デジタルツインを実現するCAEの真価

3D CADで最適化と静的応力解析やってみたトポロジー最適化とは何か(3)(1/3 ページ)

今回は3D CADに付属するシミュレーション機能の一環としてのトポロジーの最適化機能を取り上げてみたいと思います。

» 2018年07月20日 13時00分 公開

 皆さん、こんにちは。早いものでもう7月。1年の半分が過ぎてしまいました。私は、「この半年でいったい自分は何を達成したのか」を考えているところです。そして、ボヤボヤしているうちにこの連載も早くも3回目。今回は3D CADに付属するシミュレーション機能の一環としてのトポロジーの最適化機能を取り上げてみたいと思います。

Fusion 360のトポロジー最適化

 そもそも、トポロジー最適化がにわかに注目を集め始めたのは、ミッドレンジのCADの環境においてもトポロジー最適化が使えるようになったことが大きいのではないかと筆者は考えています。そこで、いったん「OPTISHAPE-TS」を離れて、筆者が利用できるソフトを試してみます。そのうちの1件目が今日取り上げる、3D CAD「Fusion 360」のトポロジー最適化の機能です。

 Fusion 360は、皆さまがご存じの通り、年間サブスクリプション形式の“非常にコスパの高い3D CAD”というか、3Dで製品開発のためのプラットフォームでモデリングの機能だけでなく、シミュレーション(構造解析)やCAMがその一式の中に含まれていることもよく知られています。

 トポロジー最適化の機能はシミュレーションの中に含まれています。ただし、最適化の機能を使うには標準のFusion 360の方ではなく、価格が19万6560円(税込み)のUltimate版の方を使用する必要があるのでご注意ください。

 ということで、早速使ってみましょう。

 使い方はFusion 360の他のシミュレーション機能と同様に極めてシンプルです。何か問題が起きたとか、うまくいかない時に修正する余地があまりないというデメリットがある代わりに、初めてでも使い方についてそれほど悩まないというメリットもあります。このあたりの感覚はFusion 360の他のシミュレーションの機能と同様です。

手順を確認しよう

 まず、通常のシミュレーションをやる時と同じく、ジオメトリを作成します。今回は、第2回の記事で使用したジオメトリと同じものを使って、どのような結果になるか試してみたいと思います。設計対象となる形状が出来上がったら、早速最適化を進めてみましょう。

 作業の環境をシミュレーションに切り替えます。ここで、シミュレーションのスタディーのタイプを選択しますが、画面下段の一番右側にある「シェイプ最適化」を選択します。

 シェイプ最適化は、直訳だと「形状最適化」になってしまいますが、実際の中身は「トポロジー最適化」です。この連載ではトポロジー最適化と形状最適化は第1回で示したように別ものとして扱っていますので、この記事でもトポロジー最適化として記述していきます。

 で、その手順です。通常の解析とはちょっと趣の違うところもありますが、UI自体は同じなので、Fusion 360の解析に慣れている人であれば、それほど違和感を覚えることはないでしょう。

トポロジー解析と静的応力解析をやってみる

 せっかくなので、単にトポロジー解析化をするだけではなくて、静的応力解析と組み合わせて形状の変更までやってみましょう。

 まず、前回と同じ形状を用意します。今回は改めて作成することをせずに3D CAD「SOLIDWORKS」からインポートします。

今回のお題をインポート

 拘束条件は前回と同様に2つの穴の内側を完全に拘束、下の面に対して下向きに荷重をかけて引っ張ります。今回は、「10000N」というちょっと大きめの荷重をかけてみます。この状態でまず先に静的応力解析を実施してみます。

静的応力解析を実行

 安全率で確認するには、おおむね問題はないようです。

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