取ることができない場合も多い。

photo ネットワンシステムズ 市場開発本部 ICT戦略支援部 エキスパートの竹内智子氏

 これらに対する現実的な解としてネットワンシステムズが過去の経験から提案するのが以下の方法だ。「RS-232C接続インタフェースしか持たない機器に対しては、RS-232Cとイーサネットを変換するコンバーターが利用できます」とネットワンシステムズ 市場開発本部 ICT戦略支援部 エキスパートの竹内智子氏は述べる。

 しかし「イーサネット変換コンバーターを利用しても、通信ソフトウェアがRS-232C経由のデータ吸い上げに対応していない機器仕様のため、つなげなかったこともありました。古い機器からデータを取れるようになるために、ネットワンシステムズが顧客と機器ベンダーとの調整役となることもあります。ただ機器仕様の変更には長い時間を要するため、初期の段階では『無理してつなげない』『つながるものを先につなげる』というのも1つの選択肢です」と竹内氏は柔軟な対応の意義について語る。

 「古い機械の接続を必須とすると、全体的なシステム構築の難易度が上がり、不要なコストや負担が大きくなる場合があります。それで得られる効果が見えていればよいですが、そうでない場合もあるため、顧客と相談しながら現実的な解を導き出すようにしています」と竹内氏は説明する。

 さらに、スマートファクトリーを実現に導くコツとして黒田氏は「現場の巻き込みと現実的な目標を設定することが重要です」と述べる。

 「スマートファクトリー化を進めると、想定できない数多くの問題が発生します。最初から高い目標を掲げていると、課題の多さと進捗の遅さで途中で(PoC推進チームも現場部門も)挫折してしまいます。実現可能な身近な目標を設定し、それを達成したら次の目標を設定するというように、徐々にスケールアップしていくというやり方が成功への道だと考えます」と黒田氏は述べている。

1社の限界をパートナーシップで越える重要性

 ここまで見てきたように、スマートファクトリー化の大前提となる「つながる化」のところだけを見ても、製造業が単独で実現するには非常に難しい問題が数多く存在することが分かる。先述した通り、スマートファクトリー化は1社で実現できない問題で課題を乗り越えるためにはパートナーの存在が必須となる。

 スマートファクトリーは大きな注目を集めているものの、現実的には価値を得られずに挫折していく企業が多いのも事実だ。その意味で、1社だけでの取り組みに行き詰まりを感じた場合には、数多くの工場の「つながる化」を実現してきたネットワンシステムズとのパートナーシップは大きな助けになることだろう。

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提供:ネットワンシステムズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2018年8月3日