熟練者と同等の切削加工品質を確保できる加工誤差補正技術を開発FAニュース

日立製作所は、NC切削加工機の個体差を考慮した加工誤差補正技術を開発した。熟練者の加工ノウハウをデジタル化することで、切削加工機、工具、素材形状などに応じて制御プログラムを自動で補正できる。

» 2018年07月09日 07時00分 公開
[MONOist]

 日立製作所は2018年6月18日、NC切削加工機の個体差を考慮した加工誤差補正技術を開発したと発表した。熟練者の加工ノウハウをデジタル化することで、切削加工機、工具、素材形状などに応じて制御プログラム(NCデータ)を自動で補正できる技術だ。

 切削加工誤差の予測においては、切削加工機、切削工具の剛性と切削加工誤差に因果関係があることに着目。熟練者の加工ノウハウを物理モデル化することで、デジタル処理を可能とした。NCデータ、切削加工機の剛性、切削工具の形状、素材形状などの情報を入力すると切削加工誤差の自動補正を行い、高精度な加工ができるNCデータを自動出力する。

 複数の工場の切削加工機を組み合わせた量産加工において、無補正で加工した場合と比べ加工精度が4〜6倍向上し、熟練者と同等の切削加工品質を確保できた。

 切削工具のたわみ形状が原因で生じる切削加工の誤差は、複数の要因により1台ごとに異なり、熟練者は機械の個体差、周囲の環境、経年劣化などを考慮して加工誤差の補正を行っている。補正には属人的な加工ノウハウが必要だが、若手就労者が減少しているため継承が大きな課題となっている。そこで同社は、切削加工の加工誤差を予測し、NCデータを自動で補正する技術を開発した。

photo 切削加工における熟練者加工ノウハウのデジタル化の概要 出典:日立製作所
photo 切削加工誤差の自動補正技術を用いた切削加工フロー 出典:日立製作所

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