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高速・高効率加工に対応、リニアモーター駆動形彫り放電加工機FAニュース

ソディックは、高速・高効率加工が可能なリニアモーター駆動形彫り放電加工機の新製品「AP30L」を発表した。CFRP製の主軸と新電源「LP4」の採用により、加工の全領域で品質や速度が向上。精密な温度管理機能で機械姿勢の安定化も図った。

» 2018年10月17日 07時00分 公開
[MONOist]

 ソディックは2018年9月25日、高速・高効率加工が可能なリニアモーター駆動形彫り放電加工機「AP30L」を発表した。リニアモーター駆動形彫り放電加工機「AP」シリーズの新製品で、本機、タンク、放電電源、NC装置をフルモデルチェンジした。発売は同年11月を予定している。

 AP30Lは、リニアジャンプを高速化するため、自社開発の「CFRP製主軸」と応答制御性能が従来比2倍以上の新電源「LP4」を採用した。同社製リニアモーターをXYZの3軸に搭載し、LP4電源で駆動することで、高精度な空間位置決めに対応。鋳物構造体の合わせ面とガイド取り付け面に施したキサゲ加工および全軸に採用した高剛性ローラーガイドにより、位置再現性にも優れる。

 さらに、新設計の回転軸に用いたビルトインモーターと25ビットアブソリュートエンコーダーにより、高精度な割り出しと高速の旋回加工ができる。主軸はローラーガイドとリニアモーターを対向に配置。このシンメトリ構造と高強度のCFRPで、軽量化と剛性アップを両立した。加えて、重心の安定性と熱的対称性が、高速駆動を繰り返しても姿勢変化をごくわずかに抑える。

 機械姿勢の安定性には、精密な温度管理も関係することから、加工機の各部を温度センシングして精密補正や診断に利用できる「TH COM(Thermal Commit)」機能を標準搭載する。

 LP4電源は、「M4LNK CNC」ボードの採用により、通信および処理速度が向上。モーター制御の応答性能を2倍以上に高めた。19型の大型タッチパネルを搭載し、AI(人工知能)で常に最適な加工条件を提供する「LN Pro ADV(LN Professional Advance)」を標準装備する。

 他に、新たに開発した「TMM4」「BSN4」回路や「TPC4」制御などにより、荒加工、中仕上げ、仕上げの全領域で加工品質が高まり、高速化している。

 機械の状態は、AI保全機能「AIM(AI Maintenance)」によって常に監視する。同社独自のIoT(モノのインターネット)プラットフォームに基づいた機械管理システム「S-HARMNY」、機械状態モニター「S-Viewer」により、生産の一括管理と見える化の推進に貢献する。

photo リニアモーター駆動形彫り放電加工機「AP30L」(クリックで拡大) 出典:ソディック

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