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» 2018年09月12日 13時00分 公開

【週刊】ママさん設計者「3D&IT活用の現実と理想」:丁稚奉公と町工場連携のコミュニティー化

まるで週1の連続ドラマのような感覚の記事、毎週水曜日をお楽しみに! 今期のメインテーマは「設計者が加工現場の目線で考える、 3DとIT活用の現実と理想のカタチ」。2018年9月のサブテーマは『3D化とIT化は本当に後継者育成の鍵になるのか」を考える』です。

[藤崎 淳子/Material工房・テクノフレキス,MONOist]

まるで週1の連続ドラマのような感覚の記事、毎週水曜日をお楽しみに! 今期のメインテーマは「設計者が加工現場の目線で考える、 3DとIT活用の現実と理想のカタチ」。2018年9月のサブテーマは『3D化とIT化は本当に後継者育成の鍵になるのか」を考える』です。


SCENE 2:丁稚奉公と町工場連携のコミュニティー化

>>町工場の「3D化×IT化」の行く末を想像してみる

 突然ですが、皆さんは「丁稚奉公」という言葉をご存じでしょうか?丁稚奉公とは江戸時代から第二次世界大戦が終わるまでの日本に存在した、雇用制度および技術者育成システムのことで、10代の少年が商人や職人の家に住み込んで、衣類や食事の提供を受けながら、業界のしきたりと礼儀作法、社会人としての常識、業務の知識、技術までを身に着けながら無給で奉公することです。

 奉公先での労働が無給だと言っても衣・食・住は給与されるので、タダ働きとは違います。だから丁稚たちは、「技術を身に着け、手に職を持つ」ことで自分自身の中に財産を築く努力をしたし、清掃や使いっぱしりなどの雑用をこなしながら業務上のノウハウの教育的指導を受ける、もしくはそれを自発的に学習するのが常でした。そして、優秀な丁稚には「のれん分け」という形で、自らの作業場や店を持つことが許されたのです。これは「弟子入り制度」にもやや似ています。

 現代では名残りとして、他所さまで苦労を味わいつつ経験を積むことを「丁稚奉公」と表現したりします。事業の後継ぎになる人が、取引先や同業の他社に修行に行くようなケースがそれですね。

 事業承継のステップとして「他人の飯を食う」ことは、後継ぎ本人の技術向上と資質向上に直結するだけでなく、自社を客観視して比較し、改善や合理性を思考するきっかけにもなります。だったら後継ぎだけでなく、どの人材にも他社修行の機会があれば良いですし、この「飯を食わせてくれる他人」が何社か連携することで、技術者を集団で育てる町工場コミュニティーを整えることができるのではないでしょうか。

 かつて存在した丁稚奉公や弟子入り制度のおかげで、日本では、どの産業でも社会ぐるみで人を育てて、生産の場を支えようとする仕組みが成り立っていました。そこから時代は大きく変わって、現在は人の行き来はもちろん、インターネットの登場によって情報伝達と共有の手段もすさまじく進歩し、設計情報と部品データのデジタル化もどんどん進み、数年のうちには、どの工場でも3D化された設計情報を共有できるツールが必要になってくると予想しています。では、この環境の中で、これから先の時代に向けた町工場コミュニティーの在り方を考えてみましょう。

 まず、これまで述べてきた加工工場のIT化や3D化を推し進めることで、地域を超えた連携がスムーズに取れて、モノづくりにおける協業がスピーディーに合理的になります。そして、コミュニティー内のどの町工場も同じ環境がそろっていることで、人を育てる仕組みも作りやすそうです。これが満足に機能すれば、結果的に後継者問題も解消できて技術者の確保もできて、中小町工場全体の活性化につながることが期待できそうです。


 次回は「町工場コミュニティの結合による新しいメーカーの形を考えてみる」をお届けします。(次回へ続く)

Profile

藤崎 淳子(ふじさき じゅんこ)

長野県上伊那郡在住の設計者。工作機械販売商社、樹脂材料・加工品商社、プレス金型メーカー、基板実装メーカーなどの勤務経験を経てモノづくりの知識を深める。紆余曲折の末、2006年にMaterial工房テクノフレキスを開業。従業員は自分だけの“ひとりファブレス”を看板に、打ち合せ、設計、加工手配、組立、納品を1人でこなす。数ある加工手段の中で、特にフライス盤とマシニングセンタ加工の世界にドラマを感じており、もっと多くの人へ切削加工の魅力を伝えたいと考えている。

・筆者ブログ「ガノタなモノづくりママの日常」



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