総合機械メーカーとして東芝機械が目指す新たなモノづくりの在り方JIMTOF2018特別企画

東芝機械は「JIMTOF2018」で「変革と革新〜進化するものづくりに生産性で貢献〜」をコンセプトに、新製品の横形マシニングセンタやターニングセンタ、5軸仕様の超精密立形加工機、独自のIoTプラットフォーム「IoT+m」などの主力商品を出展。総合機械メーカーとしての知見を生かし、新たなモノづくりの実現を推進する方針だ。

» 2018年10月10日 10時00分 公開
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 東芝機械は「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」(2018年11月1〜6日、東京ビッグサイト)において、「変革と革新〜進化するものづくりに生産性で貢献〜」をコンセプトに、新製品の横形マシニングセンタ「BM-1000Q」、ターニングセンタ「TMD-13C(B)」、5軸仕様の超精密立形加工機「UVM-700E(5AD)」などの主力商品を出展する。さらに、総合機械メーカーとして培った技術や知見を基に開発した独自のIoTプラットフォーム「IoT+m」で実現するスマートファクトリー化を提案する。

内製化に強みを持つ、歴史ある“総合機械メーカー”

 東芝機械グループは1949年の設立以来、国内外のさまざまな産業から要求される機械を提供してきた。現在は「エネルギー、環境」「労働生産性の向上」「IoT(モノのインターネット)/ICT(情報通信技術)」「新素材への対応」の4つを重点戦略キーワードと位置付け、自動車やエレクトロニクス、光学、ナノテクなどの産業向けにさまざまな機械を提供している。

 東芝機械といえば、超大形工作機械のイメージが強いが、射出成形機、ダイカストマシン、押出成形機、微細転写装置、超精密立形加工機、ガラス成形機、工作機械、産業用ロボットなどのさまざまな機械や高性能CNCなどの制御装置を展開する“総合機械メーカー”である。

 この内、射出成形機(型締力5〜5000トンクラス)は全世界でソリューションビジネスを展開しており、自動車、情報通信、医療、OA、家電、容器などの製品分野で多くの導入実績を持つ。さらに、ダイカストマシン(型締力135〜4000トンクラス)も1953年に初号機を製作して以来、今でも多くの企業で使用され高いシェアを持つ。また、産業用ロボットについても製品展開しており、スカラロボット、垂直多関節ロボット、直交ロボットなどの製品を製造、販売している。

photo 東芝機械 工作機械営業部 部長の秋吉泰成氏

 工作機械や射出成形機などの主力製品は小型から大型までフルレンジでそろえ、特に自動車業界向けに大型モデルが実績を残すなど、世界的にシェアの高い製品も多い。これらの機械の展開だけでなく、古い機械のレトロフィットやアフターサービスなども積極的に推し進めており、「世界の“モノづくり”を支える総合機械メーカー」としての確固たる地位確立を目指している。

 これらの幅広い機械の展開を可能にしているのが「内製の技術力」である。東芝機械では品質と先進性をスローガンとして掲げているが、CNCをはじめ、各種機械のキーデバイスなどの多くを内製する。「市場にない製品や他社にできない製品を重点的に展開してきた経緯があるので、必然的に自社内で新たな基幹技術の開発を行うケースが多くなる。これらの基幹技術を自社内で保有しているために、顧客の要望に合わせたさまざまな機械の開発が可能になり、総合機械メーカーとしての強みを発揮できている」と東芝機械 工作機械営業部 部長の秋吉泰成氏は強調する。

JIMTOFで新たな市場ニーズを開拓

 これらの強みを生かしつつ、今回のJIMTOFでは、新たな市場のニーズに対応する新製品を出展。市場開拓に取り組む方針だ。

 中心製品の1つが、横形マシニングセンタBMシリーズの新モデルである「BM-1000Q」である。同モデルはベース(パレット仕様)が1000mm角のモデルだが、最大の特徴は「マシニングセンタとしては珍しいクイル主軸(φ200mm)を搭載しており、このクイルの繰り出し(300mm)により、主軸のワークへの接近性を高めている点だ。これにより、クラス最高峰の高トルクで重切削を実現する」(秋吉氏)。また、省スペースで工場環境に配慮したユーザーフレンドリーなデザインや、オペレーターにやさしいシンプルでスマートなCNC装置を搭載している点なども訴求ポイントとなる。

photo 「BM-1000Q」(クリックで拡大)出典:東芝機械

 東芝機械では、このクラスに一般加工から金型、さらにステンレスなどの加工まで幅広く対応できる新モデルを投入することで、さらなる市場開拓を目指す。会場では自動車用ダイカスト金型用中子のポケット加工をサンプルワークとして、クイル主軸を持つ高剛性主軸のSKD材ポケット加工の高効率化をアピールする予定だ。

 なお、BMシリーズには、新モデルであるQシリーズの他、5軸加工により複雑形状を一段取りで工程集約を行うことで稼働率の向上が可能になる「BM-U(ユニバーサルヘッド主軸)」、ビルトインモーターにより高速加工が可能な「BM-H(高速主軸)」がある。「3パターンの主軸を用意することで、多様化するワークに対応し、ユーザー企業の作業品質および作業効率の改善に貢献する」と秋吉氏は述べている。

 ターニングセンタではTMDシリーズの新製品として「TMD-13C(B)」を出展する。これは航空機部品の製造においては必須となりつつある「X軸摺動面仕様」を採用したモデルだ。従来はリニアガイド仕様でのモデルのみだったが、焼入研削面と低摩擦性スライドライナーとの滑り方式の案内面を搭載したモデルを用意することで、航空機部品の需要などに対応する。さらに、航空機部品の顧客からの要望の高い、インコネルやチタンなどの難削材の加工に対応し、故障などの要因になる切りくずを細かくできる超高圧クーラント(20MPa)を採用。超高圧クーラントに対応したフルカバー機を用意しており、会場では同モデルを展示する。

photo 「TMD-13C(B)」(クリックで拡大)出典:東芝機械

 摺動面仕様をターニングセンタのラインアップに追加したことで、顧客の加工ニーズに応じた機械仕様の選択が可能となり、航空機市場に向けて取り組みを本格的に強化する方針だ。

 超精密立形加工機では5軸仕様の「UVM-700E(5AD)」を展示する。空気静圧軸受スピンドルや高分解能リニアモータ制御により、金型製作の「磨きレス」「磨きミニマム化」を実現。従来は不可能だった大物ワークの高速、高品位5軸加工を可能としている。

 「UVMシリーズは、精密加工の中では、どちらかといえば汎用的な機械と位置付けられるが、その最大の特徴としては鏡面加工の精度が高いところにある」と秋吉氏は述べる。用途としては自動車用のヘッドランプのリフレクターやクリアランスランプ用金型などで、こうした超精密加工が行える特徴が評価され、国内外の自動車用光学部品業界への導入も進んでいるという。

 「UVM-700E(5AD)」は特に、対ワーク接近性を改良した新型カバーを採用するとともに、操作パネルを大画面(21.5インチ)タッチパネルとしたマイナーチェンジを実施した。パネルの視認性を向上させ、NC画面と同社独自ソフト画面を統合。操作性、機能性を高めている。また、自動化、省力化、高精度化を志向した独自のオペレーター支援機能も採用している。秋吉氏は「用途が拡大しており、使い勝手の良さなどが求められるようになってきた。今回のマイナーチェンジはその要望に応えたもの」と狙いについて述べている。

photo 「UVM-700E(5AD)」(クリックで拡大)出典:東芝機械

 この他、JIMTOF2018では、各種の自動車ランプ部品用金型をはじめ、精密、微細金型の加工事例を展示し、その高い加工性能をアピールする。さらに、大型、高精度を特徴とする金属積層造形の技術と事例について、造形サンプルの展示と共に紹介する。

スマート工場化を加速させる「IoT+m」

 東芝機械がJIMTOF2018で、もう1つの核として訴えるのが、独自のIoTプラットフォーム「IoT+m」である。2018年4月に専任組織を設けてから、IoTを中心に7つのビジネスユニットを横断した活動強化に取り組んできた。

photo 東芝機械 IT推進部 部長 前原弘之氏

 これにより「東芝機械では、工作機械などでも超大形機を納入しているケースが多く、故障や稼働停止してしまうと大きなロスを生む。そのため、予防保全によるダウンタイム削減が大きなポイントとなる。IoTデータに裏付けされた情報と社内外の加工現場で培った知見により、故障を事前に予知し緊急停止などを防ぐ。大きなダウンタイムが発生しない安心感を与えたい」と顧客が得られるメリットについて東芝機械 IT推進部 部長 前原弘之氏は語る。

 さらに、現場の人材不足が深刻化する中、生産性向上に向けた課題意識が高まっているが、東芝機械では、エッジコンピュータにプリインストールされた見える化ツール(ダッシュボード)や、エキスパートによる機械の種類別のデータ活用アドバイスなどを組み合わせた価値提供を行う。具体的には、付帯装置との連携による効率向上や、稼働監視による稼働率の向上を実現する。インダストリー4.0で推奨とされている通信規格である「OPC UA」を採用し、MES(製造実行システム)、ERP(基幹系情報システム)などの上位システムとの円滑な接続を実現。これらで集めてきた情報を蓄積、分析し、生産効率向上へとつなげる。

photo 「IoT+m」で実現する世界(クリックで拡大)出典:東芝機械

 顧客への提案としては、まず、第1ステップとして機械からのプロセスデータをデジタル化して収集し、見える化を実現することを目指す。必要に応じて機械にセンサーを取り付け、工程品質に影響を与えるパラメータも時系列に収集する。東芝機械製の振動センサー(TMスマートセンサー)を生産設備の予知保全に活用するシステムなども提供。「いくつかのユーザーからは高い評価を得ている」(前原氏)

 第2ステップでは、デジタル化したデータをサーバに蓄積し、第3ステップでは蓄積したデータを人が分析し活用する。第4ステップでは、そのデータをAI技術などにより自動的に分析できるようにし、第5ステップにおいて分析結果を自動的にシステムの動きに反映する、というデータサイクルを実現する。これらの順番でステップアップすることで工場や生産ラインのスマートファクトリー化を目指す。

 この他、幅広い顧客からのニーズに応えるため、IoTやAIを活用する製品やサービスを提供するメーカーとのアライアンスを進めており、2018年7月31日には「IoT+mパートナー会」を発足させた。現在、AI、セキュリティ、ITベンダー、センサーメーカーなど26社が参加しており、強力なパートナーシップで、各種ニーズにワンストップで対応できる体制作りを進めている。

 前原氏は「現状ではまだ監視や見える化などのフェーズのソリューション要求が多いが、総合機械メーカーとして制御装置も自社開発しており、工作機械や他の機械を組み合わせて収集したデジタルデータと、これまで培ってきた制御技術力、生産技術力、情報技術力を生かして、IoTやAIなどのITテクノロジーを融合する。これにより、個々の機器ではできなかった生産性改善などが提供できると考え、そういう世界を目指していく」と今後の抱負について述べている。

機械の販売から生産性のソリューション提案へ

 さらに、これらのIoTの動きを含め、東芝機械では、総合機械メーカーとしての強みを生かすために、営業推進部がそれまでの事業部の支援という形から、より主体的にそれぞれの製品の相乗効果を高める取り組みを開始した。

photo 東芝機械 グローバル推進本部 営業推進部 部長の藤田智行氏

 今回のJIMTOFをはじめとした大規模展示会では、同社の商品群の広がりを紹介するとともに、成形機+ロボット、ダイカストマシン+ロボット、超精密加工機+ロボットなどの組み合わせに、IoTを組み込んだシステムエンジニアリングを訴求する。

 「ダイカストマシンや射出成形機を使っている自動車メーカーあるいはサプライヤーにアルミや樹脂成形用の金型加工機を提案したり、自動車用ランプリフレクターやスマートフォン用などの光学市場向けに超精密金型加工機も合わせて提案したりするなど、製品を軸としたシナジーを高めることを目指している。これらの活動をJIMTOF2018から進めていく」と東芝機械 グローバル推進本部 営業推進部 部長の藤田智行氏は述べている。こうした施策で、東芝機械グループ全体の価値創造を図り、顧客へメリットを提供する方針だ。

 既に射出成形機、ダイカストマシンのサービス会社である東芝機械エンジニアリングが射出成形機に付帯装置を取り付けたり、ロボットと協働させたりしてシステムアップするなどの付加価値をつけて、単体の機能だけではない取り組みを行っている。今後は、東芝機械本体からもこうした活動をバックアップし「総合機械メーカー」としての位置付けを高めていく方針だ。

photo 総合機械メーカーとしての価値向上を目指す東芝機械。左から藤田氏、前原氏、秋吉氏

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提供:東芝機械株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2018年11月9日