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» 2018年11月02日 07時00分 公開

電気自動車:インホイールモーターで転舵可能なモジュール、無人運転車向けに機能安全対応で

Schaeffler(シェフラー)は、2018年10月31日〜11月1日に東京都内で開催した取引先向けの技術説明会「シェフラーシンポジウム」において、無人運転車向けの駆動ユニット「インテリジェントコーナーモジュール」を披露した。

[齊藤由希,MONOist]

 Schaeffler(シェフラー)は、2018年10月31日〜11月1日に東京都内で開催した取引先向けの技術説明会「シェフラーシンポジウム」において、無人運転車向けの駆動ユニット「インテリジェントコーナーモジュール」を披露した。

インテリジェントコーナーモジュール(左)。同モジュールを4基搭載した無人運転車のプラットフォーム(右)(クリックして拡大)

 インホイールモーターとブレーキ、90度まで転舵可能なアクチュエーター、サスペンションを一体化している。車両が向きを変えずに真横に移動できる他、四輪操舵によって最小回転半径2.5m以下と小回りを利かせることが可能になる。都市部での移動や輸送のサービスに使う無人運転車では、取り回しのよさが求められるという想定で開発した。

 機能安全を満たす設計となっている。シェフラーの本社があるドイツには、インテリジェントコーナーモジュールを搭載した走行可能な車両があるという。時速80kmまでの速度域に対応する。シェフラーは同モジュール単体だけでなく、車台に組み付けた状態のプラットフォームとしての提供も計画している。2018年8月に設立した新会社のドライブバイワイヤ技術も併せて無人運転車向けに提案する。

走る曲がる止まるを一体化

 インテリジェントコーナーモジュールは、ユニット全体を回転させるアクチュエーターによって転舵する。転舵用のアクチュエーターはシェフラー製だ。ドライブモードでは45度まで、パーキングモードでは90度まで向きを変えることができる。走る、曲がる、止まるの機能は冗長設計とした。駆動用バッテリーから電力の供給が途絶えた場合や、4つのモジュールのうちいずれかが失陥した場合の挙動なども検討した。無人運転化で稼働率が高まることを想定し、長時間走行も可能な耐久性を持たせる。

転舵用のアクチュエーター(左)。トレーリングアーム(中央)。インホイールモーター(右)(クリックして拡大)

 インホイールモーターには、ブラシレスの永久磁石同期モーターを使用する。出力密度が高いことから、スペースが限られるインホイールモーターに向くとしている。電源電圧が300Vの場合は最大出力が25kWとなる。通常時の最大トルクは250Nmだが、60秒間のみ最大500Nmまで増加させることができる。48V電源でも駆動可能だ。モーターは水冷方式で冷却する。制動は、モーターのエネルギー回生とドラムブレーキで行う。人が乗っている場合にも快適に減速しながら、エネルギー回生率を最大限確保するという。

 無人運転車のプラットフォームとする場合には、2018年8月に設立した「Schaeffler Paravan Technologie」のドライブバイワイヤ技術を活用し、安全で安定した車両の制御アルゴリズムを提供する。ベンチャー企業のParavan(パラバン)との共同出資会社で、シェフラーが資本金の90%を出資した。

 パラバンは、身体が不自由な人向けに加減速、操舵をジョイスティックで行えるように車両を改造する技術を持つ。パラバンのドライブバイワイヤシステムは、自動車向けの機能安全規格ISO 26262で最も厳しい安全基準のASIL Dを満たしており、5億km以上を無事故で走行した実績もある。シェフラーが持つアクチュエーターと、パラバンのドライブバイワイヤ技術を組み合わせることにより、無人運転プラットフォームの競争力を高める。シェフラーは、無人運転車にもジョイスティックによる手動運転機能が付くことを想定している。「停めてある場所からクルマを出す場面など、ちょっとした時に人が動かす方がいいこともあるだろう」(シェフラーの説明員)。

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