3D CADと連携する公差解析ツールを使って計算してみる3D設計推進者の眼(33)(2/3 ページ)

» 2018年07月27日 13時00分 公開

2.公差計算の例

 バラツキを考え、確率統計学的に公差を考えるということから、公差計算方式の互換性の方法、不完全互換性の方法という計算方法について話をしました。では、実際にその計算の例をあげてみることにしましょう。

例1:次のような3部品からなるアセンブリの総厚の公差値を計算します



 このような部品を組み立てた場合、組立後の総厚45[mm]に対する公差値はどうなるのでしょうか。互換性の方法、不完全互換性の方法で公差計算を行います。

 それぞれの部品の厚み方向の寸法は図に示すようになります。

A:20±0.2[mm]、B:15±0.2[mm]、C:10±0.2[mm]

互換性の方法(Σ計算)

不完全互換性の方法(√計算)

例2:次はアセンブリの総厚の公差を±0.3[mm]としたい場合、それぞれの部品の公差値をいくつに設定すべきかを計算します。ただし、A・B・Cの3部品は全て同じ公差値とします



互換性の方法(Σ計算)

不完全互換性の方法(√計算)

 このように、互換性の方法、不完全互換性の方法から、既知の公差値を持つ部品の組立後の組立完成品の公差や、組立完成後の公差によって管理すべき寸法値を達成するため、まだ設定していない部品への公差値をどのようにするかを計算可能です。

 詳細設計を行う場面では、後者は設計者が考えるべき設計の一部です。計算結果のように、不完全互換性の方法によって求められた公差値は、互換性の方法に対して、1.73(√3)倍です。この公差をどう考えるべきでしょうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.