特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2018年07月06日 10時00分 公開

Discovery 2018:ユーザーが1万社を超えたソラコム、「ポケトーク」のグローバル対応を62日で実現 (1/3)

ソラコムは、東京都内で年次ユーザーイベント「Discovery 2018」を開催。基調講演に登壇した同社社長の玉川憲氏は、ユーザー数が1万社を超えたことや新たなサービスなどを発表。ソースネクストや日本瓦斯などのユーザー、KDDI、アマゾン ウェブ サービス ジャパン、東京海上日動火災保険などのパートナーも連携事例を紹介した。

[朴尚洙,MONOist]
ソラコムの玉川憲氏 ソラコムの玉川憲氏

 ソラコムは2018年7月4日、東京都内で年次ユーザーイベント「Discovery 2018」を開催した。基調講演に登壇した同社社長の玉川憲氏は、ユーザー数が1万社を超えたことや、2017年8月にKDDIグループに加わったことによる成果、新たなサービスなどを発表。ソースネクストや日本瓦斯などのユーザー、アマゾン ウェブ サービス ジャパン、東京海上日動火災保険などのパートナーも登壇し、ソラコムとの連携事例を紹介した。

 まず玉川氏は、2015年7月の創業からの約3年間で、ユーザーが1万社以上、パートナーが460社以上に増え、米国、シンガポール、欧州にも拠点を設置したことを報告。そして、これらの事業拡大は「ひとえに“Pace of Innovation”、顧客ニーズに基づく迅速な開発を進められたからだ」(同氏)と説明した。実際に、IoT(モノのインターネット)向け回線サービス「SORACOM Air」をはじめとする10の主要サービスを中心に3年間で86の機能をリリースしており、これは2週間に1機能というペースになる。

ソラコムのサービスの歩み ソラコムのサービスの歩み。「Discovery 2018」に合わせてさらに多くのサービスを追加している(クリックで拡大) 出典:ソラコム
ソースネクストの松田憲幸氏 ソースネクストの松田憲幸氏。手に持っているのが携帯型翻訳機「POCKETALK」

 このイノベーションの力が発揮されたのが、2017年から立ち上げたグローバルSIMである。玉川氏は「グローバルSIMの開発で必要だった加入者管理機能(HLR)の独自実装などにより、グローバルSIMは日本向けSIMよりも使える機能が多い」と説明する。そして、グローバルSIMのユーザーとして、携帯型翻訳機「POCKETALK(ポケトーク)」を展開するソースネクスト 社長の松田憲幸氏を紹介した。

 松田氏は2017年12月の発売からPOCKETALKが好調であり、63言語に対応し、105の国と地域で利用できることが高く評価されていることがその理由だとした。そして、POCKETALKの開発におけるソラコムとの連携がどのように進んだかについても説明。「まず、2017年10月13日にシリコンバレーでソラコム CTOの安川健太氏と打ち合わせた後、同年10月21日に玉川氏と東京で打ち合わせてソラコムの採用を決め、10月23日に共同記者発表を行った。そこからPOCKETALKの発売は12月14日なので、初回打ち合わせから62日で製品を発売することができたわけだ。これによって、POCKETALKはグローバルで使える翻訳機としてローンチすることができた」(松田氏)という。

KDDIの「IoT世界基盤」にソラコムも参画

 再び登壇した玉川氏は、あらゆる無線を超える「Wireless Agnostic」をテーマに、KDDIとの連携について紹介した。2018年5月にはKDDIの携帯電話通信網を利用する「SORACOM Air」の新プランをスタートしているが、同年9月からはセルラーLPWA(低消費電力広域無線通信)ネットワークの1つであるLTE-M(LTE Cat.M1)のKDDI回線を利用できる「plan-KM1」を提供する予定だ。

 ここで登壇したのがKDDI ソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部長 兼 クラウドサービス企画部長の藤井彰人氏である。藤井氏は「さらなるKDDIとソラコムの協業のテーマはグローバルだ。KDDIが、トヨタ自動車や日立製作所と推進している『IoT世界基盤』※)にソラコムのグローバル通信プラットフォームも参画する。さらに、KDDIの海外現地法人と連携したIoTビジネスの推進にも取り組む。まずは北米と東南アジアから始め、順次拡大させていく」と述べている。

※)関連記事:トヨタと開発したグローバル通信プラットフォームを他業種展開、KDDIが日立と協業

KDDIの藤井彰人氏日本瓦斯の和田眞治氏 KDDIの藤井彰人氏(左)と日本瓦斯の和田眞治氏(右)

 また、日本瓦斯 社長の和田眞治氏も登壇し、ソラコムのLTE-M回線などを活用して開発を進めているエネルギープラットフォームの概要を紹介。和田氏は「IoT活用はコスト削減だけではユーザーの心に刺さらない。イノベーションによってサービスを創出することが重要だ。新しいことに挑戦するには、レガシーを捨てて、リスクを取る勇気が必要だが、それはトップにしかできないことだ」とイノベーションを起こす上での経営者の在り方について強調した。

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