最高品“湿”をうたう最新エアコン、緻密な湿度制御の裏側組み込み開発ニュース

ダイキン工業は2018年10月4日、家庭用エアコンの最新モデル「うるさら7(Rシリーズ)」を発表した。同機種はユーザーが好む温熱環境を学習、記憶し、室温に加えて湿度の2面から空調を最適調整する新開発の「AI快適制御」機能を搭載したことが最大の特長だ。また、同機種にはAI快適制御を支える新しい除湿機能を備えていた。

» 2018年10月05日 07時00分 公開
[松本貴志MONOist]

 ダイキン工業は2018年10月4日、東京都内で新製品発表会を開催し、家庭用エアコンの最新モデル「うるさら7(Rシリーズ)」を発表した。同機種はユーザーが好む温熱環境を学習、記憶し、室温に加えて湿度の2面から空調を最適調整する新開発の「AI快適制御」機能を搭載したことが最大の特長だ。

 その他、フラップが開いた状態でも美しい佇まいを演出する機能的なデザインや、多様な地域、状況で設置されることを想定した対環境性の高い構想設計を採用した。同機種は空調能力2.2〜9.0kWをカバーする11モデルを製品ラインアップにそろえ、2018年11月1日より販売開始する。

ダイキン工業の家庭用エアコン最新モデル「うるさら7(Rシリーズ)」(クリックで拡大)

 人が感じる温熱環境の快適性は、温度(室温)、湿度、輻射、気流といった外的要素と着衣量、活動量の人的要素から影響を受けている。ダイキン工業では、これまでの製品でも湿度に着目した開発を進めており、「ハイブリッド除湿」「無給水加湿」の独自機能をウリとしてきた。

 うるさら7(Rシリーズ)で目玉となるAI快適制御は、これまでも強みとしてきた湿度制御空調をベースとして、暑がりや寒がりといった個人で多様化する空調のニーズに答える機能だ。同機能は、エアコン運転開始30分以降にユーザーが行ったリモコン操作を逐次に分析し、温熱環境の好みを学習。同社独自の空調制御指標となる「快適指標」のしきい値(快適ゾーン)をユーザー固有に設定する。

AI快適自動の概要(クリックで拡大) 出典:ダイキン工業
室内機に設置された赤外線センサー(クリックで拡大)

 また、同機種の室内機には赤外線センサーが新たに搭載されており、室内機正面から左右80度ずつの壁面と床面、そして室内にいる人の輻射熱を計測する。これにより、従来エアコンの自動運転で用いるパラメーターの温度と湿度に加えて、輻射も考慮して快適指標を算出でき、急に気温が下がった場合や日射しによって暖かくなった場合など、環境変化に追従してユーザーの好みの温熱空間を実現する。

 うるさら7(Rシリーズ)は、同社のフラグシップモデルを冠する機種となるが、このAI快適制御を実装するため「同価格帯となる高級機種と比較しても、少しレベルの高いマイコンを使用している」(ダイキン工業担当者)という。

「AI快適制御」を支える独自の独自の湿度制御技術

 AI快適制御では、温度、湿度、気流をコントロールすることでユーザーの好みの温熱空間を提供する。このAI快適制御の開発には、同機種で新たに搭載された除湿技術「新・ハイブリッド除湿」が貢献している。一般的なエアコンの弱冷房除湿は、高気密な省エネ住宅や夜間の冷房運転時など低負荷環境で効果が低く、「温度を下げることができない状況では湿度も下げにくい」(ダイキン工業)ことがデメリットだ。

左:AI快適自動の冷房運転 右:新・ハイブリッド除湿の概要(クリックで拡大) 出典:ダイキン工業

 新・ハイブリッド除湿では、室内機に搭載された新開発の超低流量除湿弁を活用。温度変化させずに湿度を下げたい場合は、この除湿弁により冷媒流量を低下させ「ほんのり暖かい冷媒と冷たい冷媒を熱交換機に流す」ことで除湿運転を行う。類似技術として再熱除湿も挙げられるが、「再熱除湿と比較して消費電力が少ないことがメリット」であるとする。実際に、同社が公表する1Wあたりの除湿性能比較では、従来機が2.3cc/Wだったのに対して同機種が4.5cc/Wと、約2倍の除湿量を実現している。

 その他、新機能として室内が高湿度になった場合に自動的に除湿を行う「しつどみはり」機能や、室内機にWi-Fiモジュールを初めて標準搭載しスマートフォンやスマートスピーカーによる操作に対応している。

うるさら7(Rシリーズ)の新機能(クリックで拡大) 出典:ダイキン工業

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