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» 2018年07月18日 13時00分 公開

【週刊】ママさん設計者「3D&IT活用の現実と理想」:今さら聞けない「加工現場のIT化ってどういうこと?」

まるで週1の連続ドラマのような感覚の記事、毎週水曜日をお楽しみに! 今期のメインテーマは「設計者が加工現場の目線で考える、 3DとIT活用の現実と理想のカタチ」。2018年7〜8月前半のサブテーマは『「こんな加工現場はいやだ!」 適切な3D化とIT化を考える』です。

[藤崎 淳子/Materiai工房テクノフレキス,MONOist]

まるで週1の連続ドラマのような感覚の記事、毎週水曜日をお楽しみに! 今期のメインテーマは「設計者が加工現場の目線で考える、 3DとIT活用の現実と理想のカタチ」。2018年7〜8月前半のサブテーマは『「こんな加工現場はいやだ!」 適切な3D化とIT化を考える』です。


SCENE 2:今さら聞けない「加工現場のIT化ってどういうこと?」(第2回 サブテーマ:「こんな加工現場はいやだ!」 適切な3D化とIT化を考える)

>>前回:SCENE 1:「3Dは万能!」という誤解と弊害のお話

 「IT」という言葉を日常的に耳にするようになって、かれこれ20年近くたちます。かつては「当社はIT化を推進しています」などと言えば、「なにやらイケてる会社」という印象を与えられましたが、加速度を増す情報化社会の進展の中で、「IT」という言葉だけが先走った感は否めず、「コンピュータを使えば、何でもIT」という誤解や「何をどうすることがIT化なのか」がはっきりしないまま、やがて「IoT(モノのインターネット)」とか「Industry 4.0」などの新たな横文字が登場してきて、最近ちょっとややこしい状況にあります。

 ですので、ひとまず定義として「IT」を一言で説明しておきます。ITとは、「コンピュータを使った“情報伝送技術”と、それに関わるシステムや環境全てのこと」です。

 さて、世間一般が抱く「業務のIT化」のイメージといえば、サーバを設置してドメインを取って自社Webサイトを制作し、従業員にPCと電子メールアカウントを付与することから始まり、紙媒体から電子媒体へ移行しながらデータベースを作成・運用し、各業務に生かして効率化を図るシステム……といったところでしょうか。このイメージでは、文書の作成と管理が集中する、総務、経理、購買といった間接部門での効果はおおむね見当がつきますよね。

 それでは、直接部門の加工現場に視点を移して、ここでも同様のIT化が有効なのか考えてみます。「紙媒体から電子媒体へ」という点で、紙図面からCADデータへの移行が挙げられますが、電子メールでやりとりできるようにPDF化した図面も電子媒体に含みます。この時、紙図面と図面PDFは同一と考えて、座標や数値らの設計情報を持つCADデータとは区別して考えます。

 使う機械はデジタル制御でも、仕事内容はほぼアナログなのが加工現場です。いくら紙媒体から電子媒体に移行しようとも、ここでは紙図面および図面PDFは、その加工品の「正規の情報」として上位で扱われ、CADデータはNC工作機械の加工プログラムを作成する材料に使われます。そして加工プログラムは加工情報となります。こう区別してみると、情報の利用とデータの利用は別物ということがちょっと見えてきますね。どちらも加工現場には必要なものですが、IT化を検討するとき、最初に手を付けたいのは情報共有の合理化ではないでしょうか。

 加工会社の多くは加工現場を製造の主要部署として、関連業務に工程管理、品質管理などを置き、生産管理上でこれらは一連とされ、QC工程表に基づいて情報を紐(ひも)づけて管理しています。ここをIT化すれば、社内ネットワークにつながった各自のPCから生産情報にアクセスして、部署内での情報の共有と他部署への水平展開ができます。工程進捗情報を複数の人間がリアルタイムで確認することができるので、このシステムを運用することで加工現場の「見える化」にもつながり、生産管理の3本柱Q(品質)C(コスト)D(納期)分析にも役立ちます。

 ただしITもただの道具なのです。神器じゃないのです。成果を得られるように運用するためには、前もって現場の状況分析はしておいた方が良いですね。


 次回は、『SCENE 3:「生産管理のココロ、現場知らず……」なお話』をお届けします。「ユビキタス? なんだそれは。湯引きした食い物か」。(次回へ続く)

Profile

藤崎 淳子(ふじさき じゅんこ)

長野県上伊那郡在住の設計者。工作機械販売商社、樹脂材料・加工品商社、プレス金型メーカー、基板実装メーカーなどの勤務経験を経てモノづくりの知識を深める。紆余曲折の末、2006年にMaterial工房テクノフレキスを開業。従業員は自分だけの“ひとりファブレス”を看板に、打ち合せ、設計、加工手配、組立、納品を1人でこなす。数ある加工手段の中で、特にフライス盤とマシニングセンタ加工の世界にドラマを感じており、もっと多くの人へ切削加工の魅力を伝えたいと考えている。

・筆者ブログ「ガノタなモノづくりママの日常」



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