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» 2018年09月27日 10時00分 公開

組み込み開発ニュース:ソラコムもNTTドコモもサービス開始、セルラーLPWA「LTE-M」とは

ソラコムはIoT向けデータ通信サービス「SORACOM Air」において、セルラーLPWAネットワークの1つであるLTE-M(LTE Cat.M1)を利用できる「plan-KM1」の提供を始めると発表した。NTTドコモも、LTE-Mへの対応を発表している。

[朴尚洙,MONOist]
ソラコムの玉川憲氏 ソラコムの玉川憲氏。手に持っているのは「plan-KM1」のSIMカードだ

 ソラコムは2018年9月26日、東京都内で会見を開き、IoT(モノインターネット)向けデータ通信サービス「SORACOM Air」において、セルラーLPWA(低消費電力広域)ネットワークの1つであるLTE-M(LTE Cat.M1)を利用できる「plan-KM1」の提供を始めると発表した。同年1月に全国対応を完了したKDDIのLTE-Mネットワークを用いる。料金体系は、1回線当たりの初期費用が1500円、基本料金が月額100円(101回線目から月額90円)、データ通信料が1KB当たり0.5円となっている。

 LTE-Mは、既存のLTE携帯電話通信網を活用できることによる通信エリアのカバー範囲の広さに加えて、省電力技術のeDRX(extended Discontinuous Reception)とPSM(Power Saving Mode)の利用による省電力性能も特徴になっている。IoTデバイスを乾電池で駆動させることが可能で、通信モジュールも安価になるとされており、ハンドオーバー機能も有しているので移動体の通信にも対応できる※)

※)関連記事:「NB-IoT」を補完する「LTE Cat.M1」はカーシェアに最適?

セルラーLPWAの仕様比較 セルラーLPWAの仕様比較。LTE-Mは中間に位置する(クリックで拡大) 出典:ソラコム

 plan-KM1は2018年7月に、同年9月のサービス提供が発表されていた※)。今回の発表から正式にサービスが開始しており、既に申込可能になっている。また、レファレンスデバイスとして、Seeedが提供するLTE-Mモジュール付きマイコンボード「Wio LTE M1/NB1(BG96)」(9800円)と、Quectelが提供する機器に組み込むことができるLTE-Mモジュール「BG96」と開発ボードキット(3万4800円)の提供も始めた。

※)関連記事:LPWA接続のダッシュボタンがソラコムから、「AWS IoT 1-Click」に国内初対応

 これでSORACOM Airの通信手段は、一般のセルラー通信ではNTTドコモ回線、KDDI回線、グローバル対応回線がそろい、LPWAネットワークとしてLoRaWANとsigfox、そしてセルラーLPWAであるLTE-Mが加わったことになる。

「SORACOM Air」のラインアップ 「SORACOM Air」のラインアップ(クリックで拡大) 出典:ソラコム

 なお、plan-KM1の提供に併せて、LoRaWANとsigfoxのみ無料で提供してきた「バイナリーパーサー機能」が、plan-KM1を含めたセルラー通信でも無料で利用可能になった。このバイナリーパーサー機能は、1度の通信データ容量が11〜12バイトと小さく、データ容量の削減のためにバイナリーで送信するのが基本のLoRaWANとsigfox向けに、バイナリーデータのパース、データ処理、カスタムフォーマットを付与しての送信を行うことで、クラウドで処理しやすいフォーマットにするもの。

「SORACOM Air」の「バイナリーパーサー機能」「バイナリーパーサー機能」の利用イメージ 「SORACOM Air」の「バイナリーパーサー機能」(左)と利用イメージ(右)(クリックで拡大) 出典:ソラコム

 ソラコム 社長の玉川憲氏は「plan-KM1は、LoRaWANやsigfoxと同じLPWAであり、基本的には大容量のデータ通信を行わないことが前提になる。実際に、一般のセルラー通信のデータ通信料はMB単位で設定しているが、plan-KM1はKB単位であり、データを賢く使う必要がある。データ通信の容量が少なくても、バイナリーパーサー機能を使って有効活用できるようにplan-KM1での無料提供に踏み切った」と語る。

 なお、セルラー通信におけるバイナリーパーサー機能の無料提供期間は2018年度中をめどとしている。「大容量データの通信を行う場合にもバイナリーパーサー機能を使いたい場合には、オプション料金を設定する可能性がある」(玉川氏)としている。

NTTドコモもLTE-Mに対応

 ソラコムのplan-KM1の発表と同じ2018年9月26日、NTTドコモもLTE-Mへの対応を同年10月1日から始めると発表した。当初の提供エリアは、東京都、大阪府、千葉県の一部エリアとなっているが、2019年3月末までに現在のLTE携帯電話通信網と同じになるとしている。

 料金プランはIoT向けの「IoTプラン」と「IoTプランHS」に基づく。例えば、通信速度が最大128kbpsのIoTプランは、1回線当たりの新規契約事務手数料が3000円、基本料金が月額400円(2年定期契約ありの場合)。通信料金は1KB当たり0.03円だが、基本料金は約30MBに相当する922円分の無料通信込みの価格となっている。

 なお、LTE-Mの規格における最大通信速度は下り0.8Mbps、上り1Mbpsだが、NTTドコモが提供するLTE-Mは下り300kbps、上り375kbpsとなっている。これは、消費電力を抑えやすい半二重通信方式を採用しているためだ。

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