検査や分析の前工程作業を効率化するデバイス医療機器ニュース

京セラは、血液などから特定の細胞を自動で分離し、濃度を計測できる「細胞分離、濃度計測デバイス」を発表した。検査や分析の前工程に必要な分離・抽出作業が3分の1の時間で完了し、一斉処理が可能なので、作業効率も10倍以上向上する。

» 2018年09月20日 15時00分 公開
[MONOist]

 京セラは2018年9月4日、血液などから特定の細胞を自動で分離し、濃度を計測できる「細胞分離、濃度計測デバイス」を発表した。検査や分析の前工程作業を自動化できる。生産時期は2019年春を予定している。

 形状は、極めて微細な流路が形成されたプレート型となる。例えば、白血球を用いる検査の前工程で同デバイスに血液を流すことで、白血球とそれ以外の細胞を分離して白血球のみを高精度で抽出する。さらに、同社が開発した受発光デバイスにより、白血球の濃度も自動で計測できる。

 これにより、熟練技能者でも約90分を要する分離・抽出作業が約30分で完了する。同デバイスは、並列に配置して一斉処理するため、作業効率も10倍以上向上する。

 同デバイスの開発には、印刷向けデバイスで培った微細加工技術を活用。樹脂製のプレートに形成した超微細な流路により、細胞のように小さな物質を連続で分離できるようになった。細胞の計測には、プリンタのトナー濃度を検出する受発光センサーを応用。超小型のLEDとフォトダイオードを同一のシリコン基板上に形成することで、デバイスサイズを幅75×奥行き35×高さ8mmと小型化できた。

 同社では、同デバイス専用の細胞分離、濃度計測機器も併せて開発している。今後、検査や分析の対応範囲を広げ、同デバイスを再生医療、予防医療などさまざまな研究開発用途に展開していく。

photo 「細胞分離、濃度計測デバイス」 出典:京セラ
photo デバイスの流路構造と受発光センサーの濃度計測原理(クリックで拡大) 出典:京セラ

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