大型トラクターのタイヤは空気パンパンじゃない方がいい? ブリヂストンが提案第34回国際農機展

ブリヂストンは、「第34回国際農業機械展in帯広(第34回国際農機展)」において、大型トラクター向けのラジアルタイヤ「VT-TRACTOR(ブイティートラクター)」を展示した。2018年10月から国内受注を始め、2019年春に出荷する予定だ。

» 2018年07月25日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 ブリヂストンは、北海道帯広市で開催された農業機械の展示会「第34回国際農業機械展in帯広(第34回国際農機展)」(2018年7月12〜16日)において、大型トラクター向けのラジアルタイヤ「VT-TRACTOR(ブイティートラクター)」を展示した。2018年10月から国内受注を始め、2019年春に出荷する予定だ。

ブリヂストンの「VT-TRACTOR」の展示 ブリヂストンの「VT-TRACTOR」の展示。クボタの170馬力の大型トラクター「M7-171」に装着(クリックで拡大)
後輪は「VF650/65R38」前輪は「VF540/65R28」 後輪は「VF650/65R38」(左)、前輪は「VF540/65R28」(右)を装着(クリックで拡大)

 VT-TRACTORは、高い耐荷重を実現することにより、低い空気圧での利用を可能にしたトラクター向けのラジアルタイヤだ。トラクター向けタイヤの一般的な空気圧は160kPaだが、VT-TRACTORは100kPaでも使用できる。「空気圧を下げるとタイヤの接地面積が広がって、地面への食い付きがよくなりスリップしにくくなる。坂道でも重いものをけん引できるようになる。公道走行時の乗り心地がよく、土壌の踏み固めも抑制できる。また、タイヤがよく収縮することで、溝につまった泥も落ちやすいというメリットも得られる」(ブリヂストンの説明員)という。なお、空気圧が100kPaの接地面積は、160kPaの場合と比べて14%増えている(「VF540/65R28」を使用した場合)。

「VT-TRACTOR」の特徴 「VT-TRACTOR」の特徴(クリックで拡大) 出典:ブリヂストン

 ブリヂストンが、ブリヂストンブランドで国内展開するトラクター向けタイヤはバイアスタイプが中心だった。これは、水田を耕すのに用いられる70〜80馬力以下のトラクターにはバイアスタイヤが最適なためだ。大型トラクター向けのラジアルタイヤは、米国で高い実績を持つファイアストンブランドの製品を展開している。

 今回展示したVT-TRACTORは、2016年から欧州で展開していたもので、満を持しての国内展開となる。「まずは、今回の展示に用いた100馬力を超える大型トラクターのアフターマーケット向けから提案を始める。農機メーカーの純正品にも訴求していきたい」(同説明員)という。

トラクターでも「B-TAG」を展開できる?

 ブリヂストンは、鉱山で用いられる車両向けに、タイヤの空気圧や温度をリアルタイムに測定する独自開発のセンサー「B-TAG」などを展開している。農機向けタイヤについても、同様のソリューションを展開できる余地はあるのだろうか。

 同社 グローバル鉱山・農機ソリューションカンパニー 農機ソリューション事業本部 農機ソリューション営業部長の藤原敦洋氏は「タイヤの内圧を管理することで、トラクター本来の性能を十分に引き出せる上にタイヤの寿命も伸ばせる。今回のVT-TRACTORは、内圧管理を提案するきっかけになるだろう。ただし、われわれとしては、農家の皆さまの困りごとをどうやって解決できるかを重視しており、メーカーの考えを押し付けていきたいわけではない。まずは、トラクターの力を引き出せるVT-TRACTORの価値をしっかり提案していきたい」と述べている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.