FPGAの特徴とは? 他デバイスと比較してみよう新・いまさら聞けないFPGA入門(前編)(1/3 ページ)

MONOistの人気解説記事「いまさら聞けないFPGA入門」が公開された2006年9月から10年以上が経過し、FPGAを取り巻く状況も大きく変わっています。そこで、あらためてFPGAの基礎から最近の動向までを含めて解説する「新・いまさら聞けないFPGA入門」を公開します。前編は、FPGAの特徴について、ASICやASSP、GPU、CPUと比較して説明します。

» 2018年08月02日 10時00分 公開

 MONOistの人気解説記事「いまさら聞けないFPGA入門」が公開された2006年9月から10年以上が経過し、FPGAを取り巻く状況も大きく変わっています。そこで、あらためてFPGAの基礎から最近の動向までを含めて解説する「新・いまさら聞けないFPGA入門」を前後編で公開します(MONOist編集部)。

FPGAはレゴブロック、ASICは3Dプリンタ

 FPGAは、Field Programmable Gate Array=の略であり、デバイス内の電子制御機能の大部分を変更できる半導体ICのことです。変更は、設計エンジニアが行うことも、プリント基板のアセンブリープロセス中に行うことも、さらには機器が顧客へ出荷された後、「現場(Field)」で行うこともできます。FPGAは、電源を投入し直すことで、その変更した機能で動作させられます。従ってエンジニアは、新しい構成ファイルをデバイスにダウンロードし、変更の内容を試すだけで、容易に設計変更を行うことができるのです。

 ほとんどの場合で、FPGAの回路構成を変更する際にはプリント基板側に変更を加える必要がないためコストを節約できます。ASSP(Application Specific Standard Produce、特定用途向け大規模集積回路)やASIC(Application Specific Integrated Circuit、完全カスタム大規模集積回路)はハードウェア機能が固定されているので、変更を行うには、ASSPやASICそのものの置き換えに加えてプリント基板の再設計などを含めて多大なコストと時間が必要になります。また、ASICが回路設計から量産まで最低でも数カ月を要するのに対し、FPGAとASSPは「汎用品」として販売されているので、入手できればすぐに製品に組み込むことができます。

 次に、FPGAをレゴブロックに例えてASICやASSPを比較してみましょう。

 レゴブロックは、形状、色、大きさなどの部品を組み合わせて、例えば家やクルマ、人物などさまざまな物をつくることできます。FPGAの中にも、ユーザー回路を組み上げて行く際に必要なIOブロック、組み合わせ論理、組み合わせ論理のレジスタ出力、内蔵メモリ、内蔵DSPなどが、既に何百万ゲート規模でFPGAの内部に用意をされています。FPGAの設計ツールを使って、それらを組み合わせて行きながら目的のユーザー回路を作り上げていきます。

 ASICの場合は、製造が始まる前まではユーザー回路は自由に作り上げることができますが、一度製造が始まってしまうと3Dプリンタのように製品として固まったものとなり、それ以外の形に変更できなくなってしまいます。

 またASSPの場合は、産業分野や用途を限定し、機能と目的を特化した既製品(Off the Shelf)であり、多くの半導体メーカーから販売されています。例えば、ビデオ製品向けの映像の圧縮/非圧縮回路や、音声処理の回路が搭載された製品となります。

FPGAをレゴブロックとすると、ASICは3Dプリンタ、ASSPは既製品となる FPGAをレゴブロックとすると、ASICは3Dプリンタ、ASSPは既製品となる(クリックで拡大) 出典:日本アルテラ
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