ランチ難民を救い、健康経営を支援――パナソニックの後付けIoTサービスパナソニックが描く未来の“カデン”

パナソニックは、創業100年を記念したプライベートイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」(2018年10月30日〜11月3日、東京国際フォーラム)を開催中だ。その中で、家電事業を担当するアプライアンス社は未来の“カデン”を提案するユニークなコーナーを設けた。

» 2018年10月31日 09時00分 公開
[松本貴志MONOist]
パナソニック創業製品であるアタッチメントプラグ(左)と2灯用差し込みプラグも展示されている(クリックで拡大)

 パナソニックは、創業100年を記念したプライベートイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」(2018年10月30日〜11月3日、東京国際フォーラム)を開催中だ。同イベントではさまざまな展示や講演が催されており、パナソニックの歴史や技術、そして同社が思い描く将来のビジョンに触れることができる。その中で、家電事業を担当するアプライアンス社は未来の“カデン”を提案するユニークなコーナーを設けた。

 アプライアンス社は、2016年から独自の新規事業プロジェクト「Game Changer Catapult」を立ち上げ、顧客とつながり続けるハードウェアとサービスプラットフォームの開発を行っている。また、このプロジェクトは従来家電の常識にとらわれないアイデアを生み出すオープンイノベーションの場にもなっており、現在ではパートナーと共同でPoC(概念実証)段階まで進んだアイデアもあるという。

 パナソニックが描く未来の“カデン”は、どのような価値をもたらしてくれるのだろうか――。会場で披露されたアイデアを複数回に分けて紹介したい。

「Game Changer Catapult」のブース風景(クリックで拡大)

ランチ難民を救うお弁当予約・決済システム、データ解析に強み

 休憩時間内に昼食を取ることが難しいいわゆる“ランチ難民”のオフィスワーカーが増えてきている。その対策として、また福利厚生の一環に「デリバリー型社員食堂」を導入する企業が目立ってきた。このデリバリー型社員食堂は、サービス事業者がお弁当をオフィス内に設置された冷蔵庫や専用置き場に持ち込み、オフィスワーカーはオフィス外に出ることなくランチを購入することができるというもの。

 しかし、このデリバリー型社員食堂にも課題はある。一般的には無人販売の形態をとっているため、購入代金を支払うことなくお弁当を不正に取っていく人がいることや、売上金の回収、そして在庫管理といった業務を毎日多くのオフィスで行う必要がある。

 こうした背景から、「サービス事業者よりお弁当管理を簡単にするIoT(モノのインターネット)冷蔵庫を開発してくれとの声を多く受け取った」(パナソニック担当者)という。しかし、こういったニーズを満足する機能を持つ冷蔵庫の新規開発は、パナソニックにとっても市場可能性など事業面でハードルが高いものだった。

 そういった声を受けて開発されたのが、既設の冷蔵庫を無人販売機にすることができる「totteMEAL」だ。totteMEALは、既設冷蔵庫のドアを施錠できるスマートロック、スマートフォンアプリでお弁当を購入できる決済プラットフォーム、お弁当在庫管理ができる稼働モニタリング機能を持っている。ユーザーはアプリでお弁当を購入すると、スマートフォンにワンタイムQRコードが表示され、これを読み取り部にかざすことで冷蔵庫の施錠が解除されるという仕組みだ。

「totteMEAL」にスマートフォンアプリで購入したお弁当のQRコードをかざすイメージ(クリックで拡大)

 このサービスの特徴は2点ある。1点目は、ユーザーが購入したお弁当の種類や栄養素といったデータを貯蓄し解析できるプラットフォームを有していること。この特徴を生かし、ユーザーが食べたお弁当の種類に応じて、不足している栄養素を補完するような夕飯やサプリメントの提案を行う健康レコメンド機能を提供することを検討しているという。また、食に関わるサービス事業者のビジネス改善や、導入企業の健康経営を改善する指標としても役立てることができる。

totteMEALのビジネスイメージ(クリックで拡大) 出典:Panasonic

 もう1点は、シンプルなシステムであるため「冷蔵庫に限らず、宅配の再配達用ロッカーなどさまざまなものに応用できる」(totteMEAL開発担当者)と幅広い応用可能性を持ち、なおかつ低コストなサービスとした。

 totteMEALを構成するハードウェアは、量販店でも購入できる部品を採用した。「totteMEALの開発コストはプラットフォーム構築を含めても、パナソニック既存事業の開発コストから1〜2桁は低い」として、その理由を「新規事業では開発費用を安価に収めることが鉄則というのもあるが、顧客のコスト削減にも貢献しなければならない」と説明する。実際に、totteMEALユニットの導入費用は「最も安価なものは1桁万円」に設定する予定だという。

安価に構成したtotteMEALユニット(クリックで拡大)

 現在PoCを進めるtotteMEALは既にデリバリー型社員食堂を営む事業者から多くの引き合いを得ているとし、2019年度中の事業化を目指す。同サービスのビジネスモデルは、ユニットの導入にかかる初期費用に加えて、希望者にデータ解析結果を提供するオプションの月額費用、販売額に応じた従量制の決済手数料のサブスクリプション方式を予定している。

 totteMEAL担当者は「このサービスを食のデータプラットフォームとして利用することで、食に関わるさまざまなプレイヤーと協業したい」と語った。

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