インタビュー
» 2018年10月19日 13時00分 公開

学生フォーミュラ2018:学生フォーミュラから学ぶ「ノウハウ継承」と「課題解決」 (1/3)

学生が“クルマ作りの総合力”を競う「学生フォーミュラ」。上位を狙うためには、培ったノウハウや技術を先輩から後輩へ継承する手法や課題解決方法、プロジェクト遂行力のあるチーム作りなどが非常に重要となる。常勝校はどう継承しているのか。また課題解決に必要なスキルとは?

[西坂真人,MONOist]

 学生によるモノづくり競技会「全日本学生フォーミュラ大会」(以下、学生フォーミュラ)が今年も静岡県袋井市の小笠原総合運動公園(エコパ)で開催された(大会の速報はこちらの記事を参照)。競技に使用されるフォーミュラスタイルの小型レーシングカーは、構想、企画、設計、製作全て学生だけで行われる。あたかも「高性能な自動車を開発するベンチャー企業になった」という想定で、走行能力や安全性、コストなど「クルマ作りの総合力」を学生同士が競うのだ。

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 学生は前年度の大会が終わると同時に新たなプロジェクトチームを結成し、1年間かけてフォーミュラカーを作り上げていく。その中でさまざまな課題に直面し、何度も挫折を味わいながらもそれをチーム一丸で乗り越えて晩夏のエコパに臨むのだ。

 どの学校も2〜3回生がチームの中心メンバーとなるが、学生なので当然メンバーは毎年どんどん入れ替わることになる。技術やノウハウを身に付けた学生も、最終的には卒業というカタチでいなくなってしまうのが一般企業と違うところだ。それだけに、培ったノウハウや技術を先輩から後輩へ継承する手法や課題解決方法、プロジェクト遂行力のあるチーム作りなどが非常に重要となる。

常勝校はどうやって継承している?

 これまで2012年、2016年、2017年と3度の総合優勝を果たし、今年も総合2位となるなど近年の学生フォーミュラ常勝校となっているのが京都工芸繊維大学だ。同大学の学生フォーミュラ参戦プロジェクト「Grandelfino」の2018年度プロジェクトリーダーである吉岡直希さんは、強さの一つに「ノウハウ継承力」を挙げる。

photo 京都工芸繊維大学「Grandelfino」2018年度プロジェクトリーダーの吉岡直希さん

 「他大学チームの人との情報交換で感じるのは、他大学と比べて京都工芸繊維大学は現役とOBとのつながりが非常に強いということ。何か課題が発生したりトラブルが起こった時、もちろんまずは自分たちで考え抜いて解決を試みるのだが、それでも分からない時はOBに電話やメールで聞くとその日のうちにレスポンスが返ってくる。今年でちょうど13代目となるが、このようなつながりによって13年分の知恵とノウハウがしっかりと受け継がれている」(吉岡さん)

 また、代々上位を勝ち取ってきた伝統校だけに、プロジェクト遂行に向けての学生の意識も高いようだ。

 「常勝校という伝統はものすごいプレッシャーでもある。私もチームリーダーを受け継いだ時の重圧は相当なものだった。それでも、自分たちが計画した目標に対して壁が出てきたら、いつまでにその壁を乗り越えなければならない、という課題解決への目標意識は非常に強い」(吉岡さん)

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 もちろん、社会経験の少ない学生同士では意見が対立することも多く、それは京都工芸繊維大学でも日常茶飯事だという。だが、そこでの意見の戦わせ方に工夫があるようだ。

 「チーム内で真っ二つに意見が分かれることもある。そのときは、お互いの意見の良いところと悪いところを言い合った上で、もともと立てた目標に近い意見はどちらなんだという議論の進め方をする。そして最後にはお互い100%納得できるようにロジカルに収束させていく。チーム内では“自分たちで決めたことだから、自分たちでやり遂げよう”という意識が強い。この目標意識の高さがチームの結束力にもつながっている」(吉岡さん)

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